日本初のスマート農業専門誌が創刊 編集長に聞いた“スマート農業元年”に高まる期待

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日本初のスマート農業専門誌が創刊 編集長に聞いた“スマート農業元年”に高まる期待

日本初のスマート農業専門誌が創刊 編集長に聞いた“スマート農業元年”に高まる期待

最終更新日:2019年03月12日

“スマート農業元年”とも言われる今年2月、日本初のスマート農業専門誌「スマート農業360(さんろくまる)」が産業開発機構株式会社から創刊されました。創刊号の特集は「空から支える次世代農業」。ドローンや衛星画像データの活用など、話題の関連企業の事例を9社分採り上げています。さらに先駆的な生産農家へのインタビューや、連載など、意欲的な誌面に注目が集まっています。創刊にあたり編集長が抱くスマート農業への展望と期待を聞きました。

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2019年2月、スマート農業専門誌が創刊

「スマート農業360」の創刊号を掲げる平栗編集長

スマート農業の最新情報を定期的にウォッチできる

「スマート農業360」は産業開発機構から、今年2月に創刊されました。
「次世代農業技術がわかるトレンド情報誌」と銘打たれ、全ページフルカラーの季刊誌として年4回、発行されます。
創刊号の特集「空から支える次世代農業」は50ページにわたり、誌面の半分以上と読み応えがあります。
巻頭コラムには日本農業情報システム協会の理事長・渡邊智之(わたなべ・ともゆき)さん、インタビューには柑橘(かんきつ)類で国内初のグローバルGAP認証を取得した株式会社ミヤモトオレンジガーデンの宮本泰邦(みやもと・やすくに)さん。さらに、農家の右腕として500以上の「カイゼン(改善)」をしてきた阿部梨園の佐川友彦(さがわ・ともひこ)さん、スマート水田サービスを開発・提供する株式会社笑農和(えのわ)の下村豪徳(しもむら・かつのり)さんによる連載も見どころでしょう。

盛り上がりをとらえて企画スタート

創刊号の特集は、編集中の2018年11月にサービス開始した準天頂衛星システム「みちびき」からもインスピレーションを受けた(写真はイメージ)

編集長を務めるのは、同社の平栗裕規(ひらぐり・ゆうき)さん。

「当社は、製造業や医療で活用される最先端の映像・画像技術を紹介する月刊誌や書籍を出版しています。2016年頃、ものづくりの現場で使われる画像技術やIoTの特集を組む中で、取材先から農業の話題を耳にすることが増えました。ですが、それらの技術と農業を組み合わせた本は当社にも他社にもなかった。そこで、まずは『スマート農業バイブル』という本を発行しました」

会社としても個人としても農業とは縁がなかったことから、新しい分野を開拓しようと、他に先駆けて本を作るモチベーションになったそう。
出版されると、Amazonの「地域農業」分野で売れ筋ランキング1位を獲得するなど好評。初版がすぐに売り切れ、増刷となりました。
この反響から、同社はスマート農業に関する書籍を続けて発行。スマート農業に参入意欲がある企業を中心に、反響は止まなかったそうです。

「何冊か発行するうちに『定期刊行物として出さないの?』というお声を多くいただきました。そこで、2018年初頭に雑誌創刊の企画を立ち上げることになりました」(平栗さん)

「スマート農業360」の見どころ

スマート農業を360度、全方位的に扱う

雑誌タイトルはなかなか決まらず、2018年秋にようやく決定したという

「スマート農業360」の編集方針は、その誌名に表れています。
「スマート農業を中心にして、さまざまな情報を360度全方位から紹介したいということで、360(さんろくまる)と名付けました」と平栗さん。
創刊号の特集を組むにあたっても、極力、漏れがないように事例を選んでいったそうです。

デジタル関連の情報に一日の長

「編集部は少人数のため、特別に会議を開いたりはしていません」と話す平栗さん。雑談から企画が出ることもあるという

先述のとおり、もともと同社は、発行する他誌で得てきた知識や、高い映像・画像技術を有する企業などとの付き合いを持っていました。これらの編集経験が「スマート農業360」にも生かされています。
「私自身、デジタル系が結構好きだったので、ICTやIoTを活用するスマート農業も、抵抗なく受け入れたどころか、むしろ面白かった。AIや衛星を活用した技術展開など、今後どのように進んでいくか注目しています」(平栗さん)
そうは言っても、農業は初めて扱う分野。編集部員も勉強が欠かせないそうです。

多くの記事は「間違いなく情報を伝えるために」専門家から寄稿してもらっていますが、編集部自らが取材して書く記事もあります。
「ミヤモトオレンジガーデンの宮本さんへのインタビューは編集部で書いた記事です。宮本さんは自身でGAP認証取得支援システムを構築するなど、IT知識とその活用が素晴らしかった。私も取材に同行していますが、とても印象的でしたね。東京から愛媛の圃場(ほじょう)まで日帰りの強行スケジュールということも印象的だった理由ですが(笑)」

初心者にもやさしい誌面

「基本的には、最新情報を掲載したいという思いがあります。ですが、一方でICTに弱い方にも分かっていただける雑誌にしたい」
こうした平栗さんの思いは、誌面にも表れています。阿部梨園の佐川さんによる連載「経営改善 はじめの一歩」は、スマート農業に取り組む前準備として初心者にも分かりやすく書かれています。すでに取り組んでいる読者にとっても、スマート農業を効率的に進める指針になるでしょう。
他にも、オリジナルキャラクターのイラストを盛り込んだり、チャート表を設けたりするなど、「スマート農業360」は誰にでも読みやすい誌面作りを目指しています。

編集長に聞く、スマート農業の展望

今後も「スマート農業360」では、スマート農業に関するさまざまな情報や最新機器・システムを採り上げていく予定(写真はイメージ)

“スマート農業元年”に高まる期待

農林水産省は、スマート農業がすでに実用段階にきていることから、全国での実証・実装を強力に推進する方針を発表しました。「スマート農業360」のコラムでは、渡邊さんが“「スマート農業」元年”ともうたいます。2019年はスマート農業がさらに加速していくことでしょう。
「“スマート農業元年”だから、雑誌を創刊しようという気持ちは全くありませんでした。偶然に重なっただけ。ですが、世の中の動きや読者さんの声から、スマート農業に対する期待の高まりを非常に強く感じています」と平栗さん自身も、その波を楽しみにしています。

スマート農業の垣根を低くする雑誌として

「スマート農業は今後、当然のように増えていくと思います。ICTを活用した農業で労働の省力化や品質管理の改善などができるようになれば、さらに効率化されるのかなと感じます。ですが、正直まだまだスマート農業という言葉も知らない農家さんもいらっしゃいますし、テクノロジー部分だけが先に独り歩きして生産者に本当に寄り添ったものでなかったりもします」(平栗さん)

このような現状の課題から、平栗さんは「スマート農業360」の役割について、次のように話しました。

「『スマート農業360』でも、特殊な内容や、難しい内容も少なくはないかもしれません。ですが、今すぐでなくとも将来に役立つような情報もあります。将来、活用いただけるように、さまざまな情報を伝えていきたいですね」
今後は、“身近なスマート農業”として、農業で使えるアプリケーションの特集なども検討しているといいます。雑誌も、そしてスマート農業も、まだ緒に就いたばかり。今後の展開に注目が集まります。
 

【関連リンク】
「スマート農業360」
 

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