『SE-Navi』は、後付けできるアドオン型のGNSS(全球測位衛星システム Global Navigation Satellite System)を活用した自動操舵システムで、既存のトラクタや田植機に装着すれば誰でも真っすぐに走らせることができ、従来の製品と比べ、なんと1/3~1/2の価格で市場に投入するといいます。
そんな『SE-Navi』の作業性能や最適なユーザー層について、同社 市場開発統括部 シナジー推進課 寿山達俊(じゅやま たつとし)さんにお話を伺いました。
『SE-Navi』は、どんな製品なのでしょうか?
目印のない圃場では、トラクタや田植機を真っすぐ、うねらせずに走らせるのは案外難しく、運転者に技術が必要なんです。
『SE-Navi』を取り付ければ、自動操舵で直線作業をアシストしてくれるので、経験の浅いオペレーターでも簡単な操作で、熟練者並みの作業が行えるようになります。自動操舵中は運転席に座っているだけで、ハンドルから手を離していても大丈夫です。

『AgriBus-NAVI(アグリバスナビ)』の株式会社農業情報設計社との共同開発
折り返し時の旋回操作や、旋回時の作業機の上げ下げは手動で行うことになりますが、作業した跡を目視しながら旋回してもらえれば大きくずれることはありません。また、運転席に取り付けるタブレット端末の画面には次の工程がラインで表示され、旋回で位置がずれた場合には誤差を知らせる仕組みにもなっています。
設定した作業幅で真っすぐにムラのない作業が誰にでも簡単に行えるので、耕うん作業などでは掛け合わせ(オーバーラップ)を極力少なくすることができ、作業時間や燃料費の圧縮にもつながります。
『SE-Navi』の作業性能やシステムについて教えてください
少し専門的な話なのですが、衛星からの位置情報は、電離層や衛星の位置、大気、地形などの影響で誤差が出るんです。
『SE-Navi』では、1台の受信機で位置を求める【単独測位】や、位置情報とは別に衛星から補正情報を受け取り、位置関係を求める【相対測位・DGPS(Differential GPS)】よりも、精度が出せる【干渉測位・RTK(Real Time Kinematic)】と呼ばれる補正方式を採用して、地上に設置した基地局からの補正情報で精度を高めています。
『SE-Navi』は、後付けできるアドオン型にしたことを含めて、自動操舵の技術を単なる絵に描いた餅ではなく、多くの生産者の方々に使ってもらえる製品にしたいと開発し、現時点では、耕うん、代かき、田植えなどの作業に対応しています。
市販されている自動操舵システムの中には250万円を超えるものもありますが、実用的な精度を見極めることで、従来品の1/3~1/2の価格を実現しています。

適応作業を拡大するソフトウェアアップデートも検討したいと寿山さん
『SE-Navi』は、機体の位置情報(位置と方向)と基地局からの補正情報を受信する「アンテナ」と、ハンドルを司る「操舵装置」、前輪の動きを捉える「操舵角センサ」の3つがキットになっており、トラクタや田植機への装着は販売店で行います。実際の運用にはこのキットのほかに、基地局(移動型)とAndroid OSのタブレット端末が必要となります。

衛星から電波を受信し、地上の基地局からの情報で誤差を補正

実際のタイヤの切れ角を操舵角センサで計測

操舵角センサで計測した切れ角をもとに自動操舵で直線作業をアシスト
『SE-Navi』は、どんな方におすすめですか?
トラクタや田植機の運転に不慣れな方やシニア世代の方には、ぜひ活用してほしいですね。作業の跡が見えづらい田んぼでの作業はかなり楽になりますし、代かきでは二重に作業をして、土の状態を悪くさせることもありません。
もちろん、運転技術の高いベテランの方にも、作業の効率化や身体への負担の軽減につながるので、積極的に導入してほしいですね。特に広い圃場を抱えている方ほど、効果を実感できますし、誰にでも簡単に操作ができるので、アルバイトなどにも安心して作業を任せることができるようになりますよ。
三菱マヒンドラ農機株式会社が満を持して市場に投入する『SE-Navi』。
農業機械の自動化の普及にむけ、エポックメーキングな製品になるかもしれません。今後の動向に注目です。
【対応機種】
◆トラクタ
GA300~550 GA301~551
GAK330~550 GAK331~551
GM300~550 GM301~551
※キャビン仕様のみ対応
◆田植機
LE60D/D2/AD
LE80D/AD
※詳しい装着条件については、販売店にお問い合わせください
※トラクタと田植機に装着する製品は、仕様が異なります
※使用するAndroid OSのタブレットには推奨のスペックがあります
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