こんにちは、フリーライターの少年Bと申します。
みなさんは「ブドウ狩り」に行ったことがありますか? わたしは2012年に初めてブドウ狩りに行って以来、8年間毎年さまざまな観光ブドウ園に通っています。ついには、ブドウ好きが高じて、昨年はブドウの同人誌を作ってしまいました。今回はそんな「ブドウマニア」がおすすめする関東近郊の「また行きたくなる観光ブドウ園」を4カ所おすすめします!
観光ブドウ園の魅力とは?
「観光ブドウ園」という言葉に決まった定義はありませんが、観光客向けに複数のブドウ品種があり、自家栽培のブドウを直売している農園をわたしはこう呼んでいます。試食のブドウを出してくれる施設や、ブドウ狩りができる施設も多く、ほかにも食事ができたり、ブドウ以外の果物狩りができたりする施設もあります。
最大の魅力は「スーパーでは売っていないめずらしい品種が手に入る」ことです。例えば、粒がぽろぽろこぼれてしまいやすい品種は、流通に向かないため、おいしい品種であってもなかなかスーパーには並ぶことがありませんし、甘くておいしいけども病気に弱くて安定供給ができなかったり、見た目が悪かったりして、高い商品価値が付きづらく、出荷量が伸びない品種もあります。また、新品種でまだあまり世の中に出回っていないブドウや、その農園で交配して作られたオリジナルの品種もあります。
多くの観光ブドウ園ではさまざまな品種を組み合わせて育てており、時期によって違う品種が並んでいます。おなじ農園に行っても、1週間後には並んでいるブドウががらっと変わっていることもめずらしくありません。多品種を少しずつ植えているため、見たことのない品種やちょっとクセのある品種を育てていることも多いです。
また、農家さんが直接経営しているため、ブドウ品種の特性や裏話なんかも直接教えてもらうことができます。世界にはなんと、1万種類以上のブドウ品種があるそうです。ちょっとディープでおもしろいブドウの世界をのぞいてみませんか?
40種類以上のブドウが揃う 久保田園
山梨県は甲州市、勝沼地区にある大型の観光農園です。時期によって違うブドウ品種が40種類以上並んでおり、「あなたの【MY BEST 葡萄(ぶどう)】探しをお手伝いします」がキャッチコピー。
最新の品種や、めずらしい品種はもちろん、赤いシャインマスカット「シャインローズ」や「シャイニングフィンガー」など、久保田園オリジナル品種の育種にも力を入れています。
最初に試食ブドウをもらえるほか、直売コーナーにある品種はすべて試食できるのもうれしいポイント。食べ放題はありませんが、十分すぎるほどのブドウを味見できるので、満足度も高いです。ブドウ狩りは一部品種が対応しています。園内の看板に載っているほか、ホームページからも確認ができます。
時期によっても品種は変わりますが、この日は巨峰のほか、他の観光農園でもほとんど見かけない「チンチャオチン」という中国のブドウが並んでいました。9月に入るとさらに品種が増えて、にぎやかになりますよ。
園内は広く、売店の周りには卓球台やブランコがあり、小さな子どもも楽しむことができます。テーブルもブドウ棚の下にあるため、目でも楽しめます。
JR勝沼ぶどう郷駅から連絡すれば、駅までの送迎もしてくれます。あなたも久保田園で【MY BEST 葡萄】を見つけてみてはいかがでしょうか?
