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畑の雑草図鑑〜食べるなキケン!有毒植物編〜【畑は小さな大自然vol.78】

畑の雑草図鑑〜食べるなキケン!有毒植物編〜【畑は小さな大自然vol.78】

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。畑や庭にはさまざまな雑草が生え、中には食べられるものもたくさんあります。ただし中には有毒のものもあり、うっかり食べてしまうと大変危険です。まだ自分自身がお腹を壊す程度なら良いですが、うっかり家族に食べさせてしまったりしては大変なことになります。僕自身も、幸いなことに特に症状は出なかったですが、子供のとき知らずに口にしていたものもあります。今回はそんな畑や庭に生えることの多い有毒植物をご紹介しますので、ぜひ覚えておきましょう。

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畑にも有毒植物は生える?

僕は雑草が好きで、畑づくりにも生かせるため、講座を行う時には畑の周辺にどんな雑草が生えているかも説明しています。畑周辺に生える雑草にはノビル、カラスノエンドウ、ギシギシ、ハコベ、ツクシ、セリなど食べられるものもたくさんありますが、食べてはいけない有毒植物も実はあります。ただしそこまで種類が多いわけではありません。地域によっても異なるとは思いますが、今回はうちの畑で特に見かけることの多い有毒の雑草を3つと、注意が必要な花を1つ選びましたので紹介していきます。

ムラサキケマン

奇麗な紫色の花を咲かせるケシ科キケマン属の植物です。冬越しして春に花を咲かせる越年草で、高さは20〜40センチほどです。日当たりの良いところよりも、湿った木陰などによく生えています。そのため畑の中に生えることはあまりなく、その周辺に生えていることが多いです。この植物の全体に有毒成分であるアルカノイドを含み、嘔吐(おうと)、酩酊(めいてい)、昏睡(こんすい)、心臓まひの症状になることがあると言われています。

ムラサキケマンの見分け方

同じ時期に紫色の花を咲かせる雑草としては、ホトケノザとカラスノエンドウがあります。見慣れてくると花の形や葉の形が全く違うのですが、見慣れない初めの頃は見間違う事もあるかもしれません。

カラスノエンドウ

ホトケノザ

また葉の形は、食べられる野草として知られるセリに少し似ているので注意が必要です。セリと比べてムラサキケマンは茎の色が紫がかっていますし、葉もより切れ込みが細かい形をしている点で見分けがつきます。またセリ特有の香りがするかどうかも大きな判断材料になります。

セリはセリ科特有の良い香りがする

イヌホオズキ

イヌホオズキはナス科の1年草で、高さは30〜80センチほどです。小さい5〜7ミリほどのトマトのような実がなり、熟すと黒色になりますが、ジャガイモと同じように全草にソラニンを含んでいるため有毒だと言われており、食べると嘔吐や下痢などの症状を引き起こす恐れがあります。僕は子供の頃、この黒い実を結構食べていたのですが、大人になって有毒だという事を知って驚きました。皆さんはまねしないでください。

小さいトマトのような黒い実がなる

イヌホオズキの見分け方

ナス科なのでナスやトマト、ジャガイモなどのナス科野菜と見た目が少し似ていますが、茎が細いので簡単に見分けはつきます。茎葉を食べようとはさすがにしないと思いますので、実の部分を好奇心で食べないようにだけ注意してください。

キツネノボタン

キツネノボタンはキンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、湿った草地に多い雑草です。高さは30〜70センチほどまで成長し、畑よりも田んぼや川原で見かけることが多いです。果実の部分が金平糖のような変わった形になるため、金平糖草と呼ばれることもあります。キンポウゲ科は有毒のものが多く、有毒植物として有名なトリカブトもこの仲間に入ります。茎葉の汁が皮膚につくとかぶれてしまったり、口に入ると下痢や腹痛を引き起こすことがあります。

キツネノボタンの見分け方

キツネノボタンの葉。3枚で1つの葉を構成している。成長の段階や種類によって少しずつ葉の形が異なるので注意。

キツネノボタンは花や果実ができた段階ではあまり他の植物と間違うことはありませんが、それ以前の若い段階だと葉っぱがミツバと少し似ているので間違われることがあります。キツネノボタンの葉はミツバと同じように、三出複葉と言って3枚で1枚の葉を構成する形になっています。種類によっては菊の葉のようにより切れ込みが深くてギザギザしているものもあります。キツネノボタンもミツバもどちらも湿った環境を好み、生育の場所が少し似ているので注意しましょう。

ミツバ。葉の形や香りで違いがわかる

ミツバとの違いは慣れてくれば葉の見た目だけで判別できるようになりますが、慣れないうちは匂いを嗅ぐのが一番確実です。キツネノボタンはほとんど香りはありません。ミツバを集める時は特有の香りがするかどうか確かめてから採取するようにしましょう。

スイセン類

スイセン類は雑草ではありませんが、間違われることの多いものですので、ご紹介します。葉の形がニラと似ており、球根が野草のノビルに似ているので、間違って食べてしまうととても危険です。食べると吐き気や下痢、頭痛が起こり、摂取量が多いと死に至ることもあるようです。

スイセン類の見分け方

花が咲いたら、さすがに間違わないと思いますが、それまではニラやノビルなどに非常に似ていますし、調理されていると余計に分からなくなります。ニラもノビルも特有の良い香りがするので、植えた覚えのない場所に生えていたら必ず匂いを嗅いで確かめるようにしましょう。

下手に口には入れない。迷った時は匂いを嗅いで判断

今回紹介した有毒植物はいずれも慣れてくれば簡単に見分けがつくものです。しかし、慣れていないうちはその違いがはっきりと分からないことも多いと思いますので、まずは下手に口に入れないこと。食べられる野草のほとんどには特徴的な香りがありますので、匂いを嗅いで判断する癖をつけましょう。こういった有毒植物から雑草の名前と特徴を覚えていくのも良いかもしれません。

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