高輪ゲートウェイから始まる次世代型マルシェ
「ポケットマルシェ」は農家や漁師から直接食材を購入できるスマホアプリだ。新型コロナの影響で食材の在庫が増えると、アプリ内に「#新型コロナで困っています」タグを設置し、生産者を応援したい消費者の購買を促すなど、生産者と消費者のつながりを意識したサービス運営が特徴だ。
販売会は、JR東日本山手線で49年ぶりの新駅として話題の高輪ゲートウェイ駅の改札外デッキで開催された。生産者と対面しながら食材を購入できるほか、「ポケットマルシェ」から予約注文をすると、新幹線輸送された新鮮食材を受け取ることができる。新幹線の速達性や定時性を生かし、地域の魅力ある食材をスピーディに都心に運搬することが目的だ。初回は、震災からまもなく10年となる東北地方を応援するために、東北食材に絞って開催。2日程の開催で約2,200名が来場した。

食材を新幹線で輸送する様子

輸送された段ボールには、生産者から消費者へ食材の説明がぎっしりと書かれている
アバターロボットの活用で生産者の負担も軽減
会場内にはアバターロボット「OriHime」が設置され、次回の販売会開催時に新幹線にて食材を輸送予定の生産者とのコミュニケーションも実現した。生産者は畑から栽培のこだわりや生育状況などを説明。消費者は収穫前の作物のストーリーを聞くことができる。生産者は会場に出向くことなく消費者に食材をアピールすることが可能だ。

せり農家の三浦隆弘さんが畑の様子を紹介した
通常の販売会は、生産者が対面販売することで顧客開拓やブランディングに有効な反面、当日は会場に拘束されるため農作業が中断するほか、輸送に手間がかかったり、売れ残りが発生するといった課題がある。アバターロボットを活用して予約注文をとることで、当日会場にいくことなく消費者に届けることができ、生産者の負担軽減が期待できる。
一方、新幹線の始発駅までは生産者が運ばなければいけない点や、新幹線輸送で新たに発生した工数など課題も残る。ポケットマルシェは、取り扱い数量を増やすことが改善に繋がると考えている。
販売会は今後も毎月開催する予定。消費者が食材を選ぶ新たな選択肢として、また都心と産地とのつながりが深まる新しいかたちとして、今後の展開に注目したい。