試行錯誤から始まった異分野へのチャレンジ
木内計測が、植物工場のプロジェクトを立ち上げたのは2013年のことでした。
「本業である電力や石油プラントなどの制御・メンテナンスで培った技術力を、他の分野に活かせないかという話からスタートしました。みんなでアイデアを持ち寄る中で、私の『人に不可欠な食に活かしたい』というプランが採用された形です」と安井さん。
ただ、農業の知識はほぼゼロ。そのため大学のゼミ参加や、図書館で調べ、基礎から学んでいきました。最重視したのは、お客様の立場に立ち、より身近な製品にすること。
そこで生まれたのがコンテナを使用したコンパクトな植物工場です。内部を公開し、実際に見てもらい、納得した上で導入していただきたいと考え、2016年には栽培技術の実証実験など、総合的な植物工場の研究施設としてコンテナ5棟を連結させた『完全人工光型植物工場研究施設』を開設。コンテナ内も、栽培の実証実験も見学可能にしました。
結局、ある程度の納得がいく製品にするまで3年の年月を要したものの、フリルレタスを高機能野菜として育て、カリウム含有量を大幅にカット。種まきから収穫までを33日間で実現させ、栽培品の一部は販売しています。
レタスからイチゴさらに次の野菜へ
一方で営業活動にも力を注ぐ中、うれしい出会いもありました。名古屋市内でスイーツ処『めるたん』を運営する竹田社長が展示会で興味を持ち、何度も見学し導入してくれたのです。
「夏の誕生日の子にも、おいしいイチゴが乗ったケーキを食べさせてあげたいと思っていたのです」と竹田社長。
水耕栽培の植物工場では、根菜類の栽培は難しいとされています。ただ実が横に伸びていくイチゴなら、液肥や光の当たり具合などの組み合わせを調整することで栽培可能であることを実証。現在は店舗の駐車スペースに20ftのコンテナを設置し、80株のイチゴの通年栽培にチャレンジしています。
「1度目は停電などで中断しましたが、安井さんの提案で次の種植えまでの期間を利用して、フリルレタスを栽培し、新メニューのサラダプレートなどを提供できました。改造なしで別品種が栽培できることを実感しました。コンテナの壁面はディスプレイスペースにもなり、集客効果の面でも役立っています」と竹田社長。
安井さんも月に1度は訪問し、機器のメンテナンスや作業のフォローなどを行っています。今回の竹田社長の取り組みを成功に導き、さらに野菜のレパートリーを増やしていきたいそうです。会社と業界を牽引するキーパーソンは、あらゆる可能性の実現を目指しています。
株式会社木内計測 計装事業本部 技術課 安井 弘さん
コンテナ型植物工場プロジェクトの発案者。「農業の専門家でない分、斬新な発想ができる」を身上にしています。
今回の『めるたん』さまの事例をはじめ、国内外の様々な業種の方々からお問合せをいただいています。お気軽にお問合せいただけますよう、お待ちしています。
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