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自然エネルギーと最新のIoTや栽培技術との融合で、八幡平の農業を活性化するプロジェクトが、新たなステージへ

自然エネルギーと最新のIoTや栽培技術との融合で、八幡平の農業を活性化するプロジェクトが、新たなステージへ

岩手県の八幡平(はちまんたい)市では、地熱を利用した自然エネルギーと最新のIoTや栽培技術との融合により、農業者の高齢化と施設の老朽化で放棄されたビニールハウス群を再生する農業振興プロジェクトが着々と進められています。『スマートファームプロジェクト』と名付けられたこの取り組みは、2017年9月にスタート。厳冬期は氷点下20℃に達する同地で、南国の作物であるバジルを通年栽培するという実証実験を終え、2019年1月に事業加速の牽引役となる株式会社八幡平スマートファームが設立されたことで、本格的な商用展開に向けた第一歩を踏み出しました。ここまでの歩みと、今後の具体的な展開や未来像について、前回の取材から1年後の同地の取り組みをレポートします。

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牽引役の八幡平スマートファームが始動し、新たなステージへ

十和田八幡平国立公園に代表される豊かな自然に囲まれ、トレッキングや温泉などの観光はもちろん、畜産や米、野菜作りなどの農業が盛んな岩手県八幡平市。

昨年の記事でもお伝えしたとおり、ここでは2017年9月から「自然エネルギー」、「最新の栽培技術」、「IoTによる制御システム」を組み合わせ、耕作放棄地問題と農業振興に取り組む『スマートファームプロジェクト』がスタートしています。

株式会社MOVIMAS

同プロジェクトは八幡平市と、東京でクラウドIoT制御システムの開発を行う株式会社MOVIMAS(モビマス)、福岡の農業ベンチャーで縦型水耕栽培装置の技術を持つグリーンリバーホールディングス株式会社がタッグを組んで、同市の松川地熱発電所から供給される熱水を冬場の暖房として活用するビニールハウス(通称:熱水ハウス)で、バジル栽培を行う実証実験として進められてきました。

株式会社MOVIMAS

「バジルは南国原産のハーブで、露地栽培では20~30℃が適温とされていますが、発電所からの熱水とIoTを活用すれば、豪雪地帯の八幡平でも上手くいくのではないかと考えました」と、MOVIMASの代表取締役 兒玉則浩さんは振り返ります。

株式会社MOVIMAS

熱水をハウス内に引き入れ、同社のクラウドIoT制御システムで温度や湿度、養液の供給、換気などを管理。厳冬期には外気温が氷点下20℃にもなる八幡平で、バジル生育に適した環境の実現に取り組んできました。

2年を経て当初描いていた目標の収量を達成し、IoTシステムの有効性も確認できたことから、プロジェクトをさらに推進する牽引役として2019年1月に農地法に定める農地所有適格法人である八幡平スマートファームを設立。本格的な商用展開など、事業のさらなる加速に向けて、動き出しました。

株式会社MOVIMAS
 

2度目の冬を越え、高石野地区の再生事業が本格始動

農業者の高齢化や施設の老朽化で放棄されていた熱水ハウスを再生した上寄木地区の5棟のハウスでは、ここまで2度の冬を越し、栽培は順調に進展しているといいます。

「2017年秋の時点で、私たちが目標としていた収量は1棟あたり年間2t。現状、この目標は達成しています。八幡平で、熱水とIoTを活用したシステムを用い、目標どおりの実績を上げられることが証明できました。今は主に生鮮用や加工用として販売し、出荷先も安定的に確保できています。これで準備が整い、いよいよ50棟という規模の熱水ハウスが放棄されている高石野地区の再生事業に進めます」と、八幡平スマートファームの代表取締役でもある兒玉さんは笑顔で語ります。

株式会社MOVIMAS

JVCケンウッド製の最新ネットワークカメラシステムと連携したIoT次世代型施設セキュリティソリューションも導入

このプロジェクトの実施主体として設立されたのが八幡平スマートファームです。同ファームは、八幡平市と企業立地協定を締結し、ハウスの管理や販売先の開拓、地域と協力した事業化の牽引役を担っていきます。

