里親農家の元で学ぶ『桃・梨専門コース』とは?
豊田市では、桃・梨の産地を維持・発展させるため、また、桃・梨農家の後継者不足・高齢化が進んでいることから次代の担い手づくりを見据えて、2019年4月から桃・梨農家育成の専門コースをスタートさせました。
ベテラン里親農家のもとで作業、技術を学びながら、併行して愛知県立農業大学校で法律や農業経営についても学びます。
剪定から受粉、摘果、収穫まで、年間を通じて行う果樹栽培。1年目の実作業体験をベースに、2年目は、里親農家の指導を受けながら研修生自身で果樹を栽培し、収穫・出荷にも携わります。
里親農家の元で基礎から実践までじっくりと学べるため、農業経験ゼロの人でも就農できるのが特長の一つでもあります。
将来を考え、出した答が「豊田で就農」【研修生インタビュー】
2020年度は第2期生として、東京のIT系企業で働いていた井谷太威さん(27歳)、飯田果歩さん(26歳)の2人が研修中です。どのような思いでこの研修に参加したのか、研修内容と合わせて、話していただきました。
――県外から研修に参加したきっかけは?
井谷:2人ともシステムの保守業務をメインとするシフト制勤務で、付き合う中で、将来的にこのままでいいのかな…と。
飯田:今後、仕事と子育てを両立していくには農業もいいな!と思い立って探しました。
井谷:2人の地元に近いところがいいと考えていました。(※井谷さん=三重県出身、飯田さん=岐阜県出身)
飯田:あと、私が果物好きで(笑)。調べた末、見つけたのが豊田市の研修制度でした。
井谷:『里親農家』の元で学べること、知識も資金もない私たちを受け入れてくれるサポート体制が決め手でした。
飯田:体験実習に参加した時に、初めて豊田市に来たのですが、自然が豊かで雰囲気もよく、ここだ!っと確信しましたね。
井谷:そこまで思い切れたのは、日々のやりとりや住居の相談など市の担当者の真摯な対応があったからこそですね。
――研修内容について教えてください
井谷:枝の剪定や草刈り、摘花など、今は基礎となる作業を一つずつ教えてもらっています。
飯田:本来、通うはずの農業大学校はコロナ禍で6月開校となってしまったので、これまでは実習中心です。
井谷:受粉では、耳かきの先についているフワフワ…
飯田:梵天(ぼんてん)って言うそうです。
井谷:そう、それを使って作業をしたのが楽しかったです。
飯田:摘花では、間違って摘んだら…と緊張しました。
井谷:でも、間違えても叱るのではなくなぜ違うのかを教えてくれますし、何でも聞きやすくて、本当にありがたいです。
飯田:買い物とかの生活情報も、周りの方や担当者に聞けば親切に教えてもらえて、助かっていますね。
――研修後の目標は?
井谷:消費者に喜ばれる「いいもの」を作り、農家としての生活を確立したいですね! まずは里親である森さんの桃に届くレベルの作物づくりを目指します。
飯田:本気で農業に取り組みながら地域の人たちとの交流も深めて、いつかはお世話になっている豊田市に貢献できたらと思っています。
豊田の桃梨と、次世代の農家を育てる【里親農家インタビュー】
2人を受け入れている里親農家の森敏康さん(54歳)は、25年近く果樹栽培に携わるベテラン農家さんです。農業従事者の高齢化が進む中で、森さんは桃・梨栽培の継続的な発展や生産者の連携を願って、積極的に若い人材の育成に携わっています
――研修1年目の受け入れ体制は?
森:ウチでは2人のライフスタイルを考えて、研修は農園のパートさんと同じく平日の9~16時で土日休み、としています。研修生・里親それぞれがやりやすい形で良いと思いますよ。
――研修は順調のようですね
森:2人とも頑張っていますよ。今までのところ、袋かけなど手先を動かす作業は時間がかかっているので、スピードアップが課題ですね。この後は剪定技術を覚えてもらう予定です。
私も地域の人間も皆、聞かれれば一所懸命に教えるし、若い子が頑張っている姿を見れば『何としても成功させてあげたい』と思っています。教えることでこちらが改めて学ぶこともあります。2020年は新型コロナの影響で部会が減っていますが、生産者の勉強会にも研修生を積極的に参加させ、情報と人間関係を取り込んでほしいと考えています。
――里親として、先輩農家としてメッセージを
森:桃づくりは試行錯誤が大切です。壁にぶち当たることも多いかと思いますが、その中で、思った通りに実ってくれたら何より嬉しく、それが魅力でもあります。粘り強く取り組んでほしいですね。そういう若い人や市とも連携して、豊田市の果樹栽培を活性化したいです!
知識・経験ゼロでもOK! 地域が一体となってサポート!
豊田市では、農業の経験・知識や現在お住まいのエリアを問わず、「豊田市で桃・梨農家になりたい!」という意欲のある方を歓迎しています。
愛知県や豊田市役所の複数の部署とも連携して、就農を支援する『桃・梨専門コース』。里親農家ほか、地域の桃・梨農家、JAとの絆もあります。本研修修了後には、市から果樹のある農地の紹介、農作業に必要な機械や資材を使えるように取り計らうなど、この地で就農できる体制を整えています。
豊田市・農ライフ創生センターが窓口となり、メール・電話でのさまざまな問い合わせにも対応。担当者は「住まいの相談から生活全般に関わることまで、何でもどんどん聞いてください。もちろん、研修中のサポートもしていきます」とのことです。
いよいよ、第3期生の募集もスタート! 果樹農家への関心がある方は、ぜひ一度、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
募集人員:2名程度
応募要件:昭和48年4月3日以降に生まれた人
桃・梨を慣行農法(豊田市内の多くの生産者が実施している一般的な農法)で栽培する意欲のある人
研修修了後豊田市内で就農する人など
〇研修期間中
・研修期間中は国の制度である農業次世代人材投資事業(準備型)により年間最大150万円を交付(要件あり)
・損害賠償保険の加入
・経営開始に向けた相談窓口の開設
〇研修修了後(豊田市内で独立自営を開始)
・就農時に必要となる農業資材の購入等に要する費用の一部を補助(要件あり)
・国の制度である農業次世代人材投資事業(経営開始型)により年間最大150万円を交付(要件あり)
・農業経営や果樹園の紹介等の相談窓口の開設
【問い合わせ先】
愛知県豊田市 産業部 農ライフ創生センター
TEL 0565-43-0340 FAX 0565-43-0341
E-mail nou-life@city.toyota.aichi.jp