長崎県内トップクラスのトマト農家
島原半島西部に位置する雲仙市は温暖な気候と火山性土壌の肥沃な土、そして水はけの良さを生かして農業が盛んに行われていますが、とくにジャガイモは石垣の段々畑を利用した栽培で北海道に次ぐ全国2位の収穫量を誇っています。
また施設園芸ではトマトのほか、近年はイチゴ作りが盛んに行われて県内一の収穫量となっています。
九州もこの冬は暖冬だったそうですが、取材当日(2月18日)は前日から観測史上最も遅い初雪が降り、付近の雲仙岳や多良岳が冠雪して秀麗な山容を見せていました。
雲仙岳の麓近くの風光明媚な千々石町でミニトマトを栽培しているのが田中将太さん(36歳)。お父さんの一喜さん(66歳)と県内トップクラスとなる総面積114㌃のハウスでミニトマトを栽培しており、労力は家族4人とパート8人、そしてベトナム人研修生2人の計14人で管理をしています。
2人は昨年、統合環境制御やマルハナバチ導入などによる収量向上や、地域貢献などが認められて令和元年度農林水産大臣賞と、ながさき農林業大賞・長崎県知事賞を受賞した親子鷹として話題になりました。
今回取材したハウスは平成30年度長崎県産地パワーアップ事業を活用して建てたもので、施工は諫早市の八江グリーンポート株式会社が行いました。県内はもとより近隣県で施工を行っています。
8年の耐久性!? 『スーパーダイヤスター』とは
ハウスは風速50mに耐える5連棟の低コスト耐候性ハウスで、面積3300㎡、長さ82.5m、柱高2.7m。間口8m。付帯設備として統合環境制御装置を設置しています。
フィルムは三菱ケミカルアグリドリームの8年耐久POフィルム『スーパーダイヤスター』を展張しました。
導入した理由について田中さんは、「既存のハウスにはダイヤスターを展張しています。このハウスを建てる時にコストの面から屋根型ではなく、丸屋根を選定しました。その丸屋根のメリットを最大限に生かすことのできるフィルム『スーパーダイヤスター』が販売されたことを知り、施工の八江グリーンポートさんからも薦められたこともあって選択しました。『スーパーダイヤスター』によって展張期間を延ばし、張替費用を減らすことは、フィルム本体のコストや留め具などの部材代に加えトータルコストの削減ができ、そのことは農家にとって重要なポイントだと思います」
『スーパーダイヤスター』は新配合剤の採用により、耐候性、透明性を向上、8年の連続展張を可能にした農POフィルムです。展張後の強度、耐硫黄性、そして無滴性の3項目については従来品のダイヤスターと同等の性能をもっています。
このほか、しなやかなフィルムなので展張作業性にも優れていることが大きな特長となっています。
ただし、高軒高ハウスでの展張や補修作業は危険(とくに強風時)であり、フィルムをより長く使用するためにはバタつかないように張ることが大切なので、こうした作業はすべてプロの八江グリーンポートに任せています。
「まだ2年経過したところですが透明性がものすごく良くて気に入っています。本当に8年使えるのかなと最初は思いましたが、5年張りのダイヤスターがきちんと性能を保持しているし、それよりもさらに性能アップさせたということなので期待しているんです。それに8年持つとなれば大事に使おうという意識も出てきます」
統合環境制御が徐々に普及され、換気が頻繁に行われるようになったため、フィルム強度が重要になってきました。その点についても『スーパーダイヤスター』は安心して使うことができます。
この冬は暖冬になって温度はあるけれども曇天が続いて光が不足したといいます。この日は午後から天候が回復して日差しが出てきましたが、非常に明るくて光の強さを感じることができました。
これからの農業
田中さんは組合員14名の西部ミニトマト部会のリーダーとして活躍しています。「ここは小さな産地ですけれども、もう少し生産規模を大きくして知名度を上げていくことも必要だと考えています。比較的後継者が育っているところなので、みんなで頑張っていこうと話し合っています」
農業大学校を卒業して就農しましたが、最初から農業をやるつもりはなかったそうです。
「私が小学生の頃はミカンやジャガイモ作りのほかに養豚もやっていましたが、とにかく重労働で大変そうだったから農業は嫌だったんです。しかし施設園芸に切り替わるとやってもいいかなという気持ちになりました」
花の栽培がしたくて菊などの勉強をしていたそうだが、就農してミニトマトを作ってみると花に切り替えようという気持ちはなくなったといいます。「ミニトマトづくりは面白いです。まだ自分は栽培が上手じゃないと思っていますけれども、技術を磨けば作物もそれに応えてくれてくれますからね」
今後の抱負について尋ねると、「いまは価格が低迷しているから収量を追っていかなければなりませんが、やはり味にこだわったものを毎年安定して作っていくようにしていきたいです」
施設園芸に切り替えてメロンを作っていたお父さんの一喜さんは30年前にミニトマト栽培を始めました。
「当時熊本のメロン農家がミニトマト栽培に切り替わっているということを聞いて、うちも、より高い所得を目指そうということで思い切って切り替えました。価格も安定していて順調にやってきましたが、最近は全国的にミニトマトがかなり増えているから生き延びるためにはこれからが勝負です。ですから息子には環境制御などより一層勉強して技術を磨き、高収量・高品質なミニトマトを作ってもらうことを願っています」と、一喜さんは将太さんの今後の活躍に期待しています。
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