国産チーズがうまい! 専門家が選ぶ注目の酪農家のチーズ工房3選
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国産チーズがうまい! 専門家が選ぶ注目の酪農家のチーズ工房3選

国産チーズがうまい! 専門家が選ぶ注目の酪農家のチーズ工房3選
最終更新日:2019年07月08日

ヤッホー‼ 世界で唯一のコンビ揃ってきき酒師の漫才師「にほんしゅ」です! 暑くなってきたら冷酒がうまい! ということで相も変わらずお酒への情熱を燃やし続ける僕たちですが、日本酒はやはりおつまみと一緒に飲みたいお酒。実は、、日本酒好きの中でよく食べられているおつまみは、チーズなんです! 最近フランス産やイタリア産に負けないぐらい国産チーズがどんどんおいしくなっているらしい。日本酒と日本のチーズなんて最高! こうなりゃじっとしてられません。国産チーズの専門家さんに会いに行こう!

国産チーズの専門家、圓子(まるこ)チーズさんに国産チーズの今を聞く

「国産チーズに詳しい人……、あの人しかいない!」とすぐに頭に浮かんだのが我々「にほんしゅ」の日本酒仲間で、日本酒の専門家でありながら国産チーズの専門家でもあるという圓子チーズさん! 各地でチーズの講師を務め、年間150食以上の国産チーズを食べているだけでなく、自ら2週間に渡るチーズ造りの研修も体験されたというまさに国産チーズのスペシャリストです! 今回のテーマにピッタリすぎる圓子チーズさんにお話を聞きました。

インフィニット・酒スクールプロデューサーで、チーズ・日本酒・ワインのスペシャリスト、圓子チーズさん

北井

圓子さん、今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。

圓子さん

あさやん

よろしくお願いします! 圓子さんって本当に親御さんがつけた名前通りのお仕事されてますよねー!

北井

チーズは本名じゃないで!! 本名は千春さんですよね?
そうです(笑)。チーズのお仕事のときには圓子チーズという名前で活動しています。

圓子さん

北井

今日は今注目度が上がっているという「国産チーズ」について色々と聞かせていただきたいのですが、国産チーズは今盛り上がってるんでしょうか?
はい。海外での権威あるチーズコンテストで、ここ数年日本のチーズ工房のチーズが数々の賞を獲るなど、レベルが高くなって盛り上がりを感じますね。

圓子さん

北井

海外でも認められてるんですね! 本場に負けないってすごいですね。
海外の歴史あるチーズ工房のチーズも素晴らしいんですが、日本のチーズは日本人のモノづくりへの丁寧さや繊細さも味わいに反映されていて、そのあたりも評価につながっていると思いますね。

圓子さん

北井

なんだか嬉しいですね! 日本のチーズ作りの歴史は古いんですか?
小さな工房での国産チーズ作り、というのはまだここ25年ぐらいの話だと思います。ただ、工房は徐々に増えていて現在300以上あると言われています。酪農家さんをそもそもやっていて乳を輸送することなくチーズ工房をやっているところもあれば、乳を仕入れてチーズ作りのみを手掛ける工房も多いですね。チーズ工房の場所は全国にあるんですが、イメージ通り北海道の十勝が1番多いんですよ。

圓子さん

あさやん

まだまだ歴史は浅いんですね! それでも世界で認められるレベルのモノづくりをするのが日本人らしくて誇らしい! 

あさやん

で、まだチーズは食べられないんですか?

北井

もっと言い方あるやろ!
(笑)。では各種コンテストでも数々の賞を獲られている注目のチーズ工房のチーズを食べてみましょう!

圓子さん

北井

やったー! ありがとうございます!

