スイスチャードの栽培時期
スイスチャードの発芽温度は25度前後で、生育適温は15〜20度とされていますが、暑さ寒さに強く、ビニールハウスや暖地の露地栽培ではほぼ一年中育てることができます。そのため、途切れなく収穫できるという意味で日本では「不断草(フダンソウ)」という名前で親しまれてきました。越冬すると春に花が咲いて収穫できなくなるため、種を取る目的でなければ花芽がついた段階で栽培終了とします。
土づくり
スイスチャードは酸性土壌を嫌うので、播種(はしゅ)2週間前に苦土石灰を入れて耕し中性から弱アルカリ性にしておきます。さらに1週間前に元肥を入れて耕し、高さ10〜15センチ程度の畝を立てます。雑草がひどい畑の場合はマルチをするとその後の作業が楽になります。プランターで栽培する場合は市販の野菜の土を使うといいでしょう。
播種
スイスチャードの種は少し変わっていて、ごつごつした殻の中に、数粒の種が入っています。購入したときにはあまり種が入ってないなと感じるかも知れませんが、袋に入っている粒数の2〜3倍は種が入っていると考えていいでしょう。
種の殻は非常に硬いので、播種前日に一晩水につけておきます。
畑に播種する場合はまず畝の表面を平らにならし、深さ1〜2センチ、条間約20センチのまき筋をつけます。まき筋は支柱や木板を土に押し付けると簡単につけることができます。プランターにまく場合は、小さなプランターなら1列、大きなプランターなら2列まき筋をつけます。もしくは3センチ間隔のばらまきにして、小さいものをベビーリーフとして収穫しながら間引いていってもいいでしょう。
まき筋ができたら約3センチ間隔で、1個ずつ種をまきます。すべての種まきが終わったら、1.5センチほど覆土し、平クワなどで軽く鎮圧してからじょうろでやさしく水をかけます。プランターの場合は土が乾燥しやすいので、発芽するまで濡れた新聞紙をかけておくといいでしょう。
間引き
だいたい5〜10日ほどで芽が出てきます。スイスチャードの芽はホウレンソウに似た細長い双葉です。一見雑草のように見えるので、間違えて抜いてしまわないように気をつけましょう。大きくなれば丈夫なスイスチャードも、小さいうちは頼りない感じです。特に日当たりが悪いとすぐに茎がひょろひょろ伸びて曲がってしまいます。できるだけ日がよく当たる場所で、水やりのしすぎに注意しがっちりと育てましょう。
双葉の次に本葉が出てきます。この段階で間引きをしてもいいのですが、せっかくスイスチャードを育てるのならいろんな色が欲しいところです。発芽から間もなくは色がわかりにくいので、もう少し待って色がはっきりしてから間引くといいでしょう。本葉2〜3枚で5〜6センチ間隔、本葉4〜5枚頃に15センチ間隔程度に間引きます。大株に育てたい場合はさらに株間30センチくらいに間引きます。間引きははさみでおこない、他の株を抜いてしまわないように注意しましょう。間引き菜はサラダに入れて食べることができます。
追肥
最終の間引きのときに、追肥として化成肥料を条間に入れて、表面の土と軽く混ぜましょう。このときに根元に土を寄せて苗が倒れるのを防ぎます。その後は葉の色が薄いときや生育が鈍いときに追肥してやります。
収穫
スイスチャードは大きくなるとえぐみやアクが強くなり、茎も硬くなるので、15~20センチくらいの小さいうちに収穫するのがおすすめです。小さいときはやわらかくクセもないので生でサラダにいれて食べることができます。収穫の際は外側の葉からはさみで切り取ります。そうすると内側にある新芽が大きくなってまた収穫することができます。
大きくなってから収穫した場合は、ホウレンソウのようにさっとゆでてから調理するとアクが抜けて食べやすくなります。ゆですぎると色が落ちてしまうので短時間でゆでましょう。あえ物や炒め物に向き、煮物は煮汁が変な色になるのでおすすめしません。外葉から収穫していくと長いときは数カ月間収穫することができます。もちろん長く収穫しているうちに肥料がなくなっていくので、途中で生育が鈍くなってきたら追肥をおこなってください。
主な病害虫
葉物でもアブラナ科の水菜や小松菜に比べると害虫はかなりつきにくい野菜ですが、アブラムシやヨトウムシ、ハダニなどがやってきます。ヨトウムシの幼虫は、一カ所に100〜200個の卵を産み集団で葉を食い荒らします。防虫ネットをかけるか、農薬を散布して防除しましょう。
病気はべと病や、立枯れ病があります。特に苗の頃は湿り気の多い場所で立枯れ病が出やすくなります。発芽後は乾燥ぎみに育てましょう。
大きく成長した葉は色鮮やかでとてもきれいですが、味は好き嫌いが分かれるところです。若い葉はやわらかく食べやすいので、独特の味に慣れない人は小さいうちに収穫しましょう。発芽からしばらくは大丈夫かな?と思うほどひ弱に見えますが、一度大きくなってしまえば外葉を何度とっても新芽が出てくる丈夫な野菜です。畑の片隅に常備しておくと、カラフルな茎がぐっと料理を引き立ててくれるので重宝しますよ。