「育成にも品質にも効果的な資材がほしい!」の声を反映した『ハイブリッド・アップシート』
これまで谷口産業株式会社では、温州みかん等の柑橘類や桃の露地栽培用に開発した『反射マルチシート』を製造し、全国の主生産地で販売してきました。その技術を生かし開発したのが、まったく新しいこの『ハイブリッド・アップシート』です。
開発にあたり、農家の皆さんの声をヒアリングするなかでも特に、植物の育成に欠かせない光合成を促進してくれる「高反射率」の実現は不可欠でした。そこで谷口産業が採用したのは、白いポリエチレンシートにシルバー(アルミ)の蒸着フィルムを張り合わせる方法。しかしこれは、異なる性質のシート同士を張り合わせるという、従来にない発想だったため、開発の大きな壁の1つでもありました。
およそ2年の開発期間の大半は、シートを張り合わせるための技術開発に費やしたと言っても過言ではありません。こうした努力の結果、反射率90%以上という驚異的な特性を備える製品が生み出されました。また同時に、反射率を追求した副産物として、「汚れがつきやすい」「滑りやすい」「数年ごとに張り替えるのが大変」など農家の皆さんの懸念をクリアすることにも成功します。作業後軽くホースで散水するだけで汚れが落ちるだけでなく、濡れていても滑りにくく、さらに10年以上の耐久性を実現したのです。
加えて、反射光によってアザミウマなど害虫対策にも効果が見込めるとあり、用途も広がっています。『ハイブリッド・アップシート』は多くの農家さんの悩みを解決する商品へと進化し、すでに全国規模で利用者を増やしています。
あいちの伝統野菜ファーストトマトの栽培に『ハイブリッド・アップシート』を導入
愛知県東海市で、ハートのカタチが特徴のファーストトマトや、カラフルなミニトマトを栽培する山中農園・園主の山中孝信さん。『ハイブリッド・アップシート』導入の理由を尋ねてみました。
「これまでは、反射シートなどは使わずトマトを栽培してきたのですが、日照時間が短くなる冬場に、生育が悪くなってしまうのが悩みでした。そんな中、定植時期を迎える直前にこの『ハイブリッド・アップシート』のお話をいただき、これで悩みが解決できるのではと感じ、すぐに導入を決めました」。と真っ黒に日焼けした笑顔で嬉しそうに語る中山さん。
取材は、ファーストトマトの温室に『ハイブリッド・アップシート』を導入して10日目のこと。実際に『育苗シート』を手にした感想を教えていただきました。「第一印象は、軽くて、丈夫ということ。実際に畑に敷く際も、とても使い心地が良かったです。まだ使い始めて10日なので、大きな変化はありませんが・・・。葉の緑色が、ライトを当てたように明るく見えるので、確実に光の量が違うように感じています」。
今後期待していることは「トマトの茎の太さを確認しながら、例年より元気に育つのであれば、いつもより摘果数を減らして、多めに収穫できるといいなと思っています」と、期待値は高い。
その後の進捗を伺ったところ、「1.2倍くらいの成長が見られました」「汚れが特に気にならず、スムーズに準備ができ、強度、生地が厚いので問題なく使えました」と、商品のメリットもトマトの成長も実感できたと喜んでいただけた様子。
福岡県のブランドイチゴあまおうの栽培にも『ハイブリッド・アップシート』を活用
福岡県久留米市で同県のブランドイチゴあまおうの栽培を手がける一方で、観光農園を営む古賀百伽さん。イチゴづくりを夫婦で開始して2年半(就農歴は3年)という短さながら、2人の人柄やイチゴの美味しさが評判を呼び、週末には県内外からイチゴ狩りを目当てに多くの来園者が訪れます。また、うるう農園は特別栽培(減農薬・有機農法)の認証(福岡県を)受け、安心安全を掲げた栽培に取り組んでいます。
古賀さんが『ハイブリッド・アップシート』の存在を知ったのは、2019年9月のこと。「12月から始まる本格的な出荷に向けて安定した収量の確保はもちろん、特別栽培の認証を受けている以上、病害虫をいかに防ぐかという点を常々考えていました。当然『ハイブリッド・アップシート』の試験導入のお話をいただいた時は、率直に試してみたい!と思いましたね」。
