連作障害、土壌病害にも。“研究者×生産者”で生み出した土壌改良材『V-プロテクトG』

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連作障害、土壌病害にも。“研究者×生産者”で生み出した土壌改良材『V-プロテクトG』

連作障害、土壌病害にも。“研究者×生産者”で生み出した土壌改良材『V-プロテクトG』
最終更新日:2020年08月04日

ジャガイモ農家を悩ませる土壌病害。特にそうか病は、発病すると見た目が悪くなり商品にならないだけでなく、根本的な対策が難しいという厄介な病害です。防除のカギとなるのが土壌中の「有用菌」。日本タルク株式会社が販売する『V-プロテクトG』は、有用菌の働きに着目した土壌改良材として、農家の間で注目が高まっています。「他の農家には教えたくない」と言わしめるほどの実力を、製品の開発背景と交えてご紹介します。

野菜の土壌病害を防ぐカギは、対抗する菌を増やす土作り

『V-プロテクトG』は、日本タルク株式会社が千葉県木更津市に本社を置くアグリバイオシステムと共同で開発、製品化した土壌改良材。土壌中に有用菌を増殖させることがコンセプトで、有用菌自体を畑に投入する従来の土壌改良材とは一線を画す農業資材です。開発背景について、アグリバイオシステム代表で、研究開発に携わった農学博士・小山修さんは次のように話します。

そうか病はジャガイモ塊茎表面にかさぶた状の病斑を形成し、外観を著しく損なうため、品質低下を引き起こします

「土壌病害で悩む生産者の役に立つ資材を開発したいと動きはじめたのが、2002年頃のことです。現状、野菜の土壌病害対策は化学農薬等による土壌消毒が一般的ですが、病害を抑制する役割を持つ有用菌をも消毒してしまうことが課題でした」。
この有用菌が減少すると、土壌中の病原菌に対する抵抗が弱まることがあり、結果として土壌病害を引き起こしやすくなる可能性をはらんでいると言います。

そこで小山さんが注目したのが、「有用菌:トリコデルマ アスペレラム F-288株 (Trichoderma asperellum F-288株))」の存在。

有用菌を直接土壌に送り込む農業資材は数多く存在しますが、畑の土壌の性質はさまざまで、資材に含まれる有用菌がすべての畑に定着するのは困難であると考えました。そこで『V-プロテクトG』の開発では、有用菌のエサになる微生物を配合することにより、有用菌自体の増殖を目指すことに。度重なる試験の結果、有用菌の増殖には餌となる担子菌が有効であることが判明し、このほど製品化までこぎつけました(特許出願中)。
※有用菌:トリコデルマ アスペレラム F-288株 (Trichoderma asperellum F-288株)は、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の保有株です

『V-プロテクトG』の生みの親でもある農学博士・小山修さん

「野菜の多くは適正な土壌pH値にすることで収量が増しますが、土壌pH値が高めの場合には、ジャガイモの敵でもあるそうか病菌も増殖してしまいます。そのため、ジャガイモを栽培する場合は、土壌pH値を低くする必要があります」と小山さん。『V-プロテクトG』の使用により、有用菌の多い畑を作ることによって、適正な土壌pH値で野菜を栽培することが可能といい、土壌病害を防ぐ手段の一つとなりそうです。

長崎県雲仙市のジャガイモ農家である、本田健吾さん、池田功さんも『V-プロテクトG』によって、土壌病害被害から救われた一人。エピソードを交えて、同製品の特長をひも解いていきましょう。

雲仙特有でもある石積みの棚畑の向こうには有明海が広がる絶景スポット

地域農家との連携で生まれた『V-プロテクトG』

本田農園代表の本田さんと『V-プロテクトG』との出会いは、前身の『ソウカプロテクト(旧名:ソウカムテキ)』の実証試験への協力がきっかけ。「生産者に役に立つ資材を作りたい」という小山さんの思いに心打たれ、参画を決めたと振り返ります。

「生産者と開発者が二人三脚で取り組むことで互いに多くの気付きがあり、よりレベルの高いものを目指せます」と、本田さん

かねてより、そうか病防除のために化学農薬の使用を繰り返すことに疑問を抱いていたという本田さん。もっとよい方法はないかと模索していた中での出来事に、期待を膨らませていたといいます。