株式会社MOVIMAS

高石野地区では年内にIoTシステムを整備した12棟のハウスを立ち上げ、これまでと同様にバジルを栽培する予定で、年明けにその成果を見て、順次拡大していくことを視野に入れています。

上寄木地区では市からハウスを借り受ける形でしたが、高石野地区では同ファームが2haを所有し、地域の事業者と協力してハウスを新設する大きな事業になっています。

プロジェクト始動から2年。この間の総括を八幡平市長の田村正彦さんに伺うと、次のように話してくれました。

株式会社MOVIMAS

「自然エネルギーをいかに地域振興に結び付けるかは、国にとっても大きな課題です。今回のプロジェクトの肝は正に自然エネルギー。地域の宝である地熱と熱水を利用し、地域の主要産業である農業に結び付ける事業ですから、これは市としても大きくアピールできるチャンスです。加えて高齢化で衰退しつつある農村の活性化にも大きく寄与します。事業を推進する八幡平スマートファームには、今後も、市として最大限の支援を行い、都市部から若い人たちを呼び込んで、地方創生を進めていきたいと考えています」

株式会社MOVIMAS

地元の高校生が地熱学習の一環でハウスを見学

実はプロジェクトが始まった頃は、地域の方にはそれほど関心を持たれていなかったといいます。また、地域に縁のないバジルを栽培することについても疑問の声が上がっていました。

そんな状況が現在は大きく変化していると、兒玉さんは手応えを感じています。

「バジルは生鮮用や食品加工用として安定的に販売できていますし、何よりも八幡平市への注目度が高まってきたことで、盛り上がりを実感しています。多いときには3日連続で、農業の振興策を検討している自治体やJAなどの関係者の視察研修を受け入れることもありますし、市が推進する地熱利用の理解促進事業の一環で地域の小中学生や高校生、大人などを対象としたハウス見学やバジルの収穫体験なども行っており、私たちの取り組みへの理解が広がっています。さらに、地域のご協力を得てバジルを利用した商品開発ができる状況にもなってきました。これを機に、八幡平の農業活性化と地域振興をさらに進めていきたいですね」

株式会社MOVIMAS

地元の「レストランこかげ」のシェフが作ってくれたポモドーロソース


 

先駆者の思いを引継ぎ、次のステージへ

秀峰・岩手山の北麓に位置する高石野施設野菜生産組合は、日本初の商業用地熱発電所である松川地熱発電所の運転開始(1966年)と、国の観光や農業振興施策をもとにした支援事業で施設野菜団地としての整備を進め、1984年には熱水ハウスの手法で花卉栽培に取り組むなど、皇族の方々も視察に訪れる栽培施設として発展しました。

株式会社MOVIMAS

高石野施設野菜生産組合の臨時総会で挨拶される田村市長

2019年8月21日、同組合の臨時総会が開かれ、八幡平スマートファームの組合への加入が承認されました。これにより、同地で花卉や野菜など、熱水を利用した先進的な農業に取り組んできた先駆者の思いや歴史を八幡平スマートファームが引き継ぎ、高石野地区の再生事業が始動することになりました。

この場には、新たなプレイヤーとしてプロジェクトに参画することになった東洋製罐グループの担当者も出席。POフィルムを使用したシート型のイチゴ用高設栽培用ベンチと、ロッド型の縦型水耕栽培システムに関するプレゼンテーションを行いました。

同グループではアグリ事業の取り組みとして、高石野地区の1棟でMOVIMASのIoT制御システムを導入し、イチゴとレタス栽培の実証実験を今秋以降にスタートします。

株式会社MOVIMAS

東洋製罐グループの鋼鈑商事・大石さん(左)と東罐興産の高田さん

この動きを受け、市長の田村さんは八幡平市としての展望を次のように語ります。

「将来的には観光農園を展開する計画もあり、八幡平の新たな観光資源として期待しています。市としても県や国への働きかけを強め、力強くサポートをしていきたいですね」
 

新しいステージに入った八幡平の『スマートファームプロジェクト』、今後に一層注目です。
 
 

 

【お問い合わせ】

株式会社MOVIMAS 経営管理本部広報室
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株式会社八幡平スマートファーム
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TEL:0570-02-1115
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八幡平市役所
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