フルーツアドバイザーの原詩織さんが語る、日本のフルーツの未来

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フルーツアドバイザーの原詩織さんが語る、日本のフルーツの未来

フルーツアドバイザーの原詩織さんが語る、日本のフルーツの未来
最終更新日:2019年06月13日

青果物、水産物、花きを扱う公設卸売市場として国内最大級の大田市場。そこで果物の定期販売サービスを手掛ける原詩織(はら・しおり)さんにお話を聞きました。大田市場で働きながら農家と消費者の間にいるからこそ見えてくる、日本のフルーツ事情とは。

大田市場が私の仕事場

──職場が大田市場にあるんですね。1日はどんな風に始まるのですか?

朝はだいたい7時に出勤します。大田市場では、青果棟の卸売場の競売場(競りをするところ)にその日入荷した果物の見本が並べてあります。それをチェックするところから1日が始まります。競売場には各都道府県の担当者、JA、セリ人、買参人(ばいさんにん:買い付けをする小売業者など)などさまざまな立場の方が集まるので会話しながら情報交換もします。その後7時半くらいにオフィスに行き商品の数をチェックし、手がけているサービスの梱包作業などに取り掛かるという感じです。

──手がけているサービスについて、教えていただきたいです。

株式会社ダイナミックフルーツの「果物の達人」というサービスを担当しています。定期的に果物を自宅にお届けするサービスです。スーパーに並ぶ果物よりも一段高級な、特別感のあるフルーツを目利きしてお届けしています。

──現在は、フルーツアドバイザーとしてその他の活動もされているんですよね。

そうなんです。この仕事がきっかけでフルーツの魅力にハマってしまって、会社の垣根を越えてもっとみんなにフルーツを好きになってもらえるようにいろいろな活動をしています。例えば、「体験」を提供できるTABICA(たびか)というサービスを使って大田市場見学ツアーを企画したり、一般社団法人FRUIT LOVERS LIFE(フルーツラバーズライフ)を立ち上げ、果物に特化したイベントを仲間と一緒に主催したりしています。

──幅広いですね。こんなにフルーツにハマったきっかけはどんなものだったのですか?

地元が地方で小さな頃から両親がおいしいものを食べさせてくれ、食の英才教育を受けさせてもらえたような環境で育ちました。なのでもともとおいしいものに目がなかった。この仕事に就くまでも、お酒やおいしい料理などが大好きでした。この仕事を始めて本当においしいフルーツと出会ってしまって、食べた時ものすごく感動したんです。衝撃を受けて、それからフルーツにハマっていきました。

大田市場で働いてみてわかった、フルーツの課題

──やっぱり大田市場で食べると、味が違うものなのですか?

そうですね。全てがそうというわけではありませんが、身近なスーパーはどうしても見栄えがよく、安いものを中心に買い付けをします。さらに、コストの関係から最良の保存環境が用意できていないことも多い。それによって、おいしかったはずのフルーツも味が落ちてしまったりするんです。

──流通や保存の他に、フルーツに対して課題に思われていることはあるんでしょうか?

日本人のフルーツの摂取量の少なさですね。先進国であるのに、他国に比べて圧倒的に低いです。農林水産省も1日200グラムのフルーツの摂取を呼びかけていますが、それができている人はごく一部です。特に一人暮らしになると、どうしても安くお腹いっぱいになる炭水化物などを摂取しがちになります。その背景には、他国に比べて日本のフルーツが高価であることもあります。

──なぜ日本のフルーツは高価なのでしょうか?

これはもうひとつの課題でもあり、良いところでもあると思うのですが、日本ではフルーツが嗜好(しこう)品として捉えられているからです。他国ではフルーツは栄養補給源であり、宝石のように奇麗であることや梱包されていることが求められているのは日本くらいです。良い面としては日本のフルーツは抜群においしいということがありますが、手間暇をかけて育て出荷する分、価格が上がってしまうのです。安さと引き換えに、奇麗さやおいしさを選択してきたんです。

──そうすると、原さんの視点から見て、これから果物を作っていく農家さんはさらに奇麗でおいしいものを作っていくしかないのでしょうか?

いいえ、私はまず、農家さんが自分たちの農法や作物のありかたなどをよく考えて、どうやっていきたいかを決めることが大切だと考えています。今自分たちが作っている作物が傷がつきがちなのであれば、飲食店などに直送するという方法もあるし、思わぬところに需要が落ちていることもあります。例えば、私の友人でクラフトコーラを作っている方がいるのですが、年間を通して大量の柑橘(かんきつ)が必要だと相談されて農家さんを紹介したことがありました。見た目が良いものを作れているのならばさらにブランドを磨いてもいいし、そうでなければオリジナルの販路を見つけるのもひとつです。

──今作っている作物の位置を把握して、ブランディングや卸先を決めていくということなのですね。

そうですね。以前まではJAに出していれば安心というのが常識でしたが、それも少しずつ変わりつつあります。東京にいる私ならではで持っている情報なども今後もっと公開していきたいなと思っています。

──これから何か構想していることがあるのですか?

農家さんには農家さんしか持っていない情報があるし、都市部にいる私しか知らない情報もある。そういう情報のニーズがうまくつながるような果物に特化したメディアを作れたらと構想しています。

──それは期待が高まりますね!

ありがとうございます。もちろん、私に直接相談してくれてもいいですよ!
 

原詩織さんInstagram

果物の達人

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