夏野菜として欠かせないきゅうり。水分が多い野菜だからこそ、おいしく食べ切るには、保存方法を工夫することが大切です。まるごとの状態での保存や、塩もみしてからの冷凍保存など、さまざまな保存方法をご紹介します。使い勝手に合わせて選び、活用してみてくださいね。
きゅうりを新鮮に保つ保存方法
きゅうりは水気と低温に弱いため、保存する際は水気をよく拭き取り、野菜室に立てて保存するのが基本です。今回は、さらに長期保存を可能にする保存方法をご紹介します。
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きゅうりの保存に適した温度は?
きゅうりの保存の適温は10〜15℃と言われています。低温で保存すると傷みやすく、低温障害を起こしてしまうため、冷蔵庫での保存にも工夫が必要です。夏場は冷蔵庫での保存、冬場は暖房をつけていない室内であれば常温保存が可能です。
保存方法と保存期間
きゅうりの保存方法による保存期間の目安は、次のとおりです。
まるごと冷蔵保存 | 10~12日程度 |
まるごと冷蔵保存 | 1カ月程度 |
塩もみして冷凍保存 | 3〜4日程度 |
塩もみして冷凍保存 | 1カ月程度 |
保存方法によって保存期間も異なります。また、保存後に料理する際に向いている調理方法も変わってきますので、自分に合った方法を試してみてくださいね。
きゅうりの冷蔵保存
夏場のきゅうりの保存は冷蔵庫での保存が必須です。まるごと保存する場合とカットして保存する場合では保存方法が違いますので、それぞれの方法をご紹介します。
まるごと冷蔵庫で保存する場合
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- きゅうりを洗い、キッチンペーパーなどで水気をよく拭き取る
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- 乾いたキッチンペーパーに包む
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- ラップまたはポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存する
まるごとの状態で保存しておけば、その都度料理に合わせて切り方を変えて使うことができます。食感も風味も保たれるので、おすすめの方法です。
カットしてから冷蔵庫で保存する場合
カットしたきゅうりは、まるごと保存するよりも切った断面から傷みやすくなります。1本まるごと使いきれなかったきゅうりは、しっかりと断面をラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れて早めに食べ切りましょう。
塩もみしてから冷蔵庫で保存する場合
切ってから冷蔵保存でも、保存期間を延ばしたい場合は、塩もみがおすすめです。薄切りにしたきゅうり1本に対して、ひとつまみ(約1g)の塩をふりかけ、5分ほど置きます。きゅうりから出てきた水分を両手でしっかりと絞り、ジッパー付き保存袋に入れて冷蔵保存しましょう。常備しておけば、サラダの具材や、タコやわかめとの和え物にするなど簡単に1品仕上がります。
冷蔵保存の中でも、保存方法によって保存期間が異なります。きゅうりの使い道と使い切れる日にちがどれくらいなのか確認してから保存方法を選びましょう。
きゅうりの冷凍保存
きゅうりの冷凍保存は、冷蔵保存よりも食感は劣りますが長期保存が可能です。冷凍方法もいくつかありますのでご紹介します。
スライスして冷凍
薄切りにして、ジッパー付き保存袋に平らになるように入れ、冷凍庫で保存します。薄めに切っておくことで、解凍時間も短くなり、料理への使い勝手も良くなります。
塩もみして冷凍
塩もみを冷蔵保存と同様の手順で行い、ジッパー付き保存袋に平らになるように入れ、冷凍庫で保存します。解凍は冷蔵庫で自然解凍がおすすめです。
まるごと1本冷凍もできる!
水で洗った後、しっかりと水気を拭き取ってから1本ずつラップで包みます。ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。解凍後は柔らかくなっているので味の染み込みがよく、調味液に浸しておけば漬物としておいしくいただけます。
冷蔵保存と冷凍保存ではきゅうりの食感が変わってきます。同じ野菜でも違う食感を楽しめるので、ぜひ冷凍保存も活用してみてくださいね。
手順を動画でおさらい!