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注目の3つの国産チーズ工房のチーズを実食

山地酪農で自然な放牧。広島の三良坂(みらさか)フロマージュ

まずは大人気の広島の三良坂フロマージュさんのチーズを食べましょうか。

圓子さん

北井

どんなチーズ工房さんなんですか?
すごく自然派なチーズ工房ですね。松原正典(まつばら・まさのり)さんという方が2004年につくられたチーズ工房です。その後、山を購入して酪農も始められました。「動物たちも幸せに生きてほしい」という想いを持って酪農やチーズ作りをされていて、牛とヤギを山に放牧して、穀物のエサを与えず、山の草花だけを食べさせているんです。冬も放し飼いするのでかなりタフな牛やヤギだそうですよ(笑)。季節ごとに食べるものが違うので、タケノコの時期にはタケノコの風味のチーズが出来るんですよ。

圓子さん

三良坂フロマージュの酪農の様子(画像提供:三良坂フロマージュ)

あさやん

それいいですね! タケノコとチーズが一緒に味わえる。絶対日本酒に合いますね!

北井

早速日本酒のこと考えとんかい!

北井

自然派なチーズ、いいですねぇ。2種類のチーズがありますがどんなチーズなんですか?

左が牛(ブラウンスイス)のチーズ、右がヤギのチーズ

どちらも酵母で熟成させたチーズでソフトタイプなんですけど、まずはこちらの「フロマージュ・ド・みらさか」から。このチーズはブラウンスイスという牛の乳で出来ているんですが、たんぱく質や脂質が多くてチーズ作りに合った乳を出すんです。

圓子さん

フロマージュ・ド・みらさか

あさやん

いただきます! おー外側がとろっとしてますね。うん、食感は柔らかい! 味は意外と酸味がありますね。後味は程よい旨味がありますが、さっぱりしている感じで。 

北井

おいしいですね! とろっとした甘みがある夏の生酒なんか合わせるといいかもしれません。
その組み合わせいいと思います! ではお次は「フロマージュ・ド・みらさかシェーブル」をどうぞ。ヤギのチーズですね。ヤギの乳はカロテン(オレンジ色の色素)が少ないので色が白いんです。ちなみに3~6月くらいがシェーブルの旬なんですよ。

圓子さん

フロマージュ・ド・みらさか・シェーブル

あさやん

いただきます! うん、きめ細かいシルキーで繊細な食感。ちょっと匂いに特徴がありますね。こちらも酸味がすごくしっかりした味わいですね。舌の上に生チョコみたいな食感が残ります。

食べ比べ!

北井

これもおいしいですね! 同じ製法でも牛とヤギでこんなにチーズの違いが出るんですね。旬があるのも初めて知りました。チーズ面白いですねー!

三良坂フロマージュ

国産小規模チーズを牽引! 北海道の共働学舎新得農場

次は北海道の共働学舎新得(しんとく)農場さんのチーズを食べましょう! お2人はラクレットっていうチーズは食べたことありますか?

圓子さん

共働学舎新得農場の「ラクレット」 (画像提供:共働学舎新得農場)

あさやん

そんなことはどっちでもいいんで早く食べさせてくださいよ!

北井

話を聞けよ! 食欲でおかしくなっとる!

北井

ラクレット、聞いたことはありますが食べたことはないですね。

ラクレットのイメージ画像(画像提供:圓子チーズさん)

最近日本でも流行っていてレストランで食べられる機会も増えてきたチーズなんですが、ラクレット専用の器具でとろりと熱で溶かしてチーズを削り、茹でたじゃがいもやパンにかけて食べるんですよ。ラクレットはチーズ名でもあり、料理名でもあるんです。元々スイスのアルプスの冬の保存食で「アルプスの少女ハイジ」にも登場していましたよ。

圓子さん

北井

あー! ハイジに出てきたあのチーズですか!
熟成にやや時間がかかるセミハードタイプのチーズです。ではこのヒーターで温めて溶かしていきますね。

圓子さん

家庭用ラクレット専用器具。市販のロウソクを使ってラクレットチーズを溶かす

北井

楽しみです! 共働学舎新得農場さんはどんなチーズ工房さんなんですか?
私が12~13年前に2週間泊まり込みでチーズ作りを学んだ工房さんで、宮嶋望(みやじま・のぞむ)さんという方が代表なんですが、なんといっても日本の手作りチーズ界の元祖ともいえるほどの老舗工房さんなんです。

