(登場人物)
まりっち 食いしん坊が高じて、農産物の流通ベンチャー企業に入ってしまった新入社員。 |
社長 農産物の流通ベンチャー企業を経営している。悩みは最新の流行についていけないこと。 |
全員が大谷翔平にはなれない
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
※ そういう言葉があるわけではなく、本連載のための造語である。
まりっち
もちろん、二つとも高い技術を持っている農家さんもいるけど、現実問題としては、全員がそういうわけにはいかない。だから、ふつうは、販路開拓やマーケティングといった部分を地域の農協が担ってくれるわけだね。
社長
まりっち
全員が徳川家のようにはいかない
社長
まりっち
社長
まりっち
いま大名という話が出たけど、徳川家が他の大名に比べてすごかった点は、2代目、3代目と優秀な息子が続いたことだ。でも、そういうことはなかなかないよね。
社長
まりっち
これを「世襲業界の脆弱(ぜいじゃく)性」と呼ぼう(※)。この脆弱性は、農業界が避けられないものだ。プロ野球の世界では、ドラフトを通った実力のある人間だけが舞台に立つことができるけど、農業界はちょっと違った性格を持つ世界だ。
社長
※ これも本連載のための造語である。
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
「数で対抗」の本質とは?
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
この図は、ある業界の収益力、つまり儲かりやすさは5つの要素によると言っているんだ。ひとつは業界内の競争なんだけど、たとえば野菜業界だと、業界の中で競争しているプレイヤーの数はめちゃくちゃ多いよね。農家さんどうしはある意味、競合しているわけだから。
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
まりっち
社長
※ 「数で対抗」を重視すると農協の規模はおのずと大きくなっていく。実際、農協どうしの合併はかなり進んでいる。一方で、「相互扶助」の方の機能は、規模が大きすぎるとうまく機能しない。協同組合の基本的な考え方である「数で対抗」と「相互扶助」は、規模の観点では相反していて、多くの農協はその難しいバランスを問われている。
- 農協の基本的な考え方は、「数で対抗」と「相互扶助」だ。(これは前回もやった。)
- 農協が販売を代行することで、農家は栽培技術を高めることに集中できるようになるよ。
- 農協による相互扶助は、「世襲業界の脆弱性」を補完する意味もあるよ。
- 農協が農家を束ねることは、農業生産者の売り手や買い手への交渉力を高める観点から合理的なことだよ。
(参考) 前回(第1回)のまとめ。
- 農協は協同組合のひとつの形。協同組合は農協以外にもたくさんある。
- 農協は個別性、多様性がある。「農協」とひとくくりにするときは注意が必要。
- 農協のオーナーは農家だ。
- 協同組合は、One for all, all for one(ひとりはみんなのために、みんなはひとつの目的のために)が基本だよ。その意味するところは、仲間うちは「相互扶助」、外に対しては「数で対抗」だよ。
- 「数で対抗」の一例として、農産物のブランドづくりがあるよ。
【監修協力】
須藤金一(元JA東京青壮年組織協議会 委員長)