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個でなく地域で勝負 米のプロが「地域ブランド化」をすすめる理由

個でなく地域で勝負 米のプロが「地域ブランド化」をすすめる理由

最終更新日:2017年12月14日

温暖化などによる天候不順で米栽培のマニュアル化が困難になったからこそ、地域で協力体制が生まれる。若者の米離れ、TPP問題などに直面した今だからこそ、地域ブランド化で競争力が高まる。東京都目黒区の米屋、「スズノブ」の代表取締役であり、米のブランド化アドバイザーとして全国各地で活動を行っている西島豊造(にしじまとよぞう)さんにお話しをうかがいました。

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来たる平成30年、国が定めていた米の生産目標数量配分が撤廃されます。それに伴い、生産目標数量を達成した農家に配布される「米の直接支払交付金」も廃止となります。これが、米の平成30年問題、といわれ話題になっています。また、農家の高齢化やTPPなど、課題が山積みの米業界。これからの時代を迎えるにあたって、米農家はどうしていくべきなのでしょうか。

「米農家が個として頑張るのではなく、地域全体として力を入れることが必要」と語る西島さんに、その理由をうかがいました。

温暖化による天候不順でマニュアル化が困難に。だからこそ地域で協力体制を

「スズノブ」代表取締役であり、「五つ星お米マイスター」の西島さん

「ここ10年は、毎年が異常気象といってもおかしくない状況が続いているため、米栽培のマニュアルが通用しないんです。だからこそ、知恵や経験則を持ち寄って、地域みんなで協力していかなければ成り立ちません」(西島さん)。

台風や集中豪雨など自然災害のリスクも看過できません。2017年夏、九州北部の集中豪雨でも多くの米農家さんが打撃を受けました。

基本的に米作は一期作のため、壊滅的な被害を受けたら収入が得られないばかりか、投資がすべて無駄になってしまい、個人農家の場合は死活問題になってしまうこともあるそうです。

「災害で水田が使い物にならなくなることさえあります。最近は、銀行などから融資を受けて立て直そうとしても、農家さんが高齢で借りられず、そのまま廃業してしまうという話も聞きます」

そのためグループを作ったり、農協に加入したり、地域で協力していける体制を作ることが大切だといいます。

水田継承者の減少は、若者が就農しやすい状況ともいえる

米農家のほとんどは70歳以上と、高齢化が著しく進んでいます。高齢になると耕運機など機械の運転も困難になり、田んぼの継承は喫緊の課題といえます。

しかし逆に考えると、「米農家に就農したいという若者にとっては絶好のチャンス」と西島さんはいいます。最近では、農作業をやってくれる人を探しているという米農家さんが増えていて、水利権(※)なども含め、すべて貸してくれるそうです。
※水利権:河川の流水を排他的に使用できる権利のこと。

「本気で米農家になりたい人は、まず就農したい地域の市役所や農協に相談するのがおすすめです。人材を募集している農家を教えてくれますから。まずは農家の弟子に入って、学びながらやっていくのがスムーズだと思います。

個人で米農家を始めようとするのは、あまりおすすめできません。農業の中でも米は特殊で、水利権などが関わるため、どうしても地域全体でやらなければならないのです」。

また、その土地の気候や風土に合った育て方というものがあり、異常気象でベテランの農家でも苦戦している中、新規就農者が独自に稲作を行うのはなかなか難しいと言います。

「昭和の終わり頃は、個人でやることに価値があったと思います。生産者が若くて勢いがあったから、いいものがたくさんできました。しかし、彼らがみんな歳を取って後継者もいなくなり、昔のやり方はもう通じません。