圓子さん

北井

日本の手作りチーズの元祖ですか!
宮嶋さんはアメリカのウィスコンシン州立大学畜産学部でアメリカの大規模で効率的な酪農を学ばれました。でもそれはあまり自分には合わないなと思い、「日本で小さくても日本の風土を生かした酪農や世界に通じるチーズ作りがしたい!」と理想の酪農ができる場所を探して、1978年にフランスに気候の近い北海道の上川郡新得町で酪農とチーズ作りをスタートさせたんです。山地(傾斜地)で牛の放し飼いをしてその乳でチーズ作りをする、というのも日本の中で先駆けですね。
日本ではハードタイプのチーズは味わいの面でも資金回収の面でもリスクがあるので作られている所も少ないんですがそれをいち早くやってきたのも共働学舎新得農場さんなんです。

圓子さん

北井

国産手作りチーズの歴史を作ってきた工房さんなんですね!
ラクレットが良い感じで溶けてきました! じゃがいもにかけますので召し上がってください。

圓子さん

あさやん

おぉー! とろとろでおいしそう! いただきまーす!

あさやん

この間に追加で溶かしておいてください!

北井

落ち着いて食べろよ!

あさやん

うん、甘い! そして旨味もしっかりと広がりますね! 追いかけるように程よい酸味や塩味も! あったかくておいしいなぁ。じゃがいもとも相性ピッタリ! 
気に入っていただけて良かったです。

圓子さん

あさやん

スイス留学時代を思い出しますね!

北井

嘘をつくなよ!

北井

ラクレットは温かさもいいですし旨味が豊かなので純米酒のぬる燗とかを合わせたいですね!
あと、今回は残念ながら手に入らなかったのですが、日本酒で洗ったウォッシュタイプのチーズ、その名も「酒蔵」もおいしいですよ! 香りも味も強烈ですが、旨味があって、千葉県の寺田本家さんが造る日本酒と相性抜群です。

圓子さん

日本酒で洗ったチーズ「酒蔵」(画像提供:共働学舎新得農場)

あさやん

それは日本酒好きにはたまらない情報ですね! 日本酒で洗ったチーズをつまみに日本酒を飲んでみたい!

農事組合法人 共働学舎新得農場

夫婦それぞれのチーズ造り。栃木県の今(いま)牧場

最後は栃木県那須町の今牧場さんです。JALのファーストクラス機内食に採用されたり、今やTVなどでひっぱりだこのチーズ工房です。

圓子さん

あさやん

ひっぱりだこ! 僕たち「にほんしゅ」と同じですね!

北井

そんなことはないわ(笑)。 俺らはもっと活躍せなあかんねん! 
どんなチーズ工房さんなんですか?
ここはご夫婦でされているチーズ工房なんですよ。旦那さんである高橋雄幸(たかはし・ゆうこう)さんが元々新潟県胎内(たいない)市でチーズ作りをされていて、そのときもコンテストで受賞するくらいおいしいチーズを作っていたんです。そんな高橋さんが今牧場の娘さんのゆかりさんとの結婚を機に那須町に移住して、2012年に今牧場さんの中にチーズ工房をつくられたんですよ。

圓子さん

フランスに本部がある国際的な団体から 「ギャルド・エ・ジュレ」という権威ある称号を授与された髙橋さん夫妻(画像提供:今牧場・髙橋雄幸さん)

あさやん

へー! 「チーズ」も「愛」もとろけたってことですね!
それでは失礼します。

北井

どのタイミングで帰るねん! そんなにうまくも言えてないし。
(笑)。愛は確かだと思うんですが、同じチーズを2人で力を合わせて作っているというわけではなく、2人がそれぞれのチーズ作りをされているのが面白いんですよ。雄幸さんがフランス系チーズを主に作られていて、ゆかりさんがイタリア系チーズを作られています。お2人ともチーズ作りのセンスが素晴らしいんですよ!

