チンゲンサイの栽培時期
チンゲンサイの発芽適温は20~25度、生育適温は15~20度です。しかし暑さにも寒さにも強い野菜なので5~35度くらいまでは大丈夫です。ビニールハウスでは一年中育てることができますが、露地栽培では3月中旬から10月中旬までに種まきをしましょう。真夏は虫や病気も多く育てるのが難しいため、春まきと秋まきがおすすめです。収穫までは高温期で40~60日、低温期で70~90日くらいで、ミニチンゲンサイという小さい種類のチンゲンサイならもっと早く収穫することができます。また、チンゲンサイは小さくスペースもとらないので、ベランダのプランター栽培にも適しています。
土づくり
播種(はしゅ)2週間前に苦土石灰を入れて耕し土壌を中性にしておきます。さらに1週間前に元肥を入れて耕し、高さ10〜15センチ程度の畝を立てます。元肥は化成肥料を1平方メートルあたり100グラム程度入れておきましょう。雑草をとるのが面倒という人はマルチをしておくと楽です。マルチは地温を上げるのにも役立つので、3月や10月など少し寒い頃に育てる場合も生育を助けます。プランターで栽培する場合は市販の野菜の土を使うといいでしょう。
チンゲンサイの播種
畑に播種する場合はまず畝の表面を平らにならし、深さ約1センチ、条間約20センチのまき筋をつけます。まき筋は支柱や木板を土に押し付けると簡単につけることができます。畝の幅によってまき筋の方向を変えると作業がしやすくなります。
プランターにまく場合は、大きな縦長のプランターならまっすぐ平行に2列まき筋をつけます。条間は15センチが目安ですが、ミニチンゲンサイなら10センチで大丈夫です。
まき筋ができたら約2センチ間隔で、1粒ずつ種をまきます。すべての種まきが終わったら、平クワなどで1センチほど覆土し、軽く鎮圧してからじょうろでやさしく水をかけます。プランターの場合は手で土をかけてから、軽く土を押さえて、水をやりましょう。
また、チンゲンサイは苗を育ててから植え替えすることもできます。まだ他の作物が植わっているけどすぐに種まきしたい、なかなか畑にいく時間がないという場合は、家のベランダで苗を作っておくと効率よく育てることができるでしょう。苗を作る場合はセルトレイやポリポットに種をまき、本葉2~4枚まで育てます。
虫への対策
チンゲンサイは虫にとても食われやすい野菜です。虫を防ぐには農薬をかける、虫のすみかとなりそうな畑の周りの雑草を刈り取るなどの方法がありますが、農薬を使うのには知識が必要ですし、草刈りも完璧にするのは難しいです。一番簡単で確実なのは防虫ネットでしょう。防虫ネットをするときは種まき後すぐにかけてください。そしてできるだけネットは開けないことです。
チンゲンサイの間引き
種まき後だいたい2〜3日で芽が出てきます。間引きは本葉1〜2枚で株間3〜4センチ、本葉3〜4枚頃に6~8センチ、本葉5〜6枚で15センチ程度にします。ミニチンゲンサイの場合は最終間引きは株間10センチ程度です。
プランターで育てる場合はより広く株間をとるため、互い違いに残すといいでしょう。間引きをするときははさみで行い、他の株を傷つけないように注意しましょう。残された株はよりどころがなくなりふらふらしているので、株元に土を寄せてぐらつかないようにしてあげます。
また、間引きのときに雑草が生えていれば除草します。小さいうちに取っておかないと、梅雨時期などはあっという間にチンゲンサイが草に埋もれてしまいます。チンゲンサイは小松菜やホウレンソウといった他の葉物野菜よりも株間が広いので雑草が生えやすいです。草取りが嫌ならばマルチ栽培がおすすめです。切り取った間引き菜は炒め物などに入れてさっそく食べてみましょう。防虫ネットは間引き作業の時は開けて、作業が終わったらさっとかけなおします。
チンゲンサイの追肥
葉っぱの色が黄色っぽいときは肥料不足です。間引きのときに化成肥料を1平方メートルあたり30グラム程度入れ、表面の土と軽く混ぜておきましょう。
チンゲンサイの収穫
草丈が15~20センチくらいになったら収穫します。株元から包丁か、はさみで切り取りましょう。ミニチンゲンサイなら10センチくらいで収穫します。
また、外側の葉だけをはさみで収穫すれば、しばらくすると内側にある新芽が大きくなるので何回も収穫できます。この方法ならば小さなプランターで育てても、長くたくさん収穫することができますよ。もちろん長く収穫しているうちに肥料がなくなっていくので、途中で生育が鈍くなってきたら追肥を行ってください。
よくある質問
虫にいっぱい食われたけどどうしたらいいの?
チンゲンサイはアオムシやアブラムシの大好物です。防虫ネットをかけるか、定期的に農薬をかけない限りほぼ確実に虫に食べられてしまいます。まだチンゲンサイが小さい時期ならば急いで農薬をかけましょう。化学農薬はいやだ、という人は、被害がアオムシの場合はBT剤という生物農薬も有効です。手で取るのは不可能ではありませんが時間の消費がすごいです。もう収穫間近という場合は、虫やフンを洗い流してから普通に調理して食べましょう。
花が咲きそうだけど食べられる?
チンゲンサイはアブラナ科のため、越冬して春になれば菜の花が咲きます。そのため、冬から早春に種まきをした場合は花が咲くことになるでしょう。この菜の花、実は「チンゲンサイの菜花」として売っているところもあるくらい、特においしい菜の花なのです。ただし、おいしいのはつぼみのときで、花が開くと茎が硬くなってしまうので早めに収穫してください。
チンゲンサイの主な病害虫
コナガ、ヨトウムシ、アオムシ、アブラムシがよくやってきます。コナガは1個ずつ点々と、ヨトウムシは1カ所に100〜200個の卵を産み付けて集団で葉を食い荒らします。アブラムシもチンゲンサイが大好きなので、どこからともなくやってきます。防虫ネットをかけるか、農薬を散布して防除しましょう。
病気はべと病や白さび病、モザイク病にかかりやすいです。雨による泥はねは土の中にいる病原菌を葉っぱにくっつけてしまうので、マルチ栽培のほうが病気を防ぐにはよいでしょう。白さび病は春秋に多く、べと病は梅雨などジメジメした時に出やすい病気です。風通しが悪い場合も病気になりやすいので、間引きは適切な時期を守り遅くならないようにします。モザイク病はアブラムシによって媒介されるので防虫対策も重要です。病気になった株は抜き取って畑の外に持ち出して処分します。
チンゲンサイは最初はヒョロヒョロしているので小松菜を植えたっけ?と思うほどですが、徐々に根元が膨らんできて、あの独特なふっくらとした形になっていきます。白っぽい根元と緑の葉のコントラストも美しく、育てるのがとても楽しい野菜です。また、ミニチンゲンサイも切らずにまるごと調理に使えるので時短レシピにおすすめです。ぜひ自分で育てて新鮮なチンゲンサイを食べてみましょう。