ミニ対談:加入者に聞いた農業者年金の魅力
農業者年金は、農業者に特化した、国⺠年⾦に上乗せできる公的な終身年金です。
その魅力について、まずは、加入者の声から紹介します。どのような思いから加入して、メリットを感じているのでしょうか。全国農協青年組織協議会(JA全青協)会長である今野邦仁(こんの・くにひと)さんに、農業者年金基金の西惠正(にし・やすまさ)理事長が、その思いを聞いてみました。
全国農協青年組織協議会 会長 今野 邦仁 さん 昭和52年、北海道上川郡和寒町生まれ。42歳。拓殖大学政経学部経済学科卒業後、会社勤めを経て平成15年に就農。父親を経営主とする家族経営で、現在、秋小麦、大豆を25ha作付けしている。 |
農業者年金基金 理事長 西 惠正 さん 昭和52年、日本興業銀行入行。平成25年みずほ銀行常務取締役 市場ユニット長、平成28年アセットマネジメントOne代表取締役社長を経て、平成30年4月から現職。 |
※役職は対談を行った令和元年10月時点のもの
家族のことを考え、もしものために加入
今野:私は北海道で、父親を経営主とする家族経営で農業を営んでいます。加入前は、正直なところ、年金に頼るという考えは持っていませんでした。生涯現役というライフプラン描いていたからです。
西:何か転機があったのでしょうか?
今野:将来、自分が経営主になったときに家族に何か残しておかなければという思いを持っていたからです。それまでも農業共済や、年金付きの生命保険に加入するなど、もしものために自分なりに手厚く準備してきたつもりでした。しかし、妻と3人の子供のため、家のローン、教育、病気、介護、農作物被害などに直面したら……。そう考えたときに、「老後の備え」として国民年金だけでは不十分なのは明らか。そこで、それまでの生命保険に加えて農業者年金に加入することにしました。
加入メリットの多さが農業者年金の魅力
西:農業者年金のどんなところに魅力を感じましたか?
今野:私は、農業者年金を「金融商品」だと思っています。私の営農ビジョンでは、収入を増やすというより支出を減らして利益を出すことが重要。
中でも、税金の負担が最もネックだと思っていました。その点、農業者年金は、支払った保険料が全額社会保険料控除の対象となるので、とても魅力に感じました。
西:なるほど。経営的な観点から農業者年金の加入を検討されたのですね。他に魅力に感じることはありますか?
今野:農業者年金は、保険料の額も自由に設定できるので、その時の自分の経営状況に対応できる弾力的で面白い金融商品ですね。
更に、万が一80歳前に亡くなった場合でも「死亡一時金」という制度があることもわかり、安心して加入することができました。
妻はまだ農業者年金に加入していませんが、いずれ自分のライフプランを考える中で、農業者年金の加入も選択肢のひとつとして検討することになると思います。
農業者年金6つのメリット
今野さんが、たくさんの魅力を感じている農業者年金。詳しく紐解くと、以下の6つのメリットがあります。
1.農業者なら広く加入できる
農業者年金の加入資格は、以下の要件を満たす方です。
・年間60日以上農業に従事
・国民年金の第1号被保険者(国民年金の保険料納付免除者を除く)
・20歳以上60歳未満の方
加入対象が広いことが特徴であり、要件を満たす方であれば、自営業との兼業農家、配偶者、後継者とその配偶者、農家のパートさんなど農業従事者、農地の権利名義を持たない畜産・施設園芸等農業者なども加入できます。
加入には二つの種類があり、保険料の国庫補助を受けない「通常加入」と、保険料の国庫補助を受ける「政策支援加入」があります。
2.積⽴⽅式・確定拠出型で少⼦⾼齢時代に強い
現行の農業者年金は、加入者が積み立てた保険料をその運用益を合わせた額により将来受け取る年金額が事後的に決まる積立方式の確定拠出型です。
これは、保険料を支払っている方の数や年金を受給している方の数が変化しても、その影響を受けない財政的に安定した制度ですので、少子高齢時代でも安心できる制度です。
3.保険料の額は⾃由に決められる
通常加入の保険料は、月額2万円から6万7000円までの間で、千円単位で自由に選択でき、加入後でもいつでも見直すことができます。(政策支援加入の場合は月額2万円に固定)
