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「こんなに力をいれても大丈夫?」。ドキドキのキノコ収穫体験からお花の収穫、郷土料理つくりまで多彩な体験が魅力の農業インターンシップ

「こんなに力をいれても大丈夫?」。ドキドキのキノコ収穫体験からお花の収穫、郷土料理つくりまで多彩な体験が魅力の農業インターンシップ

川内村は、福島県双葉郡の中西部に位置し、内陸性の気候で夏は涼しく冬は冷えこむものの、降雪量が少なく過ごしやすい地域です。
水稲を中心に野菜、果樹、キノコ、花きなど、農業を通じて村の活性化を推進しています。
川内村の魅力や農業の魅力を発信するため、村では農業インターンシップの参加者を募集しています。
地域に愛着を持ち、楽しみながら農業と向き合う先輩就農者のもとで学んでみませんか。

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安全で美味しい「しいたけ」を川内村から全国へ。遠藤きのこ園

年間120tのしいたけを栽培する、『有限会社遠藤きのこ園』。
東日本大震災で一時休業を余儀なくされましたが、震災の半年後には再開準備に着手し、翌年の2012年には再開を果たしました。

「震災直後はきのこ園の再開に反対しましたが、園を再開したいという両親の思いがとても強かったので、両親をサポートし一緒に再開することを決意しました」と話すのは、取締役の遠藤雄夫(えんどう・たけお)さんです。

『遠藤きのこ園』を継ぐために、それまで勤めていた川内村役場を退職し、2016年4月に就農しました。

現在は、遠藤さんとご両親、村内のスタッフ3名、ベトナムからの外国人技能実習生7名の計13名体制で、しいたけ、キクラゲなどを栽培しています。

福島県双葉郡川内村の『遠藤きのこ園』取締役の遠藤雄夫さん

2016年4月、それまで勤めていた川内村役場を退職し就農した遠藤雄夫さん

震災以降、福島県の農作物は風評被害に苦しんできました。
そのため、福島県では厳しい放射線性物質の検査基準を設け、安全性の証明に力を注いでいます。

「うちのしいたけも4回の検査をクリアしてから出荷されています」。

「菌床の原料となる納品された木材チップ(オガくず)、『遠藤きのこ園』で作った菌床、菌床に発生したしいたけ、最後に収穫・選別後の出荷時検査を実施しています。菌床しいたけは土を使いませんから、安全な原料(木材)を選べば放射線セシウムは検出されません。厳しいチェックをすることで、美味しさと安心を消費者に届けています」と遠藤さんは続けて話してくれました。

しいたけの菌床を管理するハウス

菌床を管理するハウス。自動でミストを噴霧しハウス内の温度、湿度を細かく管理しています。

「どんなふうにしいたけができるのか、見て知って欲しい」という遠藤さんに勧められて、しいたけとキクラゲの栽培ハウスを見学し、収穫を体験させて頂きました。

一年中15℃に管理されたひんやりと心地よいハウス内では、肉厚で傘が大きく、石突の部分もしっかり太いしいたけを栽培しています。
同社はこのしいたけを『ひたむき椎茸』として、独自ブランド化し高級食材として首都圏の飲食店を中心に出荷しています。

一般的なしいたけより大きく重量があり、菌床にしっかりと着いているため、もぎ取るときには「こんなに力を入れていいのかな」とドキドキしましたが、収穫したときは「とれた!」と楽しい気持ちになりました。

『遠藤きのこ園』の『ひたむき椎茸』

肉厚で石突が太いため、しいたけもキクラゲももぎ取るときはドキドキします。(右)7月に商標登録された『ひたむき椎茸』。(左)生産量が少なく貴重な国産のキクラゲ 

「『ひたむき椎茸』が今年の7月に商標登録されましたので、今後のPRや販売戦略を練っているところです」と遠藤さんは話します。

「しいたけの栽培ノウハウのみならず、宣伝・SNSの活用、販売戦略、外国人技能実習生との異文化交流など、遠藤きのこ園ならではの多彩な体験を楽しんでほしい」と笑顔で話してくれました。

『遠藤きのこ園』の体験メニュー

『遠藤きのこ園』では、菌床づくりから収穫、選別、菌床の廃棄まで、しいたけ栽培の全てを体験することができます。

(1日のタイムスケジュール例)

・8:00~10:00:しいたけの収穫
・10:00~12:00:選別
・12:00~13:00:お昼休憩
・13:00~15:00:菌床の水やり、菌床を移動したりする管理業務
・15:00~17:00:しいたけの収穫

