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【14万円でできる】小さく農業を始める時に最低限そろえるべき農機具は?

千田 一徳

ライター:

【14万円でできる】小さく農業を始める時に最低限そろえるべき農機具は?

こんにちは! ちだです。静岡県伊豆の国市の地域おこし協力隊です。ど素人なのに、耕作放棄地を開墾して農業始めたい!? ムリムリ。って、無理じゃない! 最低限の農機具があればOK!
農機具? よくわからないし、高いし、ムリムリ。って、無理じゃない! 14万円あればできちゃう!
ちょっとした収入になる野菜を自分で作ってみたい!ということで、始めてみた農業。今回は、「作ることにちょっと興味はあるけれど……」な、あなたの「農業スタートハードル」を限りなく下げるためにやってきました。さぁ、やってみましょう!

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「農業スタートハードル」を限りなく下げたい

東京から伊豆に地域おこし協力隊として移住してきた私ちだ。

当初、地元の農家さんが出荷する直売所で研修をしたり、自分のブログで農家さんの取材をしたり、野菜の移動販売をしたりしていました。

で、思ったんです。

農業、可能性ありまくりじゃない?

と。

協力隊の仕事をしているうちに地元の農業それ自体が、「安心安全」「地場」といったキーワードと結びついて、ニーズがとても高いことを肌で感じました。

地元の農家さんのお野菜。本当においしい。

しかし、それまで

「なんで冬になるとナスが高くなるのかしら??」

と首を傾げながら東京のスーパーで野菜を買っていた私ちだ。

「鍬(くわ)? 教科書で見たことあります!」

と農家さんに言うと、心底驚かれて本物のクワを見せていただいた私ちだ。

そう

ちだは

農業ど素人

だったんです。

そんな僕が、知り合いの農家さんに言いました。

「農業に興味が出てきて、自分でやってみたいんですよね」

すると、決まってこう返ってきました。

“農業経験もなくて、機械もない? できないよ。”

やってみたら?とも言われましたが、“無理だろうけど”が透けて見えました。

無理だ無理だと言われると

逆に燃える!

だが事実! お金も経験も機械もない!

トラクターって100万円もするの!?

いやー、やっぱり無理……

じゃない!!

なんだかんだやってみたら

14万円あれば始められたのですよ!

ということで

農業を始めてみたいと思ったみんなが始められるようにハードルを限りなく低くする

そのために書きました。

農業を始めてみる。スタートに大きな誤解。

農業に興味があるあるぅ!

やってみたいやってみたい!!

と言い続けていると

「じゃあうちの使っていない畑で一緒にやってみよう」

などと言ってくださる方がいらっしゃいました。

「産直所のコミュニティー畑を作るから、それを手伝ってほしい」

という依頼もありました。

ありがたーい!!!

さっそく種をまきたいですね。

カラフルなニンジンで超絶インスタ映え狙うかな!!

菊芋とか、テレビで取り上げられたしイケるんじゃない??

ミニトマトは5色展開くらいにしたいですね。

ナスもシマウマ模様みたいなやつとかある!

「無農薬で安心安全。インスタ映えするカラフル野菜。素人がゼロから作りました!」

そして作ってる時からtwitterにあげて、インスタにあげて、販売するときには伊豆だけじゃなく東京にも進出しちゃって……

そうだ! おしゃれなロゴとか欲しい!!

絶対売れるでしょ!!

いやー、夢が広がる!

え?

みなさん、こういうところ想像してませんか?

いつでも種がまける畑

いやー、すぐにでも種がまけそう。

わかります。

ちだも思ってました。

でも、これから農業を始めよう!という人が目の前にする景色は、こんな感じです。

数年使っておらず、草刈りだけはたまにやっていた“元”畑

そう、数年以上使っていなかった畑を開墾して、種をまける状態にしてあげる必要があるのです。

いやー、夢とか超儚(はかな)いですね。

儚いって、「人」に「夢」って書くんですね。

いやー

いや

ちだの夢は、終わらない!!

ということで、現実に向き合いましょう。

現実は開墾からです。

夢の第一歩! 荒れ地を開墾するのに最低限必要な投資額は?

では、このような「荒れ地を開墾して種をまける状態にするまで」にどのくらいの投資が必要なのでしょうか。

ちだのやり方の場合14万円でした。

荒れ地、開墾中

よし! じゃあさっそく14万円で農機具をそろえよう!

いいですね!

テンポ大事ですね。

でも、この方法でどんなことができるのか、を事前に整理しておきましょう。

14万円で農業を始める! その前に考えたいこと。

自然に触れる機会も多くなり、楽しそうなムスメさん

この方法は、超絶低コストです。

だって、ちだがお金ないんですもの。

だから、いろいろ制限がかかってきます。

その制限とは

トラクターが買えないので、大規模耕作、単品目大量生産ができない

ということです。

14万円だと、トラクターという大型機械は絶対に買えません。

小型の耕運機が主力選手になります。

なので、畑の大きさが制限されます。

2000~3000平方メートル(20~30アール)くらいが限度でしょうか。

また「2000平方メートルに小松菜だけ植える」といった

単品目を大量に作ることも向いていないと思います。

小型の耕運機で2000平方メートルを一度に耕運するってなかなか大変なのです。

この制限を加味すると

  • 2000~3000平方メートルの小規模農業
  • いろんな野菜を少しずつ作る「少量多品種」

というやり方に落ち着きます。

小さい畑とはいえ、管理ができるのでしょうか。

いろんな種類の野菜を作るのも経験がないので難しそうです。

でも、やってみないとわかりません!

