無農薬や減農薬での米作りの「規模拡大」を支える三菱の技術
有機農業を通じ、地域振興に取り組む自治体のネットワークが令和元年8月に始動しました。
農林水産省の資料『有機農業をめぐる事情』によれば、日本の耕作面積に占める有機農業の取組面積はわずか0.5%にすぎません。また、有機農業に取り組む農業者が規模を拡大しない理由は「労力がかかる」ことだとしています。
慣行栽培に取り組む農業者の約6割が「有機農業に取り組みたい」との意向があるものの、二の足を踏むのも同様の不安があるからなのでしょう。
米作りで、そんな除草作業を大幅に軽減してくれるのが、三菱マヒンドラ農機の紙マルチ田植機です。
三菱独自の紙マルチ敷設・稚苗移植技術は、代かき後の田面に専用の紙を敷き、その上から苗を突き刺すように田植えを行います。紙が日光を遮断することで雑草の生長を抑えることができ、除草作業の負担を軽減してくれます。
微生物が分解し、紙マルチは40~50日で溶解しますが、その間に稲がしっかりと生長し、雑草が生えにくくなっているので、その後の除草作業の負担も軽減されます。
紙マルチ田植機のユーザーに聞く!
石川県で「農家ふじた」(水稲8ha)を経営する藤田さん夫妻は、平成31年に紙マルチ田植機を導入した新規ユーザーです。
平成22年に有機JASの認証を取得するなど、長年、有機栽培での米作りに取り組んでいます。体力的に雑草との闘いに限界を感じていたときに紙マルチ田植機の存在を知り、コシヒカリの有機栽培を行う1.8haの圃場で使い始めました。
「初年度は、紙のセットが大変だったり、苗が転ばないように微調整が必要だったりはしましたが、初期除草の手間がかからず、ほかの仕事ができるなど、導入した価値がありました」と評価します。
秋田県で無農薬や減農薬での米作りに取り組んでいる「山本開拓農場」(水稲14.2ha)の土橋さん(写真左側)は、平成12年から約3haの圃場で紙マルチ田植機を利用する大ベテランです。
紙マルチ田植機のコツを伺うと「強風で紙がめくれたりするので、条件の良い日に植えること。密着させるために田面が乾き過ぎていたら、水を入れること。焦らず植えつけのスピードをあげないこと」で、とにかく丁寧な作業が雑草の抑制に直結すると土橋さん。
食の安全や安心への関心が高まり、有機農産物へのニーズは年々拡大しています。除草にかかる労力を削減し、付加価値の高い米作りの規模拡大を支える紙マルチ田植機に注目です。
取材協力:農経新報社