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新規就農者へつなぐ 歴史あるトマト産地のバトン ― 岡山県『びほく農業協同組合トマト部会』の熱意!

新規就農者へつなぐ 歴史あるトマト産地のバトン ― 岡山県『びほく農業協同組合トマト部会』の熱意!

桃やブドウの栽培が盛んで「くだもの王国おかやま」と呼ばれている岡山県には、古くから伝わる桃太郎伝説があります。今回は、桃太郎といっても県北西部の高原地帯で夏季冷涼な気候を生かした「桃太郎トマト」の産地のお話です。
岡山県産トマトの6割を占めるJAびほくトマト部会。半世紀以上の歴史を持つこの産地を支えるのは、地元住民のみならず、市外、県外から移住してきた「新規就農者」たちです。産地の後継者となるべく目標・夢に向かって頑張る研修生や新規就農者と、応援する先輩生産者の方々を取材しました。

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10年後も20年後も輝き続ける産地であるために後継者の育成が欠かせない

藤井包温(ふじい かねはる)さんは、トマト部会の役員も務める中心的な存在で、現在4組目となる研修生の安東拓也(あんどう たくや)さんを受け入れ、就農に向けて、さまざまな形で支援をしています。

【藤井】私は現地見学にきた就農希望者に、トマト産地全体のPRをしています。
産地としてプラスなこともマイナスなことも包み隠さず話すんです。
収量はどれくらいなのか、売上はどれくらいなのか、労力は、経営費は、など包み隠さずお話しするんです。
厳しいこともあるかもしれませんが、それが儲かる農業への第一歩であり、就農への第一歩だと思っていますから、就農希望者には、私の話を聞いた上で就農するかどうか判断してもらえたら良いと思ってるんです。
後継者の育成は、トマトの産地として、10年後、20年後も維持していくためと、地域の活性化をするためにも欠かせません。
そのためには、JA・部会、関係機関だけでなく地域の後押しや受入体制も必要です。
技術だけでなく、地域のしきたりや守らないといけないことを教えるのは受入農家の役割ですが、ここは地域がサポートする体制も整っていて、地元の後継者クラブが借家や農地の確保などに関わってくれるので、交渉事もスムーズにいくし地域に溶け込みやすくなっています。
新規就農者たちも積極的に後継者クラブに参加してくれるので、地域での横のつながりも強くなってきてますね。
新規就農者が活発に農業という夢を追いかけている姿が地域全体を刺激して、もう少し規模を広げて頑張ってみようとする人も出てきたり、地域活性化にもつながっています。

【安東】私はもともと農業に興味があり、農業高校、農業大学校(以下、農大)へ進学しました。
農大ではトマトを専攻し、卒業後すぐに就農を目指しました。ほかの地域も検討しましたが、ここがトマトの産地として高いレベルにあることに驚き、この地で技術を学んで就農したいと思い、移住・就農を決意しました。
まだ本格的な研修が始まったばかりで、学校で学んできたことと、実地で技術を習得していくのとでは、作業の違い等もあって大変な面もありますが、徐々に慣れていけたらいいですね。
研修終了後は、藤井さんの空いている農地を借りて就農し、父と一緒に農業をしながら徐々に規模拡大して、将来的には部会の目標反収以上の収穫ができるようになりたいです。

【藤井】儲かる農業のためには、トマトの樹をしっかり見ることと、農業への熱意が大切になってくると思います。
地域に溶け込みながら、トマト産地を支える柱として成長してほしいですね。

安東さん(左)は、将来は藤井さん(右)のように研修生を受け入れる農家になりたいと。若き挑戦者に未来が託される。

地域みんながバックアップしてくれる体制がここにはある

山田徹(やまだ てつ)さんは、兵庫県からのIターン就農者で、岡山県が全国に先駆けて実施した『ニューファーマーズ確保対策事業』の研修1期生であり、妻の貴美(きみ)さんとの二人三脚で24作目を迎えたベテラン生産者です。
現在では研修生を受け入れる立場になり、2組目となる津山純平(つやま じゅんぺい)さんを指導しています。

【山田】私たち夫婦は非農家の出身だったので、すべて一から受入農家の方に教えてもらいました。
当時は、Iターンで新たに農業を始める人が少なかった時代で、「本当に大丈夫なのか?」と言われてきましたが、今では就農希望者に「大丈夫?」と声をかける立場になりました。
研修生を受け入れる側としての重みを感じますし、受け入れたからには研修生に「ここに来てよかった」と思って欲しいので、教えてあげられることは全部教えてあげたいという思いでやっています。
受入農家となって実感したのが、技術面だけでなく住居や農地の確保をサポートすることが大変だということです。
幸いにも、ここは地域や農業後継者グループに結束力があるので、その情報網を活用して空き家や農地を確保していますし、空き家の片付けや施設整備など労働力のサポート面でも、互いに支え合えています。
生活面でもトマトの産地だからこそトマト農家の忙しさや事情などを地域の人も分かっていて、地域行事への関わり方などにも理解があり、地域みんながバックアップしてくれる体制が出来ています。
半世紀を越える歴史のあるトマト産地で、以前から新規就農者を受け入れてきたからこそできることだと思っています。

【津山】ずっと仕事中心の生活を送っていたので……“生活のための仕事”を探していました。
前職で個人事業主の方と接する機会が多く、起業する事に魅力を感じていましたし、田舎暮らしにも憧れがあったので、35歳を目前に就農を決意しました。
就農や移住のセミナーで話を聞いてもなかなか決心がつかなかったのですが、実際に現地に行ったり、生産者の方の話を聞いたりしてプラスの部分もそうでない部分も踏まえた上で将来のビジョンを思い描くことができたので、一歩踏み出す勇気が出ました。
現地見学でトマトのハウスを見た時にとても魅力を感じて、「トマト農家になろう!」と決めましたが、最終的には山田さん御夫婦と出会って自分の思いを聞いてもらい、この人の下で修行したいと思ったことが決め手となりました。
就農へ大きな一歩を踏み出すには、まずは現地に足を運ぶこと、そこで実際に見て感じること、そして人と会うことが大切だと思いました。

山田さん(左)は津山さん(右)にかつての自分の姿を重ねる。みんなで支える地域力が受け継がれていく。

何でも聞ける! 先輩農家の存在は大きい!

西田和正(にしだ かずまさ)さんは、大阪から移住し受入農家(前述の藤井さん)での研修を終え、今年から妻の和美(かずみ)さんとトマト栽培を始めました。

【西田】もともと田舎や農業が好きでいつかは移住を、と考えていました。
「年齢を重ねてから始めるよりは今のうち」と一念発起し、「大阪ふるさと暮らし情報センター」で岡山県を勧められて現地訪問したのをきっかけに、高梁市の雰囲気に魅了されました。
魅力的な空き家があったことも要因となりました。
またその当時、妻が通い農業で家庭菜園に力を入れていたこと、現地見学で藤井さんの話を直接聞けたこともあり、2人で就農を目指すことにしました。
今は、都会とは違うゆったりとした時間を感じながら、「楽しめる農業」を目指しています。
何もなかった畑に自分たちでハウスを建て、今年初めての収穫を迎えました。一から自分たちで育てたトマトを収穫できたことは、とても感慨深いものがあります。
農業は天候にも作業にも左右されますし、研修の期間だけですべてを習得することはできないので、近くに何でも聞けるベテラン農家さんがいてくれる環境は、とても心強いです。
農業の事は何でも聞きますし、厳しいことも言われますが、トマトと対話ができるように、先輩の教えを守りながら、産地に貢献していきたいです。

西田さん(右)と妻の和美さん(左)。ひとつの空き家をきっかけに、トマト農家を楽しんでいます。

ビジネスライクでない人のつながりを実感

白石慎也(しらいし しんや)さんは、就農2年目を迎える新規就農者です。
山田さん(前述)の下で研修を受け、地域活動にも積極的に関わっています。

【白石】トマトが大好きで、トマト農家になりたかったんです(笑)。
インターネットで検索して、JA岡山中央会などを通じて就農セミナー等にも参加し、この地域を紹介していただき、就農を決めました。
サラリーマン時代に農業体験をしたことがあったのですが、作物を育てる楽しみ、農業が生活の糧になることを実感しました。
会社のために頑張るのもいいのですが、成功しても失敗しても自分に結果が返り、自分の時間・家族の時間を大切にできる農業経営者という道を選びました。
しかし、いざ就農しようとした時、現実を思い知らされました……。
見渡すとたくさん空き地があるので、農地もすぐに借りられると思っていたのですが、そうはいきませんでした。農地の確保を甘く見ていたんです。
しかし、山田さんや地域に助けられ、何とか経営に必要な面積分の農地は確保できました。さらに中古ハウスも確保することができたんです。
また、今夏の台風による強風でハウスが一部損壊の被害に遭いましたが、すぐに地元の農業後継者グループのメンバーがかけつけ、復旧作業を手伝ってくれました。
ビジネス的な付き合いではなく、サラリーマン時代に感じなかったような、人の手助け・サポートがあり、とてもありがたく思っています。「人とのつながりを基準に就農する大切さ」を実感する日々です。

白石さん(中央)は、農業後継者グループや消防団など地域の活動にも積極的に関わっている。トマトも地域も大好きなんです。

地域や自治体が一体となって新規就農者をトータルでサポート!

今回取材した皆さんに共通しているのが、就農のキーワードが“人”だということでした。
地域の一員となって、人とのつながりを大切にすることで、そこからさまざまなサポートが生まれていました。
岡山県の新規就農サポートの特徴は、人のつながりを重視し、市町村や地域の農協、生産者組織などと連携して産地で研修生を受け入れて後継者を育てる「産地型研修」の体制となっていることです。
就農を目指す方は、現地の訪問や受入農家と関係機関による面接審査に合格してから、約1カ月間の農業体験研修に入ります。
事前に現地を見てもらうことと、面接をすることで双方の理解不足や準備不足などによるミスマッチを出さないためです。
研修生と受入農家双方が意気投合すれば、次の最大2年間の農業実務研修に進みます(安東さん、津山さんは実務研修生)。
研修中は研修費として年額150万円の支給を受けながら(要件あり)、地域の一員となれるよう農業だけでなく地域行事などにも積極的に参加してもらいます。
こうして、人と人とのつながりを深めることで、就農までに農地や住居が確保されるケースが多くあります。
もう少し詳しく就農までの流れを知りたい方、びほく地域やトマトのことをもっと知りたい方、まずはお気軽にお問合せください。現地案内もしますよ!

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岡山県が実施している新規就農研修のイメージ


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JAびほく

公益財団法人 岡山県農林漁業担い手育成財団
〒703-8278 岡山県岡山市中区古京町1丁目7-36 岡山県庁分庁舎4階
電話:086-226-7423 Fax:086-206-7330

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