このため、農業経営や生活にゆとりがないときは保険料を少なくし、ゆとりができたときは保険料を増やすことができ、農業経営の状況や老後設計にあわせて保険料が選べる弾力性のある制度です。
4.終⾝年⾦であり、もし80歳前に亡くなられた場合は死亡⼀時⾦がある
受け取る年金のうち、加入者全員が受け取ることができる「農業者老齢年金」は加入者が支払った保険料とその運用益を基礎として、裁定された年金額を原則65歳から終身(生涯)受け取ることができます。
もし80歳前に亡くなられた場合は、80歳までに受け取れる予定であった農業者老齢年金の相当額が、死亡一時金として生計を同じくする遺族に支給されます。(加入期間と運用益等によっては、死亡一時金が払い込んだ保険料を下回ることがあります。)
5.税制⾯の優遇措置が⼤きい
農業者年金は、さまざまな優遇措置があります。
1)支払った保険料が全額社会保険料控除
その年に支払った生計を同じくする家族分を含めた保険料の全額が、社会保険料控除の対象になります。
2)年金資産の運用益が非課税
一般の預貯金等の利子には税金がかかりますが、農業者年金の運用益は非課税ですので、その分、年金原資が多くなります。
3)受け取る年金も公的年金等控除の対象
農業者年金として受け取った年金は、公的年金等控除の対象となり、65歳以上の方であれば、公的年金等の合計額が120万円までは全額非課税となります。
4)死亡一時金は非課税
被保険者又は受給者が死亡した場合に遺族に支給される死亡一時金は、非課税となっています。
6.⼀定の要件を満たす農業者には保険料の国庫補助がある
次の3つの要件を満たす方は、月額2万円の保険料のうち1万円から4000円の国庫補助を受けることができます。
・60歳までに保険料納付期間等が20年以上見込まれる(39歳までに加入)
・農業所得(配偶者、後継者の場合は支払いを受けた給料等)が900万円以下
・認定農業者で青色申告者など、必要な要件に該当する
申し込み方法は?支払い方法は? 農業者年金Q&A
次に、よくある質問などについて、Q&A形式で解説します。
「どこで申し込めばいいの?」
加入の申込みは、お住まいの農業委員会かJAの農業者年金の担当窓口で受け付けています。申込みの際には、保険料の振替口座番号と国民年金の基礎年金番号が必要です。
「保険料の支払い方法は?」
加入の申込み手続きが完了しますと、被保険者証がご自宅に届きます。届いた月以降、申込みのときに指定された口座から毎月23日(休日の場合は翌営業日)に自動振替となります。
保険料のお支払いは、毎月納付する方法と、翌年1年分の保険料を前納する方法があります。前納する場合の申込みは11月15日までで、12月23日に口座振替されます。
「事務費負担は?」
事務経費(人件費や施設費等)は国が負担しているため、加入者が負担する必要がありません。
「脱退は自由にできるそうだけれど、脱退したら保険料はどうなるの?」
脱退した場合、脱退一時金は支払われません。それまでに積み立てた保険料は、将来、年金として支払われます。脱退後も積み立てた保険料の運用状況を毎年6月に基金からお知らせします。
「年金資産の運用はどうしているの?」
農業者年金基金による年金資産の運用は、国内債券を中心に安全性を重視した資産構成により運用しており、制度発足(平成14年)から平成30年度までの運用利回りの平均は年率2.82%です。また、定期的に運用の専門家によるチェックも受けています。また、65歳の年金裁定時に、自分の年金原資が支払った保険料の合計額を下回る場合には、危険準備金からマイナス分が補填される仕組みがあります。
農業者年金は安心への選択肢
農業者年金は、老後だけを見据えてのものでなく、今ある農業経営にも役立てられます。大切な家族の安心のためにも、大きな選択肢になることでしょう。詳しい内容などは、農業者年金基金へお気軽にご相談ください。
【問い合わせ先】
独立行政法人 農業者年金基金
〒105-8010 東京都港区西新橋1-6-21 NBF虎ノ門ビル5階
TEL:03-3502-3942(企画調整室)
資料請求はこちらから