「スタッフを重労働から救いたい」つづく農園の思い
雄大で美しい御前山の土地に一目ぼれして家族4人で移住。2007年に茨城県常陸大宮市でイチゴ栽培を始めた「つづく農園」の都竹大輔さん。現在、栽培面積35a15棟のハウスで、茨城県オリジナル品種のいばらキッスをはじめ7品種のイチゴを栽培しています。収穫したイチゴは主に直販され、遠くから買いに来るファンもいるほどおいしいと評判です。
「この土地は那珂川流域の沖積土壌で、名水100選に入る地下水が通っているんです。茨城県は冬場の日照時間が長く、更に内陸部の常陸大宮市は寒暖差が大きく、果物がおいしくなる要素がそろっている、と就農後に知りました」
この自然の力を最大限に生かして、土づくりにこだわった土耕栽培で、化学農薬は極力使わず、子どもがそのまま口に入れても安心安全なイチゴを生産しています。
2020年、つづく農園は、担い手不足や高齢化の課題解決のための『スマート農業実証プロジェクト』に参画。重労働の負担軽減と作業の効率化を目的に 『マッスルスーツ』5台を導入しました。
「うちのスタッフは6人中5人が10年以上働いてくれています。この先も長く勤めてもらうには作業負担の軽減が必要だと思いました。身体への負担を考えて高設栽培に移行することも考えましたが、土へのこだわりもあり、土耕栽培で人材を確保して長く農業を続けられる選択肢があることを他のイチゴ生産者にも見せたいですね」
『マッスルスーツ』との出会いによって、個人農家ができるスマート農業の道筋を見いだしました。
施肥・定植・収穫…ツラい単純作業を空気がアシスト!
厳しい暑さが残る9月、つづく農園では2万株の苗の定植する準備が進められていました。苗箱の移動、施肥などの作業に、パートさんと一緒に汗を流すのは妻の友美さんです。作業療法士として医療機関に勤めた経験のある友美さんは、 『マッスルスーツ』を装着した楽な作業姿勢を考えているそうです。
「一般的にアシストスーツは重い物の持ち上げを補助するイメージがありましたが、同じ姿勢で作業をやり続けるときの腰のサポートをしてくれることがわかったのは、うれしい驚きです」と、使用を開始した『マッスルスーツ』の印象を語ります。
猛暑下で装着すると体感温度が増すのではないかという懸念もありましたが、体に密着するのは腿パッドのみで背面には風が通り、暑さ対策に導入した空調服の上からも着用できます。
リュックサックを背負うように腰や肩のベルトで調整し、作業強度に合わせて手元のポンプで人工筋肉にエアを注入し3分で装着完了。ベルトを個人に合わせておけば、10秒で脱着できます。
「手軽に装着できるのはメリットですね。イチゴの病気もそうですが、一番大事なのは予防です。着けないで作業して腰を痛めるかもしれません」と大輔さん。1袋20kgの肥料の積み下ろしにも欠かせません。
「中腰の姿勢で行う施肥作業が延々とできました。疲れを翌日に残すこともなくなりました。装着時の動作に慣れたパートさんは、作業スピードも上がっています」と話すのは友美さんです。
「電力がいらない点も気に入っています。モーター駆動のスーツを試したことがありますが動作のタイミングに少しズレを感じました。マッスルスーツは常に自分の動作がアシストされている感覚がありますね」と都竹さん。普段、着けていないときも腰を痛めない動作を意識するようになったそうです。
苗の定植の次に控えるのは、11月下旬からの収穫作業。シーズンのクライマックスも『マッスルスーツ』が強い味方です。
『マッスルスーツ』が高齢化・人手不足の課題を解決!?
『マッスルスーツ』は、株式会社イノフィスが開発した空気圧を動力とするアシストスーツ。東京理科大学工学部で研究された装着型作業支援ロボットがその原型です。今回、つづく農園に導入された『マッスルスーツEvery(エブリィ)』は、シリーズ最軽量の3.8kg。量産化の成功によって価格を従来品の1/3以下の10万円台に抑えて、2019年11月にリリースされた最新モデルです。
「作業者の腰への負担を軽減するために開発された『マッスルスーツ』が、多くの人の役に立ち、高齢化や人手不足といった農業の課題解決に貢献できればうれしいです」と同社マーケティング部の小林知香さん。『マッスルスーツ』は、介護、工場、倉庫、建設現場などさまざまな現場に導入されています。農業作業時に着るのが当たり前となる未来が近いかもしれません。
一番の効率化はスタッフに長く勤めてもらうこと
「つづく農園は今年で14年目。私もパートさんも年齢を重ねてきました。開園当時と比べてお子さんたちも大きくなっているので、身体の負担を減らしてたくさんお仕事に入っていただき稼いでほしいです」と友美さん。
「農業を効率化するのに重要なのは何だろうと考えたら、人に長く勤めてもらうことでした。継続することで技術やスピードも上がり、農園や作物への愛着も共有できます。イチゴの収穫作業は半年間なので、次のシーズンの雇用がうまくいかない農家さんも多いと思いますが、個人農家が実践できるスマート農業があることを実証したいです」と大輔さん。
都竹さんの農業の抱負は、移住した地域への貢献。常陸大宮市内には現在イチゴ農家が7軒あり、そのうち6軒が新規参入。常陸大宮市をイチゴの名産地にしようと「奥久慈いちご研究会」が発足し、大輔さんがその会長を務めています。
農業を長く現役で続けたいと思う気持ちは、若手もベテランも男性も女性もみんな同じ。人の力をアシストすることは、作業の標準化を促し、担い手不足や高齢化などの課題解決につながり、ひいては地域社会への貢献に資する可能性を秘めています。
最新機器を活用して業務の効率化・スタッフの定着化を進めたい方、性能に疑問をお持ちの方は一度、イノフィスに問い合わせてみてはいかがでしょうか?
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