古賀さんが栽培する『あまおう』は、他の品種と比べ収穫時期の谷ができやすいといいます。取材で訪れた2月は特に株が休みやすい傾向にあり、コンスタントな収量を維持するためにも、「より良い肥培管理法を模索しながら、病害虫に強い健康的な株をつくることが一番の課題」。と古賀さんは付け加えます。
古賀さんは定植から3週ほど経過した11月のタイミングで、ハウス内5列の畝間に『ハイブリッド・アップシート』を敷きました。その作業は想像以上に容易いものでした。「5列でわずか20分です(笑)。シート自体に厚みとコシがあるので風にあおられることもなく、一人で敷けました。設置後の印象は 『明るい!』ですね。株を照らす日射量の違いにも驚きました」。また、その後の株の育成具合にも大きな変化がありました。「シートを敷いていない畝より花托(実)がなるスピードが遅く、当初は心配だったのですが、その後立て続けに、それも5Lクラスの大きさが次々に採れて・・・。一粒の大きさが、他よりひと回りも大きいので、クリスマスや贈答用として出荷する時期のイチゴとしては申し分なし。販売単価も上がり、収益率のアップにもつながりました」。
古賀さんが興奮気味に話すあまおうがこちらです。
1番花の出荷を終え、次に控える2番花の生育状況も気になるところです。ここでも『ハイブリッド・アップシート』を設置している畝とそうでない箇所を比較すると面白い変化があることに気づきます。「株が徒長しすぎず、力強さがあるんです。光合成が促された結果だと思います」。古賀さんの言葉どおり、シートを設置した株は背が低く、がっちりしています。株の成長に比例するように花托(実)が大きくなっていることは生産者である古賀さん以外の人の目にも明らかのようで、「イチゴ狩りのお客さんから『あの白いところのイチゴ、大きいですね』と言われます(笑)」。
一方、今年(2020年)は暖冬であることからも、特にアブラムシやアザミウマなどの発生が気になっていた古賀さん。しかし今年は、今のところ害虫被害による廃棄はほぼゼロ。例年であれば廃棄せざるをえないイチゴも出てくるはずですが、『ハイブリッド・アップシート』の強い反射光によって害虫の飛来を軽減できているようです。ちなみに、谷口産業の渡邊さんによれば、ハウス栽培におけるスリップス対策として、ハウス周りの地面に『ハイブリッド・アップシート』を敷けば、害虫の進入をより防ぐ効果が期待できるとのこと。
収穫期の谷が生まれやすいあまおうに対し、一時期に収穫が偏らないようにする方法として『ハイブリッド・アップシート』の可能性を感じている古賀さん。実際の費用対効果を図るには時期尚早かもしれませんが、日射量増加に伴う光合成の促進により、花托(実)の大きさ、糖度を含む秀品率の向上を目の当たりし、古賀さんは今後、シート活用面積を段階的に広げる計画です。「より良いものを作って、市場やスーパーに直売する私たちの営業スタイルにこそ、この資材は心強い存在ですね。昨年は定植から間もないタイミングでシートを設置したので、次回は花托(実)がつき始めてからにするなど、設置時期や期間を検討してみたいと思います」。
『ハイブリッド・アップシート』の効果を最大限に得られる条件は、置かれた圃場環境やつくる品種によって異なります。つまり、うるう農園的 一番の正解 は、古賀さんの先々の試みにかかっているとも言えます。その模索は3年、はたまた5年を要するでしょうか。いずれにしても、将来的に導き出される答えに、うるう農園、ひいては 『ハイブリッド・アップシート』の進化を見てとれることに間違いありません。
〇取材班より〇
今回は、トマトとイチゴの報告を行いましたが、利用実績は全国にわたります。農作物にも農家さんにも多くのメリットを提供してくれる『ハイブリッド・アップシート』は、お試しの価値は高いですよ。
【連絡先】
〇谷口産業株式会社
・〒597-0094/大阪府貝塚市二色南町8-3
・電話:072-432-1828
・お問い合わせメールアドレスはこちら
・URL:谷口産業のホームページはこちら
・URL:『ハイブリッド・アップシート』専用サイトはこちら
【取材協力】
〇あいちファーストトマト 山中農園
・〒476-0011/愛知県東海市富木島町新藤塚43
・URL:山中農園のホームページはコチラ
〇うるう農園
・〒830-0074/福岡県久留米市大善寺町夜明2072
・URL:うるう農園のホームページはコチラ