有名ブランドを持つみかん王国・有田市が抱える問題とは?
座談会出席者
[みかん農家]
酒井能章(さかい よしあき)さん/金嘉農園
藪内晃幸(やぶうち あきゆき)さん/和歌山有田葵クラブ
[行政]
酒井宗博(さけい むねひろ)さん/有田みかん課 みかん農政係 係長
吉田猛(よしだ たけし)さん/有田みかん課 みかん農政係 主事

座談会は行政担当者の司会進行で行われました。
左から薮内晃幸さん、酒井能章さん、吉田猛さん、酒井宗博さん
酒井(宗):まずは背景をご説明します。有田市では2017年度に市内のみかん農家の方約1000軒を対象に調査を行いました。その結果分かったのが、生産農家の方の56%が後継者問題で悩み、36%が耕作面積を減らす意向を持っているということです。市としては地域農業のさまざまな課題を解決するために株式会社リクルートと組んで『Cheers Agri Project IN ARIDA』プロジェクトに取り組んでいます。
具体的には後継者の育成や販路開拓、経営力の強化、ふるさと納税の返礼品の拡充等です。成果も着実に出ていて、ふるさと納税では前年比361%を達成。また、公的機関でみかんの品質を審査・認定する原産地呼称管理制度の参加申請者が倍増し、ブランド力をさらに強化するなどの取り組みを進めています。今後も『有田みかん』のブランドを守っていくに当たって欠かせないのが新規就農者の確保なんですね。
そこで、実際に新規就農されているお二人から生の声を聞かせていただきたいというわけです。
小売との直接取引ができるので経営面でもメリットが!

薮内さんと酒井能章さんは初対面とは思えないほど話に夢中。みかん作りへの熱い思いは同じ。
吉田:みかん農家のお二人は以前は別の仕事をされていて、その後、就農した経験をお持ちです。なぜ就農を決めたのか、どのような苦労があって喜びがあるのかを教えていただければと思います。まずは酒井さんからお願いします。
酒井(能):私はもともと大阪府にあるメーカーの技術者でした。まさか自分が農業をするとは思わなかったですね。
吉田:お勤め先は一部上場企業だったとか?
酒井(能):そうなんです(笑)。就農の理由は妻の実家がみかん農家だったから。代々続く農家だけど後継者がいない、と。結婚したら継いでくれと言われたわけではないんですが「みかん農家というのも面白いかな」とチャレンジすることにしました。
吉田:戸惑いや苦労はありましたか?
酒井(能):ずっと理系畑で来たので「こうすると、こうなる」という理屈が通じるのが当たり前だと思っていたんです。ところが農業はそうはいかない。自然相手なので、セオリー通りにやっても、望んだ結果に結びつくとは限りません。でも、いまは逆に、そこが面白いと思えるようになっています。結果に結びつかないのは自分の技術が未熟だから。ちゃんと手塩にかけて育てれば、みかんはそれに応えてくれます。
吉田:就農して良かった点は何ですか?
酒井(能):数年前から小売との直接取引を始めました。商談会を通して関東のスーパー数社と契約できました。経営面でのメリットも大きいのですが、消費者の生の声も届くようになりました。お客様から今年も酒井さんが作る『有田みかん』を店頭に置いてほしいと言われています。生産者にとってこれほどうれしいことはないですし、いいものを作っていきたいと思いますね。
それから、就農したのは20年前ですが、会社員時代に比べて家族と過ごす時間が増えましたね(笑)。

