ゴボウの栽培の仕方は袋で育てたり、塩ビパイプで育てたり、トタンを敷いて育てたりとバリエーションがたくさんありますが、どの方法も、地中深く入り込んだ根を掘り起こす作業を効率化するための手段に過ぎません。試行錯誤してより簡単な収穫方法を編み出すのもゴボウ栽培の楽しみと言えるかもしれませんが、植物生理自体はとても単純で作りやすい部類の作目になります。
上記のような方法も紹介しますが、基本的には普通に栽培する方法を解説したいと思います。
1メートルほどあるゴボウを掘り起こすのが難しいのであれば、30センチ以下の短い品種もありますのでそちらを選択しましょう。
では栽培カレンダーに沿って解説します。
ゴボウの土づくり
ゴボウの種まきは3月中旬以降におこないます。
秋まきの場合は9月に種まきです。連作を嫌うので、過去2~3年はキク科を栽培していない場所を選びましょう。
種まきの1カ月前には1平方メートルあたり堆肥(たいひ)2キロを散布してよく混ぜておきます。初めてその場所で作物を植え付ける新しい畑の場合は、苦土石灰を50グラム同時に散布しておきましょう。
比較的酸性土壌を好むため、普段から石灰を入れている畑であれば、ゴボウのために石灰を足す必要はありません。
また、堆肥は完熟のものを使用しましょう。未熟な堆肥の塊や石などが根に当たると、そこから二つに分かれることがあります。
根物野菜を栽培する時に共通したことですが、できるだけ障害物ができないようによく耕しましょう。
種まきの1週間前には1平方メートルあたり100グラム程度の化成肥料を混和して畝を立てておきましょう。25センチ程度の幅の狭い畝に一条まきが最も易しい育て方になるでしょう。
また、ゴボウは地中深く根を張りますので、20〜30センチ以上の高畝にしておくとよいでしょう。
この際に、袋の中に土を詰めたり、塩ビパイプの中に土を詰めたり、トタンを斜めに埋め込んでトタンにそわせるようにすることで収穫を楽にすることができますが、これらは土の乾きが早くなるので、水やりをしっかりしていないと乾き過ぎて発芽しなかったり初期生育が悪かったりします。水やりをそんなに頻繁にできないのであれば地植えをおすすめします。収穫の時に後悔するかもしれませんが……。
ゴボウの種まき
キク科の作物の種は、好光性種子といって、発芽するために若干の光を感知しなければなりません。なので、地中深くに埋め込んでしまっては光が届かず発芽不良に陥ります。
1センチほどの深さに、10〜15センチ間隔で1カ所3粒ずつまいていきましょう。覆土が薄いため、非常に乾きやすいです。発芽までは地表面が乾かないように毎日水やりしましょう。
ゴボウの間引き
本葉が2〜3枚のころに、1カ所1本になるように間引きします。
この時には雑草もたくさん芽を出してきているはずなので、必ず草取りをしましょう。生育初期に雑草に埋もれると、もう健全な成長は見込めなくなってしまいます。
ゴボウの追肥・中耕・除草・土寄せ
梅雨明けの7月に、追肥・中耕・除草をかねた土寄せの作業をします。
なんだかやることがたくさんあるように感じますが、やることは単純で、一回で全ての工程が終わります。
まず畝の周囲に化成肥料50グラム(1平方メートルあたり)散布します。
次にクワで周りの表土を軽く耕しながら株の根元に持ち上げます。
耕す過程で草取りが終わり、梅雨の大雨で叩かれて硬くしまった表土がほぐされ、追肥を散布できたわけです。
ここまでやればあとは収穫を待つばかりです。
ゴボウの収穫
もしもあなたが袋や筒で栽培していたのであれば、その袋を破って取り出せば収穫はおしまいですが、私の言った通り畑に直接植え付けた人はスコップで掘り起こさなければなりません。
8月も下旬になれば若取りと言って、少し短く柔らかいゴボウが収穫できます。掘りやすい涼しい気候になった10月以降は、80センチ以上の長さになっているはずなのでちょっと大変です。地上部が枯れ込んでも、地下部のゴボウは大丈夫です。真冬まで置いておけるので、食べたい分を収穫していきましょう。
ゴボウに直接スコップの剣先が当たらないように、植えてある場所の横を掘り下げて収穫します。
ゴボウの病害虫
ゴボウにだって病害虫がつきます。地上部で見える範囲にもアブラムシなどが現れますが、主に地中のネモグリバエやセンチュウ類の被害が大きいです。
粒状の殺虫剤をまければよいのですが、農薬を使わないのであれば、頻繁に管理する作物でもないので、防虫ネットなどで覆ってもよいでしょう。
黒斑病やうどんこ病などの病害に関しては、梅雨入り前にZボルドーやカスミンボルドーなどを散布して予防できるとよいでしょう。
以上がゴボウの栽培になります。家庭菜園では短い根の品種を強くおすすめします。