仕組み化ってなんですか〜ルールやマニュアルを超えた仕事の哲学〜【農家のお悩み解決!おすすめビジネス書#09】

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仕組み化ってなんですか〜ルールやマニュアルを超えた仕事の哲学〜【農家のお悩み解決!おすすめビジネス書#09】

連載企画:農家のお悩み解決!おすすめビジネス書

仕組み化ってなんですか〜ルールやマニュアルを超えた仕事の哲学〜【農家のお悩み解決!おすすめビジネス書#09】
最終更新日:2020年02月07日

「農業経営の裾野を広げる、業界外の知恵」という視点で、佐川友彦さんにお気に入りのビジネス書を紹介してもらう連載第9弾。今回のテーマは「業務や組織の仕組み化」です。

仕組み化の真髄を学んで、仕事の安定運航術を身に着けよう

「仕組み化」は業務効率化や経営マネジメントに不可欠だという話を、みなさんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。ルールやマニュアルを作り、それに沿って正確な業務を繰り返す「仕組み」は、学習サイクルを早め、ムダやムラを削減し、属人化を防ぎ、トラブルを回避し、業務品質を安定させてくれるなど、数多くの効用があります。トヨタ生産方式に代表される仕組みづくりは、日本の製造業の品質と評価を底上げしてきた、いわばお家芸です。そこから転じて近年、農業の現場にも製造業レベルの生産管理を、と言われるようになりました。実際に5S活動や業務標準化を進めて、高効率な農業生産に成功されている農業生産法人さんもいらっしゃいます。

しかし、実際に農業の現場で業務改善に携わった経験から私は、他業界の仕組み化をそのまま小規模農業に持ち込むのはハードルが高いと感じています。予算も人数も大企業とは比べ物にならないですし、社内制度や教育研修といったものもほとんどなく、小規模ではスケールメリットも見込めません。「マニュアルの作り方がわからない」「作ったルールが機能しない」といった声も聞きます。仕組み化は一日にしてならず。理論をしっかり学んで、弾力的に運用しないと機能しません。

そこで今回は、仕組み化に極限まで取り組んだ大企業から、組織開発まで踏み込んだ仕組みづくりについて学びたいと思います。仕組みづくりに失敗し続けている方、必読です。

「無印良品は、仕組みが9割」から学ぶ、マニュアルと人材育成

無印良品は衣服、雑貨、食品など生活品全般を提供する株式会社良品計画のブランドです。国内外で975店舗を展開し(2019年2月時点)、ナチュラルなトーンで統一された製品群は数多くのファンに支持され、丁寧な生活スタイルの象徴ともなっています。

商品や店頭は優しく温かい雰囲気の無印良品ですが、支えているバックヤードは非常に緻密に管理・運用されています。本書のタイトルどおり、商品開発から経営、接客や商品ディスプレイの細部まで、MUJIGRAM(ムジグラム)と呼ばれるマニュアルによって「仕組み化」されているのです。書中ではマニュアルの作り方やフォーマット、更新方法など、無印良品で実際に経験した運用のコツが惜しみなく解説されています。

また、マニュアルについて大切な真理がもう一つ触れられています。それは、マニュアル運用と同様に仕組み化の両輪を担っているのは「組織や社員の育成」だということです。仕組みは作って放置してしまうようでは、あっという間に形骸化します。機械やITが発達した現代でも、マニュアルに血を通わせ、現場に行き渡らせるのは社員であり組織なのです。個人の働き方を見直す提案や、マニュアルによる組織開発について、紙面を割いて紹介されていますので参考にしてください。

本書の内容は、「大企業のやり方はまねできない」「製造業と農業は違う」と敬遠するようなものではありません。むしろ、経営規模や業界を問わず、誰でも明日から始められる仕組みづくりについて、わかりやすく解説してくれています。私も阿部梨園の経営改善に着手した頃に読み、大いに参考にさせていただきました。すべての農業者さんに必ず読んでいただきたい名著です。

無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい
著者:松井忠三
出版:KADOKAWA

「現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結」から学ぶ、仕組みを質に変える完結力

仕組みの力を組織の力に変え、品質の力に変えてきたのが、カイゼンの世界的総本山ことトヨタ社です。日本を代表する自動車メーカーの一つであるトヨタは、究極の仕組みとも言える「カンバン方式」を編み出し、その生産性の高さで世界の覇権を握りました。トヨタ式の業務改善や品質管理の方法論は世界中に広がり、製造業の歴史に名を残しています。近年、トヨタ式に加えられた重要な概念の一つにJKKというものがあるのをご存じでしょうか。JKKとは何を隠そう、本書のタイトルにもなっている自工程完結(Ji-Koutei-Kanketsu)です。

自工程完結はその名のとおり、自分の業務を自ら完結させるということです。自分の業務を仕上げられずに何度も上司や部下とのやり取りを繰り返しているようでは、時間や機会の損失が生まれます。自工程完結のための適切な判断や段取り、コミュニケーションを積み重ねることでムダやリスクが軽減され、結果として業務品質が濃縮されます。海外に比べて生産性の低かった国内オフィスにも変革が起き始めたという話です。

「農業の現場にも勘のいい、気の利く、決断力や影響力のあるスタッフが居てくれたらなぁ〜」と、ついつい妄想してしまいますよね。ないものねだりの前に、「勘がいい」「気が利く」「決断力がある」「影響力がある」とはどういうことか理解することが先決です。要素分解できれば、現有戦力にスキルを磨いてもらうことも可能です。本書を熟読して、仕組みを作り、仕組みを変えてくれるような、「自ら考えて完結できる社員/組織」を育成しましょう。

現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結
著者:佐々木眞一
出版:ダイヤモンド社

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