日持ちする! 人気のきゅうりレシピ
きゅうりを日持ちさせる料理といえば、漬物ですよね。今回は、簡単に作れる漬物や干しきゅうりを活用したレシピをご紹介します。
簡単で日持ち! きゅうりのピリ辛漬け
【材料】(1〜2人分)
- きゅうり…1本
- 塩…小さじ1/3
- 酢…大さじ1/2
- タカノツメ(輪切り)…1/2本分
- 昆布…2cm角1枚
【作り方】
①きゅうりはピーラーで縦に数回皮をむき、長さを4等分に切る。
②ジッパー付き保存袋に①と塩を入れて揉み込む。全体になじんだら、残りの材料を加えて揉み込み、冷蔵庫で半日以上寝かせる。
【ポイント】
きゅうり1本から作れる簡単漬物です。きゅうりの本数に合わせて、調味料の量を調整してください。レシピでは3〜4日程度の日持ちですが、さらに日持ちさせたい場合は、塩の量を2〜3倍に増やすことで冷蔵庫で2週間程度保存が可能です。
干しきゅうりのパリパリ漬け
【材料】(作りやすい分量)
- きゅうり…1本
- 砂糖…大さじ1
- 酢…大さじ2
- しょうゆ…大さじ2
- タカノツメ…1本
【作り方】
①きゅうりは1センチ幅の輪切りにする。キッチンペーパーを敷いた天板、またはザルに切ったきゅうりを並べ、半日以上天日干しする。
②ジッパー付き保存袋に①と全ての材料を加えて、一晩冷蔵庫で漬け込む。
【ポイント】
冷蔵庫で1週間程度の日持ちです。干し加減はお好みで調整してください。しっかりと乾燥させると、その分干しきゅうりとして保存期間も長くなります。時間が経てば経つほど、干しきゅうりに味が染みておいしくなります。
さっぱり! きゅうりとわかめの酢の物
【材料】(2〜3人分)
きゅうり…2本
塩…小さじ1/2強
乾燥わかめ…2g
乾燥はるさめ…10g
(A)
酢…大さじ1
砂糖…小さじ1/2
しょうゆ…小さじ1/2
塩…ひとつまみ
すりごま…適量
【作り方】
①きゅうりは薄切りにし、塩をまぶして5分置く。出てきた水気を手でよく絞る。わかめとはるさめはそれぞれ戻して食べやすい大きさに切る。
②ボウルに①の材料と(A)の調味料を加えてよく和え、冷蔵庫で冷やし味をなじませる。皿に盛り、すりごまをかける。
【ポイント】
さっぱりとした味でたっぷりのきゅうりがモリモリ食べられるレシピです。冷蔵庫で3日程度の保存ができます。お好みでカニ風味かまぼこや、ツナを加えてもおいしいですよ。
日持ちさせる効果のある調味料と相性の良いきゅうり。きゅうり自体の味が淡白だからこそ、しっかりと味付けをすることで、さらにおいしくなり、保存効果も高まります。
夏に食べる機会の多いきゅうりは、大袋でスーパーに並んでいることも多いですよね。使い切れずに冷蔵庫で腐らせてしまうことを防ぐためにも、適した方法で保存しましょう。今回ご紹介した保存方法をぜひ活用してみてくださいね。
きゅうりの効率的な食べ方は?
漬物にする
きゅうりを食べる際、ヘタは捨てることが多いようですが、実はこのヘタにも抗酸化作用(ククルビタシン)が含まれています。切り落とさずにまるごと食べると、無駄なく栄養を摂取できます。ただし、ククルビタシンは苦味成分でもあるため、激しい苦味を感じる場合は食べないようにしましょう。
きゅうりをまるごと食べる場合、漬物などにするとより食べやすいです。漬物にも色々ありますが、ぬか漬けはぬかに含まれている栄養素(ビタミンB1やB6)がきゅうりにも吸収され、それに伴いきゅうりの栄養価も高まるのでおすすめです。
たんぱく質と合わせて摂取する
また、きゅうりはたんぱく質と一緒に食べると良いでしょう。きゅうりに含まれているビタミンCは、たんぱく質にとって必要不可欠な成分です。たんぱく質とビタミンCが結びつくとコラーゲンになり、肌をきれいに整えたり、丈夫な骨や筋肉を形成する他、関節の動きを良くするなど、様々な働きをしてくれます。たんぱく質が豊富に含まれている食材には、肉類・魚介類・卵・大豆などがあります。
レバーや赤身肉など合わせて摂取する
さらに、ビタミンCは鉄分の吸収力を上げる効果もあります。鉄分を単体で摂取しても、体へはなかなか吸収されにくいと言われていますが、ビタミンCと合わせることで吸収力がアップします。鉄分を多く含む食材としては、レバーや赤身肉などが代表的です。その他にもカツオや卵、あさりや牡蠣などの貝類、小松菜にも多く含まれています。
美味しいきゅうりの選び方は?