美しい緑のふるさとに戻したい。株式会社緑里(みどり)に学ぶ営農スタイル

川内村の農業の再生と復興を目指し、2015年4月に設立した『株式会社緑里(みどり)』。

代表取締役の河原修一(かわはら・しゅういち)さんを含む7名のスタッフで、水稲27ha、エゴマ7ha、リンドウ30aを栽培し、エゴマ油など6次化商品の開発・販売も行なっています。

設立から6年目を迎え、「震災で農業を諦めかけていた人たちにとって、私たちの取り組みや情報発信が起爆剤になったかもしれませんね。実際に、川内村では農業法人や営農組織が増え、農業人口も増加しました」と河原さんは振り返ります。

ふるさとに緑を取り戻したい。その思いから『株式会社緑里(みどり)』を設立した代表取締役の河原修一さん

ふるさとに緑を取り戻したい。その思いから『株式会社緑里(みどり)』を設立した代表取締役の河原修一さん

「私のお気に入りのリンドウ『尾瀬の大将』は、10月中旬頃まで咲いています。鮮やかな自慢のリンドウをぜひ見に来てほしいです」と河原さんは続けて話してくれました。

『株式会社緑里』のりんどうを栽培しているほ場

『株式会社緑里』のリンドウを栽培しているほ場。10月中旬まで収穫体験が可能です

河原さんは、東日本大震災で変わり果てたふるさとに、美しい緑を戻したいという一心で、水稲、リンドウ、エゴマの栽培からエゴマ油、凍み大根、切り干し大根、凍み餅など6次化商品の製造・販売へと事業規模を拡大してきました。

また、『株式会社緑里』が栽培する福島県のオリジナル品種『里山のつぶ(特別栽培米)』はFGAP(福島県GAP)の認証を、白エゴマはJGAPの認証を受けています。
現在、この白エゴマを使ったワンランク上のエゴマ油を開発中だといいます。

青空の下で大きく生育するエゴマの葉

青空の下、大きく成長するエゴマの葉。10月中は収穫体験が可能です

「農業従事者の高齢化が進んでいますので、10年後、またその先を見据えた担い手の確保が急務です。農業インターンシップで緑里という会社を知り、川内村の農業を知るきっかけになってくれれば嬉しいです。米も花もエゴマも、6次化商品の製造も、学生さんから一般の方まで幅広い世代の方に、とにかく来て体験してみてほしいですね」と河原さんは話してくれました。

株式会社緑里の取り組みは、川内村の農業をリードするだけでなく、地域活性化の起爆剤としても期待されます。

『株式会社緑里』の体験メニュー

水稲、野菜、花き、6次化商品の製造など多様な事業展開により9月~翌年2月までの間、さまざまな体験ができます。

・9月〜10月:水稲(稲刈り)
・10月:エゴマの収穫
・10月中旬まで:リンドウの収穫

収穫作業終了後、11月まではエゴマの乾燥調製、その後はエゴマの洗浄・選別・搾油、1月以降は凍み(しみ)大根、切り干し大根、凍み餅の製造を学べます。

福島県双葉郡川内村の郷土料理の1つ「凍み大根」と「凍み餅」

川内村の郷土料理の1つ「凍み大根」と「凍み餅」。冬場も製造の体験が可能です

可能性を秘めた川内村の農業の未来

川内村は東日本大震災により、一時は全村避難となりましたが、現在では約8割の村民が帰還し村内で生活を営んでいます。
避難指示区域の中でも、比較的早期に避難指示が解除された川内村では、営農再開が進んでいます。

『川内村役場 産業振興課 農政係』の遠藤一美さん

活気ある川内村の農業について話してくれた川内村役場 産業振興課 農政係の遠藤一美さん

「震災後、農業の法人化・組織化が加速しました。生産法人や組織が増えることで雇用就農という選択が可能になります。現在、村内に野菜のカット工場を整備しているので、今後は野菜の作付けも増やし、産地化を進めたいですね」と川内村役場 産業振興課 農政係の遠藤一美(えんどう・かつみ)さんは話します。

また、『シャルドネ』、『メルロー』、『カベルネソーヴィニヨン』などワイン用ブドウの栽培も順調に進み、「来年は村内での醸造をスタートしますので、100%川内村産のワインが誕生します。移住者も多く活気のある川内村に来て、農業がどのようなものなのか、まずは体験してみて下さい」と、今後の川内村の農業のカタチを遠藤さんは話してくれました。

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