5月に種まきや苗の植え付けが可能で、初心者にも育てやすいものを5つご紹介します。ただし種まき時期と収穫時期は関東以南の温暖地を基準としています。また品種によっても前後しますので、あらかじめご了承ください。
ミニトマト
トマトはもともとアンデス山脈の高地を原産とし、乾燥したやせ地で生まれた植物です。そのため丈夫で栽培しやすい野菜の一つですが、逆に水分や養分の量が多すぎると、実がつかなかったり、病害虫の被害にあいやすくなるので注意が必要です。
適地:水はけが良く肥料分の少ない土壌
苗の植え付け時期:4月下旬〜6月下旬ごろ
収穫時期:7月中旬〜10月ごろ
栽培難易度:2 ★★☆
種まき・植え付けのポイント
種まきから行うのは初心者には少し難しいので、苗からの植え付けをオススメします。苗は一番花が咲いているものを選び、できるだけ茎や葉が太くて丈夫そうなものを選びます。病気や連作障害が発生しやすい畑の場合には接ぎ木苗の利用もオススメです。ミニトマト同士は50センチほど間隔を空けて植えていきます。苗を植える穴の中にたっぷりと水を入れてから植え付けましょう。苗の選び方、植え付け方の詳細は以下の記事をご覧ください。
水はけ・風通しを良くしよう
乾燥した地域を原産とするミニトマトは、湿気の多い環境をあまり得意としません。水はけの悪い畑では、畝を高めに立てる、畑の周囲に溝を掘る、もみ殻くん炭などを土に混ぜ込むなどの対策を行いましょう。また風通しを良くするためにミニトマトの脇芽は早めに摘み、枝葉が混み合わないようにします。
混植をすると強くなる
ミニトマトは他の野菜と混植し、適度に競争させることで強く育ちます。他の野菜がミニトマトにとって余計な水分や養分を吸ってくれるのです。特に相性の良い野菜がバジル、エダマメ、パセリなどです。野菜ではありませんが、マリーゴールドなどもセンチュウ対策になるのでオススメです。ミニトマトの株間にこれらの野菜を一緒に植えてみましょう。
窒素過多に注意
ミニトマト栽培の失敗で多い原因の一つは肥料のやりすぎです。特に窒素が多すぎると枝葉の色が濃くなり、大きくなるのも早いですが、花が咲いても実がならなくなったり、病害虫が発生しやすくなったりしますので注意しましょう。
プランター栽培のポイント
ミニトマトはプランターでも栽培は簡単です。ですが最も問題となるのは、アブラムシやコナジラミなどの害虫の発生です。これらの虫は高温で乾燥した環境を好むため、雨の当たらないベランダなどでは特に発生しやすくなります。数が増えた段階では対処が難しくなりますので、風通しを良くする、木酢液を定期的に散布するなどの予防対策を行いましょう。アブラムシとコナジラミの特徴や対策方法に関しては以下の記事をご覧ください。
ピーマン
夏野菜の中ではピーマンも栽培しやすい野菜の一つです。同じ仲間のシシトウやトウガラシなども栽培しやすいのでオススメです。
適地:水はけの良い肥沃(ひよく)な土壌
苗の植え付け時期:4月下旬〜6月下旬ごろ
収穫時期:7月中旬〜10月下旬ごろ
栽培難易度:2 ★★☆
種まき・植え付けのポイント
ピーマンも種からでは初心者には難しいので、苗を買ってきて植えましょう。ミニトマトと同じように茎葉が太くて丈夫そうなものを選びます。ピーマン同士の株間は50センチを目安とします。ポットの中で根がグルグルと巻きついて固まっている場合は、ほぐしてから植えましょう。
風で折れやすいので注意