久保田園
住所:山梨県甲州市勝沼町勝沼1611
営業時間:8:30~17:00
営業日:シーズン中は無休
http://kubotaen.net/
おいしいのはブドウだけじゃない 信玉園
山梨県甲州市、勝沼にある信玉園(しんぎょくえん)。道路に挟まれた立地にあり、アクセスがしやすい場所にあります。中規模の観光ブドウ園で、家庭的であたたかい雰囲気が特長です。
特徴は試食のブドウと一緒に出てくる自家製のお漬物。おばあちゃんが毎年仕込む野沢菜のお漬物は「ぜひ売ってほしい」という声が出るほどの名物なんです。残念ながら販売はしていないので、ぜひとも来園して食べてみてください。甘~いブドウとピリッと辛いお漬物、意外な組み合わせかもしれませんが、これが相性抜群なんですよ。
もちろん、ブドウの味も抜群です。この日は指のようなかたちをした「ゴールドフィンガー」やとっても甘い「クイーンセブン」などが並んでいました。
売店内はどこか落ち着くような、家庭的な空間です。おばあちゃんが「あんたたち、よく来たねぇ~!」なんて迎えてくれました。
ブドウ狩りもでき、わたしは「サマーブラック」というブドウを狩らせてもらいました。ブドウ狩りも含めて、直売で売っているブドウはすべて量り売りです。予算や食べられる量に合わせて買えるのでうれしいですね。
こちらもJR勝沼ぶどう郷駅から連絡すれば、駅までの送迎をしてくれます。おいしいブドウとお漬物、そして家庭的な雰囲気を味わえる信玉園。お口だけでなく、心も満たしてくれますよ。
信玉園
住所:山梨県甲州市勝沼町勝沼1973
営業時間:8:30~17:00ごろ
営業日:シーズン中は無休
https://shingyokuen.yu-yake.com/
勝沼が第二のふるさとに 金珠園
金珠園(きんじゅえん)も山梨県の勝沼地区にあるブドウ園です。直売所が主体で、規模は小さいですが、じじとばばが笑顔で迎えてくれます。
「じじ」こと雨宮さんは定年退職後にこのお店をオープン。長年、農協で「雨宮さんのブドウ」として評判だった自慢のブドウを、直接購入できるようになりました。
ブドウだけでなく、モモの直売もやっています。この日は巨峰のほか、とっても粒の大きい「藤稔(ふじみのり)」や真っ黒い「ブラックビート」が並んでいました。例年は8月末ごろから自慢の「シャインマスカット」が楽しめますが、「今年は長雨と猛暑の影響で、これからおいしくなってくるはず。10月でも間に合いますよ」(雨宮さん)とのことです。
通常より見た目が悪かったり、粒が小さかったりする「B級品」も取り揃えていますが、もちろん味のおいしさは変わらず。すべての品種があるわけではありませんが、おいしいブドウがお買い得な価格で入手できるチャンスです。
新型コロナウイルスの対策のため、今年は試食が出せないとのことでしたが、例年はブドウ畑の見えるテーブルで、ゆっくりした時間が過ごせます。
値札は小学生のお孫さんが書いたものを使っているのだとか。ほっこりした気分で車に乗り込むと、ばばが「またおいで~!」とあたたかい声をかけてくれました。
金珠園
住所:山梨県甲州市勝沼町等々力1778−1
営業時間:8:30~17:00ごろ
営業日:シーズン中は無休
常陸太田オリジナルの貴重な品種を味わって 武藤観光農園
茨城県常陸太田市にある観光農園です。茨城県の果物というとメロンのイメージが強いですが、常陸太田市もブドウが名物なんですよ。
直売所では試食ができるほか、贈答用・自家用に仕分けされたブドウがたくさん用意されています。時期によって品種は変わるため、ホワイトボードをチェックしたり、直売所のスタッフにおすすめを聞いたりするといいでしょう。
名物はやっぱり、常陸太田市でしか作られていないオリジナルブドウの「常陸青龍」。巨峰の種から生まれた品種ですが、親とは違って緑色のブドウです。他の地域では栽培されていない、貴重な品種なんですよ。
大規模な農園ではありませんが、園内にはテーブルも設置されていて、休憩ができるようになっているほか、巨峰や常陸青龍のブドウ狩りもできます。
農園は毎年9月末までの営業で、それ以降は道の駅にて販売しているとのこと。今年は天候の影響でブドウの数が少なくブドウ狩りは終了(2020年9月現在)、ブドウの予約販売をしています。売り切れてしまうこともあるので、お出かけの前に必ず電話で確認してくださいね。常陸青龍以外にも、さまざまな品種を作っているので、スーパーでは見かけないブドウがたくさんあります。常陸太田市はおそばや梨も名物なので、「おいしい」を見つける日帰り旅行をしてみてはいかがでしょうか。
武藤観光農園
住所:茨城県常陸太田市瑞龍町1243
営業時間:9:00~18:00
営業日:シーズン中は無休
https://mutonoen.bannou.design/
観光ブドウ園は複数回行くのがおすすめ!
今回は関東近郊の観光ブドウ園を4カ所紹介しました。
どこもさまざまな個性があって、わたしのおすすめのブドウ園です。スーパーでは売っていないめずらしいブドウがあるほか、農家さんと顔を合わせて直接やり取りができるのも魅力のひとつです。
わたしは「ブドウ園は複数回れ!」がモットー。ブドウ園によって違った品種を育てているので、たくさん回ると、それだけ多くのブドウに出会えるチャンスがあるのです。ほしい品種がなくても、ほかの農園ではまだ残っていることもあります。園によって規模も、サービスも、料金体系もさまざま。きっと、違った魅力に出会えることでしょう。
また、おなじブドウ園でも時期を変えて行ってみると、また別のブドウが並んでいます。最初にも書きましたが、たくさんの品種を栽培している観光ブドウ園だと、1週間後に行くと品ぞろえが大きくがらっと変わっていることもあるので、何度も行くとまた違う発見があるかもしれません。
9月はブドウの品種が増え、直売所もにぎやかになってくるころ。まさにシーズン真っただ中です。スーパーではわからないブドウの世界をのぞきに、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
写真:ししとう(@774_10)