使い終わった土はどうする?
本格的な冬を迎え、今シーズンも予定していた栽培がほぼ終わりました。ぐずぐず引き延ばしていた夏野菜も多くは片付け、秋植えの野菜もほとんど収穫を終了。そして最後に残ったのは、大量の使い古しの土です。さて、これをどうしようか。
土のリサイクルが必要な理由
来年以降の栽培に再利用するなら、土のリサイクルをしなければなりません。一度使っただけの培養土ならば、そのまま2度目の栽培を始めてしまうこともあるのですが、何度も繰り返し使っていると、いろいろと心配。というのは、下記のような問題点が懸念されるからです。
- 病原菌や害虫が潜んでいる
- 酸性度のバランスが崩れている
- 栄養分が減っている
- 排水性・保肥性が悪くなっている
これらを踏まえて、土の再生をします。昨年はリサイクル材を購入して古い土と混ぜるだけの最も簡単な方法で行いましたが、今年は一歩進んで、自分なりのやり方を多少なりとも導入したい。そこで、上記の点に対策を施しつつ古い土を土台にした新しい土づくりをしました。
実際に行った古い土への対策
1. 病原菌や害虫が潜んでいる
→【対策】天日干しする
これは今までも行ってきたことですが、使い終わった土はシートの上にひっくり返して1週間以上、天日干しをします。日光消毒して病気のリスクを減らすことが目的ですが、より確実にするためには、熱湯消毒したり、お湯をかけた土をビニール袋に入れて蒸し焼き状態にして消毒したりする方法もあります。土の消毒剤などもあるようです。
2. 酸性度のバランスが崩れている
→【対策】石灰などを使って中性化する
1年目にはほとんど意識していなかったのですが、水やりの回数が累積するうちに一部の土が酸性に傾いてきていたようです。それを意識したきっかけはパプリカ栽培で、ついた実の尻の部分が腐ったようになる尻腐れ病と思われる症状が出ました。
尻腐れ病の主な原因はカルシウム(石灰)不足。そこで、家にあった草木灰を土の表面にまいておいたところ、劇的に状態が改善して、次の実からは同じ症状は出ませんでした。
酸性化した土を中和するものには、有機石灰、苦土石灰、硝酸カルシウムなどさまざまなものがありますが、プランターの場合、効果がおだやかなものから始めるのがいい気がします。この辺はそーやん師匠の記事に詳しく解説されています。
我が家では、前出の草木灰のほか、もみ殻くん炭と粒状の苦土石灰を用意し、繰り返し使った土に混ぜてみました。比較のためにと思い、一応、種をまいてみましたが、寒すぎてもちろん発芽せず。1週間ほどおいてから試しに「pH試験紙」を使ってみました。
それぞれの土を水に溶かして、pH試験紙を浸してみましたが……結果は微妙。上澄みをきれいにこして測り直してみても大差なかったので、もともと極端な違いがなかったのだと思われます。
ただ、試験紙自体はきちんとpHを測れるようなので、今後また心配になった時にはこの方法で対応できそうです。
3. 栄養分が減っている
→【対策】腐葉土や堆肥(たいひ)などで栄養分を補う
4. 排水性・保肥性が悪くなっている
→【対策】赤玉土などを入れて排水性を良くする。バーミキュライトなどを入れて保肥性を改善する
栽培に使用した後の土は栄養分が減っているだけでなく、使ううちに土の粒子が細かくなって水はけが悪くなっています。これらについては土づくりの中で、同時に対策しました。
我が家で用意したのは、腐葉土、赤玉土、もみ殻くん炭の3つ。それぞれに次のような効果を期待してそろえました。
【腐葉土】栽培で減ってしまった栄養分を補給する。排水性の改善にも効果がありそう。
【赤玉土】主に水はけを良くするために投入。今回購入したのは中粒ですが、市販の培養土などを見ると小粒が使われていることが多いよう。保肥性は期待できません。
【もみ殻くん炭】商品の袋によると、酸性土壌を中和するだけでなく、保水性・通気性を良くしたり、保肥性を良くしたりする効果があるそう。
どのくらいの割合で混ぜるかは迷うところですが、商品の袋の裏に目安が書かれていました。また、いくつものサイトや実用書にあたって得た情報を総合して、今回は腐葉土、赤玉土、もみ殻くん炭を「2:2:1」から「3:3:1」くらいの割合で配合しました。これを古い土に同量程度の割合で混ぜ込んで新しい土としました。
土づくりは百人百様
新しい土ができて、次の種まきが待ち遠しくなりました。今回はごく簡単に、腐葉土、赤玉土、もみ殻くん炭の3種類のみを使って土を作りましたが、どのような材料を使ってどのような割合でブレンドするかはベランダ菜園家の数だけあるものなのでしょう。
この土だって、うまく育つかどうかはさらに1シーズン使ってみなければわかりません。そこからさらに修正を加えていく必要もありそうです。2年目の終わりにして、そういった土づくりの試行錯誤の道のりの一歩をようやく踏み出したということだと思います。
◆次回、書ききれなかった数々の“事件”を一挙放出!