自然農法とは?
自然農法とは、簡単にいうと「農薬や化学肥料などに頼らず、自然の恵みのみで作物を栽培すること」です。この考えを提唱した岡田茂吉(おかだ・もきち)の「大自然を尊重し、その摂理を規範に順応する」という理念のもと、受け継がれてきました。
自然農法を行う前に、まずは自然とはどういうものなのか仕組みを理解し、自然との関わり方を見直す必要があります。人間は、農業をする際に雑草や虫をいらないものとして排除しようとしますが、自然の中では雑草が生えるのも虫が生きているのもごく当たり前のこと。雑草や虫を敵と考えず、寄り添いながら農業を行っていくのが自然農法の基本です。つまり、今ある環境の中でただ種をまき、自然の力や働きに任せて育った作物を収穫するということが自然農法なのです。
自然農法の土作り
農作物を育てる上で、土作りはかなり重要です。一般的に農業では土を耕し、肥料を混ぜ、作物ごとに養分を調整するものですが、自然農法では、雑草や土の中にいる小動物、微生物など自然の力に頼ります。植物や動物の死骸は小動物や微生物の働きによって分解されて土の栄養となります。このような自然の循環に任せるのが、自然農法の土作りです。
自然農法では雑草は抜かない
畑に雑草が生えるのは当たり前で、農業をしている人にとっては雑草の除去作業は重労働ですよね。しかし、自然と寄り添った自然農法では、作物を育てる際に雑草は抜きません。ただし、種まきや作物が育っていく過程でどうしても除去する必要があれば、抜いても構いません。
やむなく抜いた雑草や、すでに枯れている雑草などは、土の中にすきこんだりせずそのまま畑にポンとまとめて置いておきます。そうすることで、虫や微生物たちが枯れ葉を分解し、自然に土へ還元してくれるのです。
家庭菜園で自然農法を取り入れる
自然農法は、畑ではもちろんのこと、ベランダ菜園やプランター菜園にも活用できます。もともと自然の中にあった土地で自然農法をするのとは条件が変わってきますが、できることから自然農法を取り入れてみましょう。
例えば、無肥料の土を買ってきてクローバーなどの雑草を植え緑肥にする、新たに生えてきた雑草を抜かないなど、時間はかかりますができるだけ人間が手を加えていない環境に近づけていきます。そして、大事なのは“自然農法によって採取した種子”をまくこと。自然農法で栽培した作物からとれた種子は、作物本来の強さやおいしさを持つものが繰り返し選抜されることで、自然の姿に近い土でも育てやすいものになっています。種子は交換会などで譲ってもらうほか、インターネットで購入することもできますよ。
実例を見て検討してみる
家庭菜園での自然農法に興味を持ったら、実際に自然農法を行っている人のサイトやブログなどを見て、さまざまな取り入れ方を参考に、自分に合った方法を検討してみてはいかがでしょうか。実例を見てみると、自然農法がより深く分かってくるはずです。
家庭菜園で自然農法は難しいと思われがちですが、できることから始めてみればそのうちコツがつかめてきます。自然農法に関する本を読んだり、セミナーに参加してみたりするのもおすすめですよ。
【監修】
農研機構 本部 松村正哉