「キャッサバ=タピオカ」は勘違い?

2019年の流行語「タピる」で話題のタピオカ
ここ数年、大流行のタピオカドリンク。タピオカって何からできているか知っていますか?
実は「キャッサバ」という芋からできているんです。

これがキャッサバ!
キャッサバについては、下の記事で栽培方法まで紹介しています。
上の記事で紹介しているとおり、日本でも栽培できるキャッサバ。
そんなちだに「静岡県内でキャッサバを育てている人がいる」という情報が入りました。
実際儲かるのか、タピオカブームが去ったらどうする気なのか……。
日本人にとっては近くて遠い存在のキャッサバの正体を突き止めるべく、静岡県内でキャッサバを育てている二人に話を聞いてきました。
なぜ、日本でキャッサバを? 滝浪さんの場合
滝浪アデマル紀夫(たきなみ・あでまる・のりお)さんはブラジル日系二世で、日本に来て30年ほど。
現在は人材派遣会社の役員をする一方、静岡県袋井市で野菜の栽培・卸会社を経営。パクチーやレタスなどを栽培する一方でグアバやパパイヤ、アボカドといった熱帯作物も作っています。
野菜栽培用のハウスは100棟ほど。60歳を超えて会社役員をしつつ自分の会社も経営をするという(僕からみたら)超人。
日系二世の滝浪さんは、なぜ日本でキャッサバを育てようかと思ったのか、という僕の質問に開口一番こう答えてくれました。
ブラジルで日常的にキャッサバを口にしていた滝浪さんにとって、キャッサバが
- 栽培に手がかからない
- (キャッサバになじみのある)外国人居住者に需要がある
というのは以前から想定内だったそうです。
30年前に日本に来た滝浪さんは、13年前に家を建て、裏にあった畑に小さなビニールハウスを建てたそうです。
そこで少しずつキャッサバや他のブラジル野菜を育て始めました。
今では露地で6000本のキャッサバを育てていて、さらに温室7棟で1000本のキャッサバを越冬させて苗木の栽培もしています。

温室内で語る滝浪さん。ここでキャッサバを越冬させ、翌年の苗木にする。
毎年15トン以上のキャッサバを収穫していましたが、今年の収量は約7トン。
原因は、長雨。
他の野菜もそうですが、特に日本であまり栽培実績がない野菜を育てるには相応のリスクもあることをきちんと認識する必要があります。
滝浪さんのキャッサバの販路。生のキャッサバは鮮度が命!
野菜栽培・卸会社を経営する滝浪さんには、生のキャッサバの注文が遠く広島や東北地方などからも届きます。
また、苗木を買い求める人も多いそう。
そんなに需要があるなら、なぜキャッサバを輸入しないのでしょう?
日本国内のキャッサバの販売価格はおおよそ1キロ700円ほど、対してブラジル国内では1キロ100円以下だそうです。
その理由は、鮮度です。
常温保存だと数日、冷蔵で1週間ほどしかもちません。
でも、冷凍すればかなり長い間もちますよ。
一定の需要があるとはいえ、ブラジルなどから冷凍保存されたキャッサバを輸入するほどではない。
だから、国産キャッサバの需要があるんですね。
なぜ、日本でキャッサバを? 西下さんの場合
西下はつ代(にしした・はつよ)さんは静岡県菊川市で年間3万人以上が訪れるブルーベリー農園を経営。
ブルーベリーがまだ世に認知されるはるか前の1983年から栽培を始めただけでなく、今も青パパイヤやキャッサバを栽培するなど常に時代の先を行く人。
70歳を超えても軽トラを乗り回し、会社経営しつつユンボに乗ってキャッサバ畑を整地する(僕からみたら)超人。
西下さんの農園がある菊川市には、自動車部品工場や製茶機械の工場などが多くあり、市の人口約48000人に対してブラジル人が1700人ほど居住しています(2017年4月末時点)。
市内にはブラジル料理を出すお店もあります。
西下さんがそのブラジル料理店のそばを通ったところ、店の裏の畑で草丈2メートルを超えるトウモロコシを見たそうです。
そしたら、「キャッサバを育てたいんだけど」と相談されたのがきっかけです。
ブラジルの人たちにとって、キャッサバは故郷の味です。
でも、日本で手に入れるのは難しい。
また、新たに農地を手に入れるのも簡単なことではありません。
そこでピンときた西下さんはキャッサバを作り始めることにしたそうです。
8年前、まだ今のタピオカブームの気配はなかったころです。
西下さんがキャッサバを作り続ける理由
キャッサバと出会った西下さんは、その後滝浪さんから苗を譲り受け、栽培を開始しました。
今では60アールほど作付けし、今年の収量は約4トン。
さらに温室でキャッサバを越冬させて、苗の生産と販売もしています。
キャッサバを作り続ける理由として、西下さんは2つ挙げてくれました。
また、手がかからない割に収量も多く販売価格もいいので続けられますね。
そう、キャッサバ栽培はほとんど手がかからないんです。
何せ荒地でも育つので肥料もやらず、乾燥に強いので水をあげる必要もありません。
ほぼ放っておいてもOKなんて、ありがたいですね。
これを食べて故郷を思い出していただけるのはとてもうれしいですし、それもキャッサバを作る一つの理由ですね。
地域の方のニーズを捉えるのは非常に大事なことなんですね。
野菜を育てよう!と考えた時に地域に住む海外の方のニーズを探る、というのはとても大きなヒントだと感じました。
実はちだ、昔青年海外協力隊でウガンダにいたころ、よくキャッサバを食べていたんです。

こちらは、西下さんのところでいただいたキャッサバの素揚げ。懐かしさ抜きでおいしい
アフリカでは日常的に食されているキャッサバは、日本に暮らすアフリカ出身の人々にとっても懐かしい食べ物なんですよね。
作りやすくて、暑さに強い! キャッサバは日本でも作られるようになるかも!?
というわけで滝浪さんと西下さんから、強くキャッサバ栽培を勧められたちだ。
確かに栽培は比較的やりやすそうだ。
とても心を揺さぶられる魅力的な作物です。
そしてもう一つ、キャッサバ栽培に魅力を感じた理由があるんです。
今年の夏、野菜作りに挑戦したちだは強く思ったことがありました。
それは
暑すぎる
です。
暑すぎて作業ができない、というのはもちろんですが
暑すぎて今まで作れていたものが作れなくなるのでは?
という懸念も生まれました。
実際はオクラもトマトもカボチャも育ったので杞憂(きゆう)ではありました(シカに食べられたけど)。
しかし、これからどんどん暑くなったら本当に野菜が作れなくなる未来が来るかもしれません。
でも、キャッサバなら大丈夫なんです。元々熱帯の作物ですから。
いわゆる耐暑性が強いので、日本の夏でもぐんぐん育ちます。
さらに、基本何もしなくていいので暑い中作業をすることもありません。
なんということでしょう。そうなったら、日本人がキャッサバを普通に食べる世界になるのかもしれません。
タピオカだけじゃないキャッサバ。
僕も、来年の夏に作ってみようかな!