ピーマンは風などで茎が折れやすいので、支柱を立てヒモで固定して倒れないようにします。根付いてから支柱を立てると、根を傷つける可能性があるので、苗を植えるときに一緒に立てておきます。長さは120〜150センチほどの短めの支柱を使い、20〜30センチほどしっかり地面にさしてぐらつかないようにします。特に実がなり出すと重みで倒れやすくなるので、成長に合わせてヒモを結び直しましょう。
夏場の土の乾燥に注意
ピーマンはあまり根を深く張らない植物のため、夏場に土が乾燥しすぎると、成長が止まったり、葉が枯れたりすることがあります。土の保湿のためには資材で土を覆って日光が当たらないようにするマルチングが効果的です。ビニールフィルムでマルチングを行う場合は、黒色のものだと地温が上がりすぎてしまうため、銀色がオススメです。またワラやイネ科雑草の葉を土の上に敷くと同時に土も肥えるため、秋の実りが良くなります。
プランター栽培の時のポイント
ピーマンはプランターでも栽培可能です。まずはとにかく日当たりと風通しが良い場所をしっかりと確保することが大切です。最低でも午前中は日当たりを確保できる場所を選びましょう。またミニトマトと同様にアブラムシが発生しやすい野菜です。特に気温が高く乾燥する時期は発生しやすいので、雨の当たらないベランダなどでは葉水をかけてあげると発生しにくくなります。
オクラ
オクラは暑さに強く、病害虫の発生もあまりないため、手間のかからない野菜です。収穫量の多い五角オクラがメジャーですが、家庭菜園では実が大きくなっても硬くなりにくい丸オクラがオススメです。
適地:水はけの良い土壌
種まき・苗の植え付け時期:4月下旬ごろ〜6月上旬
収穫時期:7月上旬〜9月下旬ごろ
栽培難易度:1 ★☆☆
種まき・植え付けのポイント
オクラは4〜5粒ずつ40〜50センチ間隔で種まきしていきます。苗で植えることもできますが、直根性で根が傷つくのを嫌うため、まだ若い小さめの苗を選び、根を傷つけないように注意して植えましょう。発芽適温は25〜30度とかなり高めです。寒さには弱いので十分に暖かくなる時期を待ってから種まきをします。
間引いて2〜3本立ちに
オクラは1本立ちにすると実が硬くなりやすく、背も高くなるので収穫しづらくなります。本葉が2〜3枚の頃に間引いて2〜3本立ちで育てます。
収穫は早めに
オクラの実はとても成長が早く、1〜2日で倍の大きさになることもあります。大きくしすぎると硬くなって食べられなくなり、収穫が遅れすぎると、その後の株の実なりも悪くなります。実の先端を手で曲げてしなる程度に柔らかければ食べられますので、柔らかいうちに早め早めに収穫しましょう。また、オクラは実一つにつき下葉が一枚付いています。実を収穫したら、その下葉も一緒に切り取って、養分が次の実に回るようにします。
プランター栽培のポイント
オクラはプランターでも栽培可能です。直根性で根を深く張る野菜なので、30センチ以上は高さのあるプランターを選んで植えましょう。
キュウリ
キュウリも栽培しやすく人気の夏野菜の一つです。寒さには弱いので、十分に暖かくなってから植え付けましょう。
適地:水はけの良い肥沃(ひよく)な土壌
苗の植え付け時期:4月下旬ごろ〜6月下旬
収穫時期:6月下旬〜8月下旬ごろ
栽培難易度:2 ★★☆
種まき・植え付けのポイント
キュウリは種からでも育てられますが、初心者には苗がオススメです。寒さや霜には弱いので遅霜の心配のない時期になってから植え付けを行います。40〜50センチ間隔で植え付けます。苗を植える際には十分に水をあげるようにし、それ以降は極力水やりをしないようにします。そうすることで水を求めて根が発達し、夏場の乾燥に強くなります。
行灯(あんどん)を設置して、ウリハムシ対策を