考えるのは終わり! いざ開墾!!

14万円を使って荒れ地を開墾して種をまけるようにするまでの全プロセスと必要な農機具の紹介

それでは

荒れ地を種をまける状態にするまでのプロセスと最低限必要な14万円で購入するべき農機具は何か

をちだの経験を交えてご紹介します。

ちなみに、やり方次第ではもっと低コストにもなりますし、もっとお金をかけることもできます。

あくまでも「お金はないけど小さく農業を始めてこれからも続けていきたいちだ」がやってみた一つの方法であるとお考えください。

また、種をまく前に「肥料」や「堆肥(たいひ)」などを施すこともありますが、それらは農法や植える作物によって変わります。
なのでこういったものは予算に含んでおりません。

開墾に必要な農機具の確認

まずは、荒れ地を開墾して種をまけるようにするために最低限必要な道具を紹介します。

  • 草刈機
  • 耕運機
  • クワ
  • レーキ

本当にこんなもんでできます。一つずつみていきましょう。
なお、金額は比較的安価な小売店での価格(筆者調べ)を記載しています。

草刈機:約3万円

HiKOKI(旧日立工機)エンジン刈払機 CG27ECP(S)

まずは、草を刈らなければなりません。2000平方メートルの畑の草を手作業で刈り取るのは、それだけで心が折れます。必ず草刈機を使ってください。
草刈機は大きく分けると、充電式と燃料式のものがあります。

が、これから農業を本格的にやる!という方は燃料式を前提に選ぶといいでしょう。
充電式のものは

  • 充電が30分程度しか持たない
  • 充電するのに数時間かかる

という問題があります。

農地の草刈りは断続的に2時間から3時間程度行うことも少なくありませんので、農業での利用は燃料式がオススメです。

また、使用時間が長くなることもあることから重さが特に重要になるので、近所のホームセンターなどで実際に持ってみることを強くオススメします。

耕運機:約10万円

クボタ ミディStyle TMS30

土を耕してくれます。必須です。
サイズ、馬力などで価格が変わります。「開墾」を前提にするのならば写真のクボタ ミディStyle TMS30のような2馬力以上のものが欲しいところです。
2馬力以上だとどのメーカーも10万円前後の価格になりますので、予算はこの10万円をベースに考えるといいでしょう。

クワ:約1000円

頑固な草の根っこを取ったり、土を寄せたりと何にでも使えます。
高いものを買う必要はありません。
ホームセンターに行って使い勝手をご確認の上、選んでみてください。

レーキ:約1000円

刈った草をよける、植え付け前に土をならす、といった作業に使います。

レーキをホームセンターで探すと、大きな熊手のように草を集めることに特化したものも置いてあります。
「ならす」作業も開墾では必要になってきますので、レーキは土をならせるものを購入するようにしましょう。

荒れ地を開墾して種をまけるようにするまでに必要な農機具の合計金額

紹介した農機具の合計金額は
約13万3000円
となりました。

本当にこれだけで始められるのか。
ちだが実際にやってみました。

荒れ地の開墾プロセス

荒れ地に作物を植えられるようにするためには、大きく分けて以下のプロセスが必要です。

  • 草を刈る
  • 草をどける
  • 耕す

それぞれ、どのように農機具が使われるのかをご紹介します。

ここから開墾スタート!

まずは草刈り。

草刈機を使ってなるべく根元から草を刈っていきます。

続いて、このまま耕運機をかけると刈った草が絡まるので、レーキで刈った草をどけます。

最後に、耕運機で耕します。

これで荒れ地の開墾が終わりました。

種をまくところを少しレーキでならしてあげれば終了です。

小さく農業を始める時に最低限そろえるべき農機具は?のまとめ

荒れ地から小さく農業を始める時に「14万円」で最低限そろえるべき農機具はこの4つでした。

  • 草刈機
  • 耕運機
  • クワ
  • レーキ

草刈機、クワ、レーキはホームセンターなどで実際に触って使い勝手を確認してから購入しましょう。
でも、こだわる必要はありません。

耕運機は、高額なので逆によーく吟味してください。
2馬力以下の耕運機だと「草を刈った後の耕運」がパワー不足によりできないことがあります。2馬力以上のものを購入するか、予算がない場合には「草を刈った後の耕運」だけをトラクターを持っている方に依頼(※)することも可能です。

農業をやってみたいな、と思っていても、種や苗を植えなければ始まりません。

そして

種を植えるには開墾しないと始まりません。

全ては、開墾から始まります。

作ること、に興味があればまずは小さく始めてみるのはいかがでしょうか。

刺激的で魅力的な農業ライフを、ぜひ。

※ 下記リンク先の「田耕うん」参照。なお、価格は地域によって異なります。
農作業賃金・機械利用料金標準(平成29年度、山形県山形市農業委員会発行分)(PDF)

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