店頭に並んでいるたくさんのきゅうりの中から、新鮮なものやおいしいものを選ぶために、いくつかのポイントをおさえておくと便利です。
イボがチクチクしている
きゅうりといえば、チクチクとしたイボがあるものが一般的ですが、最近ではイボがない品種も出回っています。ピクルス用などの小さめのきゅうりにはイボがなく、表面がなめらかで、爽やかな味わいが特徴です。通常のサイズのきゅうりでイボがある品種については、イボがとがってチクチクしているほど新鮮である証拠です。イボは時間が経過するごとに柔らかくなるとされているからです。
太さが一定
きゅうりの形にも注意しましょう。新鮮なきゅうりは、全体的に太さが均一になっています。両端が細くなっているものなどは避けた方が良いでしょう。中にはきゅうりが曲がっているものなどもありますが、太さが均一であれば曲がっていても新鮮さには変わりはありません。
色ムラがない
きゅうりを選ぶ際には、緑色が濃いものをおすすめします。また、色むらがないものほど鮮度が高いです。90%以上が水分からできているきゅうりは、時間が経つほどにしなびていき、ハリや弾力も失われていきます。表面にシワがなく、色ムラのない濃い緑色でみずみずしいきゅうりを選びましょう。
重みがある
新鮮なきゅうりには、水分のずしりとした重みがあることも特徴の一つです。収穫して時間が経過しているきゅうりほど水分も抜けて、重量感がなくなっています。きゅうりの重さも、鮮度を見分ける重要なポイントとなります。
きゅうりにはどんな種類がある?
白いぼきゅうり
きゅうりの表面にあるイボが白いことから、「白いぼきゅうり」と呼ばれています。市場に最も多く出回っているのがこの白いぼきゅうりで、病気にも強く、多くの量を収穫できるため、生産がしやすい品種とされています。柔らかく、みずみずしい食感が特徴です。
いぼなしきゅうり
その名の通り、表面にイボがないきゅうりのことです。つるつるとして水切れが良く、加工に向いた品種とされています。青臭さが少なく、歯切れが良いことが特徴で、パリッとした食感を楽しめます。
白きゅうり
白きゅうりには、全体が白~淡い黄緑色の「白きゅうり」と全体的に白っぽく、先端部分だけが緑色の「半白(はんじろ)きゅうり」の2種類があります。この品種は、昭和の時代などではよく流通していたようですが、現在は一部の地域のみの生産となり、ほとんど見かけることはありません。味の特徴としては「柔らかい果肉でほんのりとした苦味がある」「歯切れが良く漬け物に適している」などが挙げられます。
ミニきゅうり
長さが8~12cmほどのきゅうりのことは「ミニきゅうり」と呼ばれています。大きくなる前に若取りしたものや、12cmほどで収穫できるように開発された「サラ」や「リル」「ミニQ」などの品種があります。
きゅうりの旬はいつ?
市場には1年中出回っているきゅうりですが、品種によっても旬の時期は異なるようです。一般的なきゅうり(白いぼきゅうり)は6~9月頃にかけて、黒いぼ系のきゅうりは4~6月、金沢の加賀野菜の一つである加賀太きゅうりなどは5~8月が旬の時期とされています。他の野菜にも言えることですが、旬を迎えた野菜は味も良く、栄養価も高くなると言われていますので、積極的に食べましょう。
きゅうりに期待できる効果は?