キュウリを植えると特に発生しやすい害虫がウリハムシというオレンジ色の虫で、葉を食べます。特にまだキュウリが小さいときに葉をかじられると、成長が阻害されますので、ビニールで四方を囲む行灯を設置することでウリハムシが飛んでくるのを防ぎます。苗を植えたときに一緒にこの行灯も設置するようにしましょう。ただし行灯を長期間設置しすぎると、弱い苗になってしまうため、根が活着して成長しだしたら早めに外すことも検討してください。
マルチングが大切
夏場の土の乾燥を防いだり、泥はねによるキュウリの病気の発生を防いだりするために、土が裸にならないようにします。ビニールフィルムで覆う場合は、地温が上がりすぎないように銀色のマルチがオススメです。またワラやイネ科雑草を根元に敷き詰めるのも有効です。特に実が大きくなる時期には水分を多く必要としますので、土が乾かないように気をつけます。水やりせずに済むのであればそれがベストですが、1週間以上雨が降らない日が続き、土が乾燥しすぎてキュウリがしおれるようであれば夕方にたっぷりと水やりをします。
プランター栽培のポイント
特に風通しの悪くなりがちなベランダではうどん粉病やべと病などのカビが原因となる病気が発生しやすくなります。特に根元の部分は湿気がたまりやすいので脇芽を摘んで、葉が混み合わないようにしましょう。うどん粉病やべと病が発生した場合は、重曹を薄めてスプレーするなど早めに対処しましょう。
落花生(ラッカセイ)
収穫したての落花生を塩ゆでして食べるのがオススメ。家庭菜園だからこそ味わえる特別な味です。雑草に負けないようにすることさえ気をつけておけば、比較的育てやすい野菜の一つです。
適地:水はけの良い砂質の土壌
苗の植え付け時期:5月上旬〜6月上旬ごろ
収穫時期:9月下旬〜10月下旬ごろ
栽培難易度:1 ★☆☆
種まき・植え付けのポイント
2粒ずつ30〜40センチ間隔で直まきしていきます。まいた直後に鳥などに食べられることがあるので、テグスを張ったり、不織布などを被せて対応しましょう。苗でも植え付け可能ですが、直根性なので根が傷つかないように注意します。本葉が2〜3枚出てきた頃に間引いて1本立ちにします。
土づくりのポイント
落花生は水はけの良い乾燥した土壌を好みます。水はけの悪い畑では畝を高めにしましょう。また土に肥料分が多いと“木ボケ“(茂りすぎること)して実がつかなくなるので、肥料のやり過ぎには注意します。
敷きワラ・敷き草が大切
落花生は横に茎葉を広げて育つため、周囲の雑草と絡みあってしまうと草刈りが大変です。また花が咲いたあとは、つるのようなものが地面に向かって伸び、それが地中に潜ってそこで実をつけるのですが、このつるが伸びた後に周囲の雑草を刈ろうとすると間違ってつるまで切ってしまいやすく、注意が必要です。これらを防ぐためにあらかじめ落花生の苗の周りに敷きワラや敷き草をしておいて、雑草が生えるのを防ぐことが大切となります。
プランター栽培のポイント
雑草の生えないプランターでは落花生は比較的簡単に育ちます。播種(はしゅ)後や収穫間際に鳥に食べられないようにするのと肥料のやりすぎにだけ注意しましょう。
初期の手入れが大切
5月からは気温が十分に上がり、遅霜が降りる地域もだいぶ少なくなるため、ナス科やウリ科をはじめとする夏野菜の苗が植えどきになります。気温が高くなると野菜の生育も早くなりますが、雑草や害虫の勢いも激しくなり、土も乾燥しやすくなります。野菜がこれらに負けないように大きくなるまでいかに管理できるかがその後の収穫に大きく影響します。特に雑草に負けてしまうと、その後の管理がとても大変になるので、ビニールフィルムや敷き草、敷きワラなどで土をしっかりと覆い、野菜の初期生育を促しましょう。