愛知県豊田市の中山間地域で始まる。米の自給で集落を消滅の危機から救う “自給家族” 式営農とは

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愛知県豊田市の中山間地域で始まる。米の自給で集落を消滅の危機から救う “自給家族” 式営農とは

愛知県豊田市の中山間地域で始まる。米の自給で集落を消滅の危機から救う “自給家族” 式営農とは
最終更新日:2019年09月17日

愛知県豊田市押井町。通称 “押井の里” は、中山間地域で米の自給を行う、どこにでもある小さな山村集落です。3000年も前の縄文時代から人の営みが続いてきた押井の里は、過疎化の波にのまれ、今まさに消滅に向かっています。集落を消滅の危機から救うべく、作物を生産して売るのではなく、消費者を家族に加え、ともに自給する『源流米ミネアサヒCSAプロジェクト』が始まろうとしています。

集落が一つに。その先に道が見えてきた

押井の里の田んぼ風景

押井の里の田んぼ風景

「押井の里は、かつて東加茂郡旭町と呼ばれた地域。山間集落で決して恵まれた土地ではなかったものの、どの家も農家を営んでおり、自分たちで食べるために米をつくるのは当たり前でした」と語るのは、一般社団法人押井営農組合の鈴木辰吉代表。

近辺にある紅葉で名高い香嵐渓や、和紙の里・小原などの観光名所とは異なり、押井の里は、あくまで自然とともに生きてきた町。集落内には縄文土器が出土する遺跡が3つもあり、古の時代にタイムスリップしたような気分にも浸らせてくれます。米を自給自足していくことで、押井の里では現在まで人々の暮らしが絶えることなく続けられてきました。

押井営農組合の鈴木辰吉代表

押井営農組合の鈴木辰吉代表

そんな押井の里が、集落の存続に危機感を抱くようになったのは、平成を迎えてからのことだと言います。

多くの山村集落と同様に人口減少や高齢化の波に飲まれ、農業での営みが厳しい状況に陥ったのです。その結果、耕作放棄地が増加し、獣害による集落の荒廃も進んでいきました。

そこで 2000年からは集落が一体となって耕作放棄や獣害対策、水路・農道の共同維持管理を行うようになりました。2011年には集落営農組織である押井営農組合を設立。機械の共同利用を中心に、いわば一つの家族経営として取組むことで、農地を荒廃から守り、困難な時期を乗り切ってきました。

しかし組合経営であっても、農地を荒廃からこの先ずっと守り切れる保証はありません。現役世代のリタイアの時期は迫っており、このままでは経営が成り立たなくなり、集落を消滅させることにもなりかねません。

「私たちが自給の営みを続けるのは、自分たちが育てたものを、自ら収穫し、食べるという、食の安心と喜びに暮らしの豊かさを感じているから。同じ思いを持ちながら、そのような機会に巡り合えていない消費者はいるのではないか」──そう考えた鈴木さんがたどり着いたのが、消費者とともに米を自給する『源流米ミネアサヒCSA(※1)プロジェクト』へのチャレンジでした。

※1 「Community Supported Agriculture」の略称で、消費者が生産者に代金を前払いして、定期的に作物を受け取る契約を結ぶ農業のこと。日本では「地域支援型農業」と呼ばれることも。

プロジェクトの詳細はこちらから

生産者でもあり消費者でもある “自給家族” の魅力

鈴木さんの息子夫婦が経営する農家民宿「ちんちゃん亭」でも『ミネアサヒ』を提供。「美味しいので売ってほしい」との声もあるそうです

鈴木さんの息子夫婦が経営する農家民宿「ちんちゃん亭」でも『ミネアサヒ』を提供。「美味しいので売ってほしい」との声もあるそうです

プロジェクトの概要は、米の価値、自給という暮らしの豊かさを理解していただいた100家族と、3~10年の長期栽培契約を2024年までに結ぼうというものです。

押井の里で作られる米は『ミネアサヒ』という、愛知県が開発した品種。コシヒカリよりいくぶん粒が小さいものの、昼と夜の温度差や水温の低さという押井の里の風土を生かした “もっちり感” のあるお米です。

特別栽培米として生産されるため、栽培期間中に使用する農薬や化学肥料は、慣行栽培の半分以下とのことです。

1家族への1年あたりの供給量は1俵60kgから選択可能。栽培経費として、実際に米を栽培する押井営農組合員と同じ、1俵につき3万円を負担します。長期で契約することにより組合の経営は安定し、契約者も市場原理による価格の変動の影響を受けずに、安定的に美味しいお米を確保できるのです。

プロジェクトの仕組み

プロジェクトの仕組み

他にも年に2回ほどBBQや秋の収穫祭などの体験交流イベントの実施や繁忙期の農作業サポートの受け入れ、SNSによる農作業や里山情報の発信、米の食味やシステム運営に関する意見聴取なども実施。押井の里の一員として、地域を守り、楽しんでいただきます。

天候によって収量が左右されるので、年によっては供給量が増減することもありますが、生産者も契約者も押井の里で米を育て、食す “自給家族” として、リスクも豊作の喜びも共に分かちあうのが、『源流米ミネアサヒCSAプロジェクト』なのです。

除草剤は一回しか撒かないため、田んぼの手入れは念入りに行います

除草剤は一回しか撒かないため、田んぼの手入れは念入りに行います

プロジェクトの詳細はこちらから

3000年の時を経て、新たな農の営みの先駆けになる

「集落営農にしたものの、行き詰まっているというケースは少なくありません。共同で赤字を背負いこんだだけという悩みもよく耳にします。他の地域の転作作物の成功例を参考に、やってみたけれど経費がかかりすぎてダメだったという話も後を絶ちません」と鈴木さんは話します。

「集落営農では所有する機械や資源をフル活用して、得意の分野で農を営むべきだと思っています。押井の里で言えば、過去に3000回も作ってきた米。その米に特別栽培などの付加価値を付けて提供することです」

取材時に同席していた豊田市農政課の石川さんも、「市内には現在18の集落営農組織があり、特に山間部においては今後もっと増えていって欲しいと思っています。各地域の営農を集落で取り組む、課題について集落で解決していく。そんな姿のモデル的な取り組みになるのではと期待し、後押ししていきたいと考えています」と話し、行政も期待を寄せている様子が伺えました。

豊田市農政課の石川麻弓さん

豊田市農政課の石川麻弓さん

食物は、私たちが生きていくために欠かせません。それを育み生産する営みも無くすことはできません。

食の安全に関心を持つ消費者が増えている現在、 “生産者の顔が見える安心安全な食物を安定的に確保したい” という消費者のニーズを満たし、集落の農地保全を図るこのプロジェクトは、同じ課題を抱える全国の中山間地域にとって、リーディング事業となるはずです。

「自給の農の営みは『いかに安全で美味しい作物を作るか』に努力が向けられます。自給って素敵だと思いませんか」と、鈴木さんはほほ笑みます。

『源流米ミネアサヒCSAプロジェクト』に興味を持った方は、是非この機会にプロジェクトの詳細をチェックしてみてはいかがでしょうか。

押井営農組合の皆さん

プロジェクトの詳細はこちらから

【お問い合わせ】
一般社団法人 押井営農組合
〒444-2812 愛知県豊田市押井町寺ノ入4
TEL:0565-68-3561

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