「自分の息子に自信を持って農業を勧めたい」と話す酒井能章さん。(自宅横に広がるみかん農園にて)
有田は溶け込みやすい地域。みんな気さくに話しかけてくれるんです!
吉田:では次に藪内さん、お願いできますか?
藪内:以前は愛知県の自動車部品関係会社に勤めていて、設計・開発の仕事をしていました。ものづくりが好きだったんです。でも、その会社は分業で、1から10までトータルなものづくりができないんです。モヤモヤしている時に、妻の叔父から送られてきたのが『有田みかん』でした。何気なしに食べた時の衝撃的な美味しさに「自分もこれ、作りたい!」と感動しました(笑)。
吉田:奥様の叔父さんがみかん農家だったんですね?
藪内:はい。まわりは反対しましたけど、有田市は新規就農者の受け入れ体制がしっかりしていますし、何より自然が豊か。子育てにもいいと説得しました。移住を決めたのは4年前のことですね。
吉田:その後はどうされたんですか?
藪内:まず就農支援センターで約1年間、農業の基本を学びました。それから『和歌山有田葵クラブ』という地域の農家で構成された出荷組合に入ってみかん作りを始めました。この『和歌山有田葵クラブ』は叔父が代表を務めています。
吉田:東京の高級果物店と契約している組合ですよね。
藪内:はい。高品質のみかん作りを教わっています。まだ私は国の補助金を活用させてもらっていますが、近々、経営的な安定が図れると考えています。
吉田:就農して良かったと思うことは何ですか?
藪内:ものづくりの面白さはもちろんですが、地域の人たちとの交流も大きいですね。新規就農を考えている人たちは「地域に受け入れられるか」が心配だと思いますが、有田の人はみんな優しいです。農園まで歩いていく時、すれ違う方とはもちろん挨拶しますが、初対面でも「頑張ってるか?」と声をかけてくれたり、気が付いたらそれから2時間立ち話をしていたこともあるくらいです(笑)。
会社時代と比べていろいろな人とのコミュニケーションが増えて、地域の方とつながっていくことの大切さに気づかされています。私の場合、親戚が住んでいたということもあるのですが、それを差し引いても本当に溶け込みやすい地域だと思います。

藪内晃幸さんが就農を決めたのは30歳の時。マイホームも持ち、生活は安定しているとのこと。
(自宅前のみかん農園にて)
ブランドが確立されていることの強みを生かしていこう!
吉田:お二人のお話は新規就農を検討している方々にとって大きなヒントになったと思います。
酒井(宗):ここで有田市の新規就農者の受け入れ体制についてご案内しておきたいと思います。
当市の支援プログラムは全国的にも例がない特徴を持っていて、それは「農地・技術習得・出荷先」をセットにして提供できるという点です。その仕組みづくりもしっかりできていて、新規就農者はもちろん、地域の農業者の方にもそれぞれのメリットがあるプログラム(※)になっています。
吉田:全体をまとめているのが行政なので、その点でも安心していただけると思います。新規就農者の方は最初の年から生計の見通しを立てることができますし、3年たてば農地付きで独立できるようになっています。
酒井(能):仲間が増えるのはとてもうれしいことです。一緒に『有田みかん』のブランドを守っていきたいですね。
藪内:すでに『有田みかん』としてブランドが確立されていることも経営面では有利ですね。販路はあるし、ブランド力を生かして拡大もしていける。僕自身、就農を決断して良かったと思っています。
酒井(宗)・吉田:本日はありがとうございました!
(※:有田市は株式会社リクルートとともに新たな就農支援スキーム『AGRI-LINK IN ARIDA』を構築しました。)

トップブランドとして高い知名度を誇る『有田みかん』。有田市ではそのみかん作りを手がけるチャンスが!
今回の座談会参加者のみなさんにそれぞれの熱い思いを語っていただきました。
このように、有田市では新たな就農支援スキームを導入し、新規就農者、農地提供者、受入農家それぞれの課題を解決するべく取組んでいます。
行政・農家が一体となって「みかん農業への新規就農支援」を積極的に推進している有田市で、みかん作りでの未来作りに一歩踏み出してみませんか?
興味ある方は、『有田みかん課』までお問合せください。
■「AGRI-LINK IN ARIDA」について
新規就農者、農地提供者、受け入れ農家それぞれがメリットを享受できる、三方よしの就農支援モデルです。
新規就農者の方には、以下のメリットがあります。
『AGRI-LINK IN ARIDA』 有田市の就農に関する詳細はこちら
動画「FARMER’S PRIDE IN ARIDA」
動画「Be Farmer」
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