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愛知県が育む農福連携。県内事例からその効果と変化に迫る

愛知県が育む農福連携。県内事例からその効果と変化に迫る

1977年以降、製造品出荷額は全国1位。自動車や機械などの製造業が盛んな愛知県は、“全国有数の農業県”の顔も持ちます。農業産出額は、常に全国トップ10をキープ。農業・工業ともに発展してきた県ですが、近年は農業就業人口の減少・高齢化が進み、安定的な労働力の確保や、生産力の向上が課題に。そこで、愛知県は「農福連携」に注力。2019年に「あいち農福連携推進協議会(事務局:農業水産局農政部農業経営課)」を設立し、農福連携セミナーなど各種研修会の開催、農福連携相談窓口の設置等の取り組みにより、農福連携の理解促進や取り組みの拡大を支援しています。今回は、県の支援を受けて農福連携に取り組む農家の事例から、愛知県の具体的な取り組みや、今後の展望を取材しました。

課題解決のカギとなる愛知県の「農福連携」

愛知県では多様な自然・地理的条件を生かし、地域ごとに特色ある農業が営まれています。特に盛んなのは、ガラス温室やビニールハウスを利用した施設園芸。花きの産出額は全国の16%を占め、1962年以降、全国1位を記録し続けています。

一方、全国的に少子高齢化が進み、愛知県でも農業就業人口の減少・高齢化が深刻化しています。この問題に立ち向かうべく、愛知県は「食と緑の基本計画2025」を定め、持続的な人材の確保と生産性の向上を宣言。取り組みの一環として農福連携に注力しています。

農福連携とは、障害者の農業分野での活躍を通じて、自信や生きがいを生み出し、社会参画を促す取り組みのこと。農業分野では、労働力の確保や耕作放棄地の解消につながり、福祉分野では、障害者の就労先の確保や工賃の引き上げ、リハビリにも寄与するといったメリットがあります。

農業と福祉の双方が抱える課題を解決し、お互いの利益を生む取り組みとして期待が寄せられ、愛知県でも農福連携の様々な試みが実を結びはじめています。

現場から農福連携の学びを深める

愛知県の春日井農場、長野県の八ヶ岳農場で花・多肉植物・ハーブ・野菜などの苗を生産する有限会社H&Lプランテーションは、愛知県の支援を受け、障害者を雇用する農家の一つです。
市内の福祉施設を利用していた方を雇用するほか、他の福祉施設から研修生を数名受け入れています。

代表取締役を務める鵜飼敏之(うかい・としゆき)さんは、長野県の農家で2年間の研修を終えたのち、実家の経営を継承。農福連携の取り組みは、父親の代からあったそうです。

「父は地元の福祉施設と連携しながら、障害者の方を独自に受け入れていました。ただ、私自身、詳しいことは何も知らず家業を継ぐことになり、自分も農福連携について学ぶ必要があるなと感じました。そんなとき、農福連携に取り組む知り合いの農家の誘いを受け、障害者の就労支援に関する研修に参加。現場から農福連携の学びを深めました」

2000年、鵜飼さんは事業拡大のために実家の農場を法人化。父親が築いた農福連携の礎を引き継ぎ、障害者を受け入れ続けています。
「農福連携の現場は何度も見ていましたが、ただ見ているのと、自分が指導する側になるのとでは全然違いました。独学で身につけられる知識には限りがあり、障害者さんとどう接するべきか、どんな仕事をお任せすればいいのか、最適解が見つけられずにいました」

そんなとき、目に止まったのは当時愛知県が実施していた農福連携プロジェクト。独自の農福連携に限界を感じていた鵜飼さんは、プロジェクト参加に手をあげ、各所からサポートを受けながら農福連携の取り組みを加速させました。

作業効率1.5倍アップ、現場の雰囲気に変化が

「基本的に福祉の知識を身につけた職員やパート従業員らと一緒に手を動かしながら、障害者さんに指導しています。福祉施設の職員さんと密に連絡を取り、障害者さんごとに接し方の留意点や性格を把握。一人ひとりの得意・不得意に応じて作業を割り振っています。誰に何をお任せできるかは、やってみないと分かりません。できないと思ったことができたり、その逆もある。お任せする前から不安になっても仕方ないので、とにかく挑戦あるのみです」

現在、障害者の方に任せているのは、土を詰める作業、片付け作業、剪定作業、花摘み作業。比較的簡単なものからスタートし、少しずつ作業の幅を広げています。

「農福連携を始めたおかげで、職場のコミュニケーションが円滑になりました。パート従業員も一緒に作業する中で、率先的に障害者さんに話しかけています。みんなで雑談したり、笑ったり、現場の雰囲気が明るくなりましたね。安定的な人材確保はもちろん、生産効率も1.5倍アップしています。」

農福連携の可能性を実感した鵜飼さんは、2012年に(特非)花と緑と健康まちづくりフォーラムが行う園芸福祉士の養成講座を受講し、園芸福祉士の資格を取得。同フォーラムの会員として、園芸福祉活動を行いながら、個人としても会社としても活躍の幅を広げています。

「愛知県では農福連携のセミナーやサポーター養成講座などが定期的に開催されています。まずはそこに足を運んでみることをおすすめしますね。そこから農福連携に取り組むきっかけや農家同士の繋がりが生まれるはずです。また、経験や知識豊富な方々が気軽に相談に乗ってくれます。気持ちの面でもサポートしてくれる人の力を、ぜひ積極的に借りてみてください」

農大や関係機関との連携により、農福連携を更に広めていく

ハードルが高いと思われがちな農福連携。愛知県では、知識・経験がゼロの状態でも、無理なく始められる仕組みが育まれていました。
愛知県庁で農福連携を推進する担当者は「農福連携の取り組みや、それを支援する制度や機関があることを周知していきたいです。農家・福祉事業所の双方の課題に耳を傾け、農福連携相談窓口を設置して農業経営体と福祉事業所等の農作業委託(施設外就労)のマッチングを行うなど、障害者の農業への参画を促進し、農業を盛り上げる取り組みを県全体で推し進めていきます」と今後の意気込みを話します。

愛知県は、農福連携の取組拡大に向けて、2020年度に農福連携のPR動画やマニュアルを作成し、ホームページで公開しています。今後も農福連携セミナーや農業大学校における福祉事業所等の職員への農業技術習得研修の開催、特別支援学校における農業体験の実施を行うとともに、2021年度からは、愛知県版農業ジョブコーチの養成講座を新たに開催する計画です。引き続き関係機関との連携を図り、農福連携の推進を更に加速させます。

その他、愛知県動画はこちらから

【取材協力】
有限会社H&Lプランテーション

【お問い合わせ】
愛知県農業水産局農政部農業経営課
TEL:052-954-6409
FAX:052-954-6931
HP:https://www.pref.aichi.jp/nogyo-keiei/

(取材・執筆/株式会社R-pro)

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