「資材を売ることだけが目的ではなく、農業の未来を考えてくれている小山さんの思いが嬉しかった。ジャガイモのイメージや生産者の健康、環境面を考えると、土壌消毒用の化学農薬は極力使いたくないのが本音。そんな問題を解決してくれる商品を完成させるために、私たちができることをお手伝いしたかったんです」(本田さん)。

さまざまな畑で実証試験を行った結果、現在は「ツルツルと美肌のジャガイモが収穫できるようになりました」と、『V-プロテクトG』による効果を絶賛していました。

『V-プロテクトG』を使い続けて、現在は畑に散布する量が以前の半分で済んでいるそう。つまり、使い続けることで畑自体が土壌病菌に強くなっているということが言えると、本田さんは分析していました。

「よそには教えたくない」と言わしめるほどの効果

池田農園代表の池田さんも、実証試験を経て『V-プロテクトG』を使い続ける生産者の一人。現在、春にジャガイモ栽培を手掛ける傍ら、同じ畑で秋に価格低迷のジャガイモから価格が安定しているブロッコリーを栽培し、“ジャガイモ×ブロッコリー”の二毛作に挑戦しています。『V-プロテクトG』を使用することで、この二毛作が可能となり、ブロッコリーの作付面積を大幅に増やすことに成功しました。

『V-プロテクトG』の効果を絶賛する池田さん。農博士・小山さんにも絶大な信頼を寄せています

20年以上前から「土づくり」に注目していたという池田さんは、『V-プロテクトG』の所感をこのように話します。

「一石四鳥。本当に良いものだから本当は教えたくないんです」。化学農薬を使用しなくなり経費も削減。さらに、ブロッコリーはジャガイモより高い土壌pH値を好むため、ジャガイモと同じ畑での栽培は難しいとされていたところ、不良芋低減を実現。加えて、連作時にブロッコリーの残渣を土に混ぜて分解するスピードも早くこの残渣が肥料になるため、使用していた肥料も低減。適正な土壌pH値でジャガイモ栽培ができるように。ジャガイモの収量も2~3割ほど高くなり、『V-プロテクトG』によって、少なくとも4つの効果を実感できていると言います。

これから『V-プロテクトG』に期待することを尋ねると、「連作・輪作障害が解決されていき、 “ジャガイモ×その他野菜”などの組み合わせも可能になると嬉しい」と池田さん。

プランターに一株ずつ植えられたブロッコリーの苗。これから土壌病菌に強い畑に定植し、収穫まで大事に育てられます

現在、佐賀のアスパラや長崎のショウガ、鹿児島・宮崎のサツマイモ、福岡のカーネーション、熊本のトマト、千葉のニンジンと、現地の生産者と協力し多品目での試験も行っているという小山さんの言葉通り、全国のさまざまな作物に適用できるよう奔走しているとのこと。さらに幅広い生産者の未来を明るく照らす日は、そう遠くはないでしょう。

【取材後記】

従来の土壌改良材とは一線を画す『V-プロテクトG』。長らく微生物利用や植物病害防除の研究にも携わってきた研究者のコメントをご紹介し、本稿を締めくくります。

国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研) 生命工学領域 鎌形洋一領域長補佐
「微生物によって微生物をコントロールする」すなわち、「微生物によってもたらされる病気は微生物によって治す」という考えは今後、農業の大きな潮流になっていくと思う。化学農薬のように劇的な効果を期待するのは難しい。しかし、もともと土壌に存在しているいわば「善玉菌」をうまくコントロールして使っていくことは、今後の農業資材のあるべき姿だ。こうした考えは農業だけでなく、私達人間の体の中にいる微生物をコントロールすることによって病気を治していく方法と同じ。
トリコデルマ属のカビは土壌に広く存在する微生物で植物にも関わりが深い。ただ、このカビを上手に善玉菌として利用するにはさまざまな工夫が必要だ。巧みな資材配合も欠かせない。本資材では担子菌を配合しているのも興味深い。そして、最終的には農家の皆さんの協力がなければ成り立たない。研究者はポット試験といって温室内で小さなスケールの実験を積み重ねていくのが普通だが、どうしても実際の畑とは違う。だからこそ、農家の皆さんによる現場での試験が欠かせない。実際の畑で成功例が増えていけば農家の皆さんにとっても大きな朗報だ。

【問い合わせ先】

本製品に関するお問い合わせは、下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。
http://www.nippon-talc.co.jp/protect-series/contact/


日本タルク株式会社

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