圓子さん

北井

へー! それはまた興味をそそられますね!
じゃあまずこちらの「りんどう」というチーズから食べてみてください。イタリアの「タレッジオ」というウオッシュタイプ(※)のチーズに似ていて、牛乳から作られます。

圓子さん

※ウォッシュタイプ:外皮を塩水や酒で洗いながら熟成させたチーズ

「りんどう」」は塩水で洗っている。モチモチした食感

あさやん

持った感じが柔らかい。ぷにぷにしてますね! いただきます! 香りもいいですね。うんうん、味わいは優しいですね!

北井

おいしいですね! ぱくぱくといくらでもいけちゃう感じです。
お次は「茶臼岳(ちゃうすだけ)」です。フランスの「ヴァランセ」というチーズに似ていて、木灰をまぶしているシェーブル(ヤギのチーズ)ですね。どうぞ!

圓子さん

青りんごっぽい爽やかさのある「茶臼岳」

あさやん

見た目もいいですね。いただきます! うんうん、さっぱりしてて繊細な味わいですね! 青りんごっぽいというか。

北井

わかる! この青りんごっぽさは青りんごっぽい香りの吟醸酒と合いそうですね!
その通りです! シェーブルは青りんごっぽい爽やかで繊細な風味なので、青りんごっぽい香りのする上質な吟醸酒と合うんですよ。

圓子さん

あさやん

これはいいことを覚えました! 
シェーブルは家の冷蔵庫で熟成させていいんですか?
シェーブルは家庭の冷蔵庫での熟成はあまりおすすめしません。ムレやすく冷蔵庫の他の食品の香りを吸収してしまうんですよ。

圓子さん

北井

そうなんですね! いやぁ、今日は試食も含めてほんと色々と勉強になりました! 「日本酒とチーズ」の相性は良いですよ、ということをもっと自信を持って言えそうです!

有限会社那須高原今牧場

国産チーズの今後の展望

あさやん

それでは圓子さん、チーズフォンデュも作っていただけますか?

北井

まだ食べる気かい!

北井

ほんと色々食べさせていただいて、国産チーズがおいしいんだなということがよくわかりました。今後の国産チーズへの想いを聞かせていただけますか?
「文化にする」というのが目標ですね。歴史は浅いですが国産チーズは確実においしくなっていますし、ここ数年取材の申し込みも増えてきまして、10年前とは取り巻く環境が大きく変わったのは確かです。その上でずっと先を見るとワインや日本酒のようにその土地の風土を語れるような、「文化」として認められるようなものになっていって欲しいですね。そのために頑張っている工房さんや地域も多いので伝え手として応援したいです。各地のチーズが「日本地理的表示マーク(GIマーク)」をつけられるようになれば嬉しいですね! 日本酒と相性がいいのも強みなので「日本酒と日本チーズ」の良さをセットで伝えていけるようがんばります!

圓子さん

あさやん

素晴らしい! 歴史はまだ浅いけれど、日本人ならではの繊細で丁寧なモノづくり魂で本場フランスやイタリアにも負けないチーズを作り、日本の文化そのものである日本酒とも相性ばっちりのタッグを組むことによって「日本酒と日本チーズ」という新たな文化を醸していけそうですね! 日本チーズの未来に幸あれ‼
ありがとうございます! 私も伝え手として情報発信やセミナーなども頑張っていきます!

圓子さん

北井

最後うまいことまとめよった!
圓子チーズさん、ありがとうございました!

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広大な自然に囲まれ、牛が相手の心に優しいイメージがある酪農の仕事。しかし、命を扱うからこそ大変なことが多いのも事実です。実際のお仕事事情から最近の新しい働き方、チーズ工房など事業の可能性まで、酪農に興味を持った方が知っ…

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