夏バテ防止になる
6~9月にかけての間が旬と言われるきゅうりですが、現在は1年を通して店頭に並べられています。水分ばかりで栄養がないというイメージもあるようですが、実際はそんなことはありません。きゅうりの大部分(約90%)は水分ですが、その中にはビタミンCなどの栄養素もちゃんと含まれています。
きゅうりは、体の水分が失われがちな夏には特におすすめの野菜で、漢方では「体を冷やす効果がある」とされています。水分が多いきゅうりを食べることで、体の中の熱が汗や尿として体外に放出されるため、体温調節ができます。暑さで食欲が減退したときにもあっさりとしたきゅうりは食べやすいため、夏バテ防止にもなります。暑さで大量に汗をかいた後やスポーツなどで発汗した際の水分補給に、きゅうりを食べると良いでしょう。また、野菜の中ではもっともカロリーが低く、ダイエット時にも最適です。
コレステロールを下げる効果がある
また、きゅうりに含まれている食物繊維とイカやタコ、牡蠣・あさりなどに含まれているタウリンには、コレステロールを下げる効果があるとされています。その両方を一緒に摂ることで、より効果が上がります。イカやタコを使い、きゅうりと合わせて酢の物などにすると酢に含まれている「クエン酸」も合わさり、血糖値を下げてくれるおかずになります。
きゅうりには体に良いとされる成分が色々含まれていますが、食べる際にもよく噛んで食べると嬉しい効果があるようです。きゅうりにはホスホリパーゼという脂質を分解する酵素も含まれているのですが、その成分はよく噛むことでより分泌されるという特徴があります。そのため、20回以上は噛むことを意識しながらきゅうりを食べると、痩せる効果も期待できるでしょう。
きゅうりに含まれる栄養素は?
きゅうりは色々な料理に活用できる便利な野菜ですが、その栄養についてはあまり知られていないのではないでしょうか。ここでは、きゅうりに含まれている栄養素について改めてご紹介していきます。
カリウム
カリウムは、むくみを解消する働きがある他、高血圧の予防や改善、脳卒中の予防や骨密度の増加などにも効果が期待できます。きゅうり1本(約100g)に含まれているカリウムの量は約200mgと言われ、これは人間が1日に必要なカリウムの摂取量の13%に当たります。きゅうりを水にさらしたり、茹でたりすると、カリウムの量は減っていきます。
ビタミン
きゅうりには、ビタミンCとビタミンKが含まれています。ビタミンCは、日焼けによるメラニン色素の生成を抑えてシミを予防します。また、免疫力を高めたり、コラーゲンの生成にも欠かせない栄養素です。きゅうり1本(約100g)にはこのビタミンCが14mgほど含まれており、これはトマトの約1.26倍で、1日に推奨されているビタミンC摂取量のおよそ14%に当たります。ビタミンCは体内で蓄積されない栄養素であるため、毎日積極的に摂った方が良いでしょう。ビタミンKは骨にカルシウムを定着させる働きがあり、骨や歯の形成にも重要な役割を果たしています。その他に、血液を固める効果もあります。
食物繊維
食物繊維は腸内環境を整えて排便を促す役割を果たすため、便秘予防に効果的です。腸内に溜まったコレステロールやナトリウムなども排出してくれるため、糖尿病・動脈硬化・高脂血症・心筋梗塞などの予防にもつながります。きゅうり1本あたりにこの食物繊維が約1.1g含まれており、レタス1玉分に含まれている量と同等と言われています。
きゅうりの効果・効能は?
美肌効果
きゅうりには、美肌に効果があるとされているビタミンCの他に、ビタミンA(β-カロテン)も含まれています。ビタミンAには皮膚や粘膜を健康にする働きがあり、肌のターンオーバーの正常化やくすみ予防にも効果が期待できます。ビタミンCの持つ働き(皮膚のハリや弾力を保つコラーゲンの生成やシミのもとになるメラニン色素の抑制)とビタミンAの働きを合わせて、美肌効果が期待できます。
むくみ改善
前述した通り、きゅうりにはむくみ予防に効果的なカリウムが含まれています。毎日適切な量を摂取すれば、利尿作用によって体の中から余分な水分が排出されるため、むくみ体質の改善にもつながるでしょう。
整腸作用
きゅうりには水に溶けにくい不溶性食物繊維が多く含まれています。これは腸のぜん動運動を促し、便のカサを増やす役割を果たす他、善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果もあります。