生まれ育った関東からこの地へ移住を決めたきっかけ
「ここでしか見れない景色に出会えます」
南阿蘇村に移住して新規就農し、大玉トマトを育て始めて5年目になる山田祐輝さん(33)と明日香さん(31)ご夫妻。千葉県出身の祐輝さんは飲食店で働いていた時に明日香さんと出会い6年前に結婚。明日香さんの実家の農地があったことから、南阿蘇村に移住し農業を始めました。
「もともと人の多い都会より、自然な場所が好きだったんです。結婚の挨拶で一度、南阿蘇村を訪問した際、山に囲まれた景色の素晴らしさに魅了されました。農業に興味を持ったのは、千葉の地元の知り合いに農家の人がいて、すごく楽しそうで、自分の時間を自由に使えるところがいいなと思ったこと。南阿蘇村に妻の実家の田んぼはありましたが、誰も農業をしていないので、自分にできないだろうかと思ったんです」と移住のきっかけを話す祐輝さん。実際に、地元の知り合いの農家で半年間農業体験をしてみて、「楽しいかも!」と思えたことから、移住を決意したと話します。
早速、南阿蘇村での研修先を探すため、NPO法人に連絡。東京で新規就農者向けのイベントがあると聞き、そこで相談した結果、研修先や仮の住まいなどすべての段取りがトントン拍子に進んだといいます。
結婚して千葉県に住むはずだった妻の明日香さんの反対はなかったのでしょうか?
「最初は戸惑いもありましたが、若いうちにやりたいことはやっておいた方がいいと思いました」と夫のチャレンジに賛成したそうです。ただしその時は、農業を手伝う気は全くなかったとのこと。ところが研修先に挨拶に行った際、「どうせやるんだったら、奥さんも一緒に研修を受けた方がいい。もちろん、子育て優先で大丈夫ですよ」と言われて、研修から一緒に受けることになりました」と笑顔を見せます。
現在は2人の男の子にも恵まれ、南阿蘇村に建てた住まいに明日香さんのご両親、祖父との7人家族。夏にはもう1人新しい家族が増えるといいます。
「妊娠や子育てが大変な時は、やれることだけ手伝うという感じで無理なく畑作業をやっています。自分の親のサポートもあるので、助かっていますね」と明日香さん。
一方、2年間の研修でトマト栽培の基礎を学んだ祐輝さん。「まったくゼロからの経験でしたが、とても勉強になりました」。2年目の収穫が一段落した頃からは、田んぼを畑にしたり、中古のハウスを建てるなど自分の畑の準備を始めたそうです。「就農して少しずつ畑の面積も増やして、収入の目処が立ったのは3年目くらいからです。農業は一生懸命やれば返ってくると言われますが、本当にその通りだと思います。最初は大変な時期がありましたが、少しずつ収益も上がってきました」と手応えを感じています。
さまざまな給付金や支援制度も利用できる
南阿蘇村独自のワンストップサービスの就農支援とは?
新規就農を検討した際、何と言っても気がかりなのが、お金のことではないでしょうか。研修期間の収入や農地、農機具の手配や資金のことなど心配は尽きません。
山田さん家族の新規就農を支えてきたのが、南阿蘇村ならではのワンストップ就農支援制度です。まず研修の2年間は、新規就農の研修生のための準備型の給付金を利用しました。さらにハウス(中古)を購入する資金は、南阿蘇村独自の農業者向けの補助金を利用して助成を受けることができたとか。「役場の農政課に何でも相談すれば、親身になってアドバイスしてくれるので助かっています。みなさん温かい方ばかりです」。
このほか、新規就農・就業現地ツアーの開催や、短期研修の受け入れ、貸し出しハウス整備支援事業、農業次世代人材投資事業、無利子資金制度などさまざまなサポート制度があり、随時相談に乗ってくれます。また住まいを探す場合には、南阿蘇村移住サイトに相談すれば、「空き家・空き地バンク」がサポートしてくれます。改修工事や家財処分費用の2分の1を負担してくれる補助金制度も利用できるそうです。
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行政×農家×就農者でつなぐ南阿蘇村の未来。手厚い就農サポートをレポート
南阿蘇村では、子育て支援に大変力を入れています。出産した時には第1子・2子なら5万円、第3子以降は10万円支給。給食費の半額補助、0歳から18歳までの医療費助成、ランドセル・中学生カバンの支給、チャイルドシートの半額助成など、子育てファミリーにとってはありがたいものばかり。もちろん待機児童もゼロ。「関東と違って、いつでも必要な時期に保育園に入園できるのでびっくりしました」と明日香さん。さらに今年1月には「子育て世代包括支援センター『みなっこ』」が完成。村ぐるみで、妊娠から出産、子育てを応援しようという制度が整えられています。
山田家のとある1日の暮らし@南阿蘇
これから移住する人へのメッセージ
そんな山田家の1日の暮らしぶりについて、祐輝さんを中心にご紹介すると…。
繁忙期のスケジュール(7~8月) |
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AM8:00 明日香さん一旦帰宅 / 子どもたちの世話 / 保育園へ送る / その後再び畑へ PM13:00 自宅に戻り昼食 / 1時間ほどお昼寝 PM14:00 再び畑で作業 PM17:00 明日香さん保育園のお迎え / 夕食の準備 / 子どもたちの世話 PM19:00 帰宅、夕食、風呂 PM21:00 就寝 |
余裕のある時期のスケジュール(1~2月) |
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AM9:00 畑で作業 PM13:00 自宅に戻り昼食 PM14:00 再び畑で作業 PM17:00 帰宅後、夕食の準備 / 子どもたちの世話 / 事務系の仕事をすることも PM23:00 就寝 |
祐輝さんに移住して一番良かったことを尋ねると、「食べ物もお酒も美味しいし、すべてがいい。ノンストレスで、自分のペースで仕事ができること。もちろんすべてが自己責任ですが、作業が落ち着く時期には、いろんなところに行って農業に関する話を聞きに行けます。それが今自分の力になっています」とのこと。「気を付けなければいけないことといえば、台風や豪雨、火山灰などの災害ですね」と阿蘇ならではの季候の特徴を挙げます。
明日香さんは、「近所の人たちが温かく見守ってくれているので、子育てもしやすいですね。子どもたちものびのびしています。たまに、『泣き声が全然聞こえないけど大丈夫!?』と逆に心配されたりします(笑)」。「忙しい時には、なかなか遊びに連れて行けませんが、農閑期には年に一度千葉の実家に帰っています。子どもたちは、関東に遊びに行けるのを楽しみにしているみたいです」。
お2人に、これから移住を考える人にメッセージをいただきました
祐輝さん
明日香さん
近年、若い人を中心に、観光がきっかけで移住を検討する人が増えているという南阿蘇。新規就農だけでなく、飲食店やペンションを始める人も少なくありません。今後村では、移住者の仕事の紹介などにも力を入れていきたいとのこと。この3月には阿蘇大橋も完成し、熊本中心部とのアクセスもさらに向上しました。まずは、心と体を癒やしに、南阿蘇を訪れてみませんか?
【お問い合わせ】
南阿蘇村役場
〒869-1404
熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字河陽1705-1
TEL:0967-67-1111
Fax:0967-67-2073
E-mail:nosei1@vill.minamiaso.lg.jp