カラスのお悩み解決Q&A
Q:ビニールハウスをわざわざ設置したのに、ビニールを破って農作物を荒らされてしまいます。
A:カラスはなぜかプラスチック素材を突くのが好きなようです。感触が良いのかもしれません。そのためビニールハウスも突かれてしまうことがあるようです。突くまでのカラスの動きを考えると、高いところに一旦止まる傾向があります。そこで、ビニールハウスの上部にテグスを張って止まりにくくすると、被害が防げる可能性が高まります。とにかく止まりにくくさせることが重要ですが、テグスを張る位置や高さなどはその場の環境などにも左右されると思うので、いろいろ試しながらやってみてください。
Q:カラスはカカシを恐れると聞いて設置したのですが、すぐにカラスが慣れて効果がなくなってしまいます。長期的に効果が続くものはないのでしょうか?
A:一つのもので長期的にというのはなかなか難しいのですが、カラスを寄せ付けない方法として、カラスにとって目新しいものを置く方法があります。どんなものでも「昨日までなかった奇怪なものがあるから、近づかないでおこう」とカラスが警戒し、一時的に近づかなくなる効果があります。私はこれを伝統的な鳥害対策である「カカシ」になぞらえて、「カカシ効果」と呼んでいます。この「カカシ効果」を利用する事で、安価で簡単にカラス対策ができます。
大事な点は、カカシ効果がなくなったあとに、「もの」を片付けてから新しい「もの」を設置する事です。多くの人は効果がなくなった「もの」でも、置かないよりはマシと思い、片付けようとはしないでしょう。しかしすでに慣れてしまったものを残しておくと、カラスは「あそこは奇怪なものがいろいろあるけど安全だ」と認識してしまいます。次々にカラスが警戒しそうなものを変えて、前のものを片付けてから設置していくことが、この対策の秘訣です。
Q:簡単に用意できて、カカシ効果が見込める「もの」はありますか?
A:視覚が優れるカラスは風に揺られて不規則に動くものや、キラキラ光るものを警戒するので、使い古された方法ではありますが、CDをぶら下げると有効かと思います。その他には、クリスマスの飾りや風船をつるしただけでカラスが来なくなり、被害が無くなったという話もあります。また、音が出るおもちゃなどでも効果があります。その場合、大きな音である必要はなく、その場に飛来した際に聞こえる程度の音量で十分です。また、これらの刺激は数が多ければ効果がある、という訳ではありません。一種類ずつ置き、効果が無くなった時点で必ず撤去するようにしてください。
Q:カラスが牧場や畜舎に侵入してくることで、感染症などの原因にならないか、気になっています。
A:畜舎には家畜の餌があり、それを求めてカラスが飛来します。カラス自体は感染していなくても、家畜に影響のあるウィルスや細菌を足の裏に付けて運んでいる可能性があります。侵入を防ぐためにはネットで牛舎を覆い、物理的に防ぐことが一番ですが、現実的には難しいでしょう。すぐにできる対策として、先ほどお話しした「カカシ効果」が見込めるものを置くことをお勧めします。また、当社の音声貸出サービスで使用する、カラスに警戒心を抱かせる音声も効果があることを確認しています。
Q:カラスの苦手なものや、天敵はいますか?
A:タカなどの猛きん類にカラスが捕食されることもあり、一応天敵と言えます。「一応」と前置きを入れるのは、1対1であればタカの方が強いのですが、多くの場合で、タカ1羽に対しカラス多数となり、かえってタカがやられてしまうこともあるからです。
強いて天敵と言うならばヒトかもしれません。育雛(いくすう)期に親ガラスが子供を守るため、決死の覚悟でヒトに威嚇攻撃をすることはありますが、実はカラスはヒトを恐れています。カラスはヒトの目線を気にするので、街なかや畑にいるカラスをじっと見つめるだけできっと逃げていきますよ。
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カカシやCDを使った鳥害対策を見かけた事はありますが、設置後にも対応を変えていく必要があるのは意外でした。カラスによる被害に悩まされている人は、塚原さんからのアドバイスをぜひ実践してみてくださいね!