メーカー大手が描く「スマート農業」の未来図【バイエル クロップサイエンス】
「スマート農業」に関する展示が目立った今年、農薬メーカーのバイエル クロップサイエンスとドローンメーカーのXAGが共同で出展したブースも、多くの来場者を集めていました。
バイエルは、種子処理された種の見本(※)を展示し、播種後に除草剤など農薬散布の手間を省けるといった利点をパネルで図解。実際に種子を無人ドローンでまくという新技術のデモンストレーションも行い、病害虫雑草防除の新しい手段を提示しました。(※…展示用の種子は、すべて農薬不使用)
展示を通して伝えたのは、同社が手掛けるスマート農業推進プロジェクト「SoraNavi™」が描く世界観。ITに基づく科学的な農業の実現を目指すべく、農業専用ドローンを手掛けるXAGと協業し、会場では両社の強みと相乗効果をアピールしました。将来的にはITを活用し、病害虫や雑草の発生を検知・管理、そして予測することで、圃場ごとの生産能力最大化を目指します。
バイエルのキャンペーン&プロダクトマネージメント部長・波田康弘さんは、「私たちのミッションは、生産者に最適なソリューションを提供すること。一歩踏み込んだ提案をしてこそ、最新のデジタル技術が生きてきます」と強調しました。
畜産資材部門が新設、ますます多彩なプレイヤーでにぎわう
今年の出展社は初出展170社を含む680社。初めて畜産資材部門が新設されたこともあり、飼料や畜舎、糞尿処理資材など、昨年までは見られなかった企業の出展も目立ちました。また、中国をはじめとしたアジア諸国を中心に、海外からも数多くの出展がありました。
出展社同様、来場者も多彩な顔ぶれでした。生産者や農協はもちろん、メーカー、卸商、小売店、官公庁・自治体や研究機関のほか、農業参入を検討中の企業も多数来場し、活発な商談が行われていました。
最新テクノロジーの粋を集めたドローンやIoT製品が大きな注目を集める一方、6次産業化を紹介するブースではジェラートなど菓子類の試食に行列ができていました。「農」にかかわるあらゆるプレイヤーが一堂に会し、新たなビジネスチャンスを探っていたようです。
3日間の来場者数は約4万人。スマート農業や6次産業化などをテーマにした各種セミナーも連日行われ、計1万人の参加がありました。次回の農業Weekは、2020年5月に大阪で開催される予定です。
人材マッチングアプリで農業の人手不足を解消
なお、マイナビ農業もブース出展をし、多くの方にご来場いただきました。
目玉の1つは、農業を始めたい人と農家をつなぐ人材マッチングアプリ「農mers(ノウマーズ)」。農家は手伝ってほしい作業内容を登録し、農業を始めたい人は作業エリアや期間などの希望条件と自分のスキルを登録します。興味のある農家を見つけたら、チャットで具体的なやりとりを行うという仕組み。新規就農者や離農者に農業参加の間口を広げ、農家の人手不足解決を目指します。「農mers」は、9月30日に正式リリースされた直後、2019年度グッドデザイン賞を受賞しています。
また、農業を身近に感じられるコミュニティスペース「農mers Café(ノウマーズ カフェ)」が、東京・人形町に誕生します。生産者によるマルシェなどイベントを開くほか、通常はコワーキングスペースとして開放し、全国の農業情報や移住、就農情報を得られる環境を整え、スペースの利用を通じて農業を身近に感じてもらう予定です。
2020年1月には、農業から地域活性ソリューションを提案する情報誌「AGRI+(アグリプラス)」が創刊、地方自治体の農業部門や首長に向け、農業を起点に地域活性化の最新ソリューションをご提案します。