特定外来生物とは? オオキンケイギクって何?
オオキンケイギクを知っていますか?5月から7月頃にかけて、鮮やかな黄色の花をつけるキク科の植物です。
実はこの植物、特定外来生物に指定されています。
特定外来生物とは
特定外来生物とは、「海外起源の外来種であって、生態系・人の生命・身体・農林水産業へ被害を及ぼすもの、または及ぼすおそれがあるもの」と環境省に定義されています。飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外に放つことが原則禁止されています。
外来生物法により特定外来生物の輸入や取扱を規制することで、被害防止をはかっています。違反をすると内容によっては非常に重い罰則が科せられます。
なぜオオキンケイギクが特定外来生物に指定されたの?
オオキンケイギクは北アメリカ原産の外来種 です。根がよく発達し、荒地でもよく生育するため、冬季のグランドカバー効果(雑草対策や土壌流出防止など) が非常に高い植物といえます。花が枯れても見た目が汚くないという理由からも、道路わきの人工的斜面などに緑化のために利用されたり、家庭でも栽培できるポット苗としても生産・流通されていました。しかし、強健かつ繁殖力が強すぎるあまりに在来生態系を駆逐し、景観を一変させてしまう性質を持っているため、特定外来生物に指定されました。
被害は、長野県の天竜奥三河国定公園にある天竜川が例にあげられます。1976年に初めて確認されたオオキンケイギクは2000年頃から急速に分布を広げ 、お花畑を形成し、上流のほぼ全域でみられるようになりました。それに伴い、長野県固有のツツザキヤマジノギクやツメレンゲなど河川敷特有の植物がみられなくなりました。更には絶滅の恐れがあるとされるタコノアシやミクリなど貴重な植物の衰退も懸念されています。
オオキンケイギクの特徴
オオキンケイギクは開花と結実を2年以上繰り返す多年草であり、種子もある程度地中で生きたまま残る植物です。前年度に生えた場所には、翌年にも発生する可能性が高いと考えられます。
オオキンケイギクの花は鮮やかな黄色で、5月から7月頃にかけて咲きます。複数の小花が集まって一つの花を成している頭状花で、直径は5~7センチです。花びら (舌状花)は黄色で、先端がギザギザとした形をしています 。なかには花びらの根元部分が紫褐色であったり、八重咲のものがあります。根元の葉は、生えはじめは細長いへら状で、成長が進むにつれて3~5枚の葉(小葉)に分かれます。花の咲くころには枯れていることもあります。茎の葉は多くの場合、対になっています。
種子が扁平で翼があります。6月から9月の実を結ぶ時期には、ひとつの頭状花からたくさんの種子ができて、飛び散ります。
何をしたら罰則?どんな罰則?
特定外来生物は、その生きている個体、卵、種子、器官(オオキンケイギクの場合は根)を対象として以下の行為を行うことが規制されています
規制される事項は、
① 飼育、栽培、保管及び運搬すること(原則禁止)
② 輸入すること(原則禁止)
③ 野外へ放つ、植える及びまくこと(原則禁止)
④ 販売や譲渡し、引渡しなどをすること(禁止) です。
違反行為に対する罰則は次の通りです。
分類 | 行為(対象:特定外来生物) | 罰則(懲役または罰金) | |
---|---|---|---|
個人 | 法人 | ||
輸入関係 | 許可なく輸入した場合 | ・3年以下 または ・300万円以下 |
・1億円以下 |
許可なく輸入した場合(※未判定外来生物) | ・1年以下 もしくは ・100万円以下 |
・5千万円以下 | |
販売関係 | 許可を受けていない者に対して販売や配布をした場合 | ・3年以下 もしくは ・300万円以下 |
・1億円以下 |
飼養関係 | 許可なく飼養等をした場合(販売・配布目的) | ・3年以下 もしくは ・300万円以下 |
・1億円以下 |
許可なく飼養等をした場合(愛がん(ペット)等の目的) | ・1年以下 もしくは ・100万円以下 |
・5千万円以下 | |
偽りや不正をして飼養等の許可を受けた場合 | ・3年以下 もしくは ・300万円以下 |
・1億円以下 | |
放出関係 | 許可なく野外に放ったり・植えたり・まいたりした場合 | ・3年以下 もしくは ・300万円以下 |
・1億円以下 |
※未判定外来生物:生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるものである疑いのある外来生物
参考:「外来生物法 罰則について」(環境省)
(https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/bassoku.html)を加工して作成
なんと個人の場合は懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金が科され、法人なら場合によっては1億円の罰金! 規制されている行為を行わないことはもちろん、オオキンケイギクによる被害を防止するために、生えているのを見かけたら駆除をしましょう。
オオキンケイギクの駆除方法は?
その場で枯れさせる場合
① 根から引き抜く
根元から株ごと引き抜きましょう。多年草なので根が残るとまた生えてきます。
② 枯死させる
根から引き抜いたオオキンケイギクを種子や根を落とさないように袋を密閉して枯死させるか、あるいは根から引き抜いたものを2~3日天日にさらして枯死させてください。
③ 燃えるごみとして出す
自治体のごみ処理方法にしたがって処理してください。
生きたまま運ぶ場合
原則生きたままの運搬は禁止されていますが、地域住民や自治体、ボランティア団体などによる小規模な駆除は次の方法で法律に違反することなく行えます。
① 事前公表
いつ、どこで、誰が行うのか、事前に告知しましょう。
例)・メディア(ホームページ・SNS・広報誌・チラシ・新聞など)を使用する
・地域の回覧板や掲示板に、チラシや文書を挟む
・広報車や立て看板(※)によるアナウンス
※看板設置は地権者の方の許可を得て行ってください
② 焼却場・収集場への持ち込み
処分するために生きたまま運んだり、一時保管することは構いませんが、こぼれ落ちないように対策しましょう。
周囲の環境によっては除草剤による処理も可能です。
駆除するときに気をつけること
① 種子を落とさない
種子は土中で何年も生き残るので、地面に落とさないようにしましょう。種子をつける前の花の咲き始めまでに駆除するのがベストです。
② オオキンケイギクが生えていた土を移動させない
地上部を駆除しても生えていた場所の土を移動させると、地中にある種子を別の場所に拡散してしまう可能性があります。
③ 継続的に駆除する
根絶には時間がかかります。駆除した後も根や種子が残っているので、翌年も生えてきます。毎年根気よく続けることが効果的です。
罰則の対象にならないためにも以上のことに注意して、在来種を駆逐するオオキンケイギクを駆除しましょう!
監修:農研機構 中央農業研究センター 松橋彩衣子・農業環境変動研究センター 江川知花
http://www.naro.affrc.go.jp/
<参考>
オオキンケイギクについて
みんなで駆除しよう オオキンケイギク(PDF)
特定外来生物「オオキンケイギク」に係る処分方法の周知強化等をあっせん(PDF)
なぜオオキンケイギクが特定外来生物に指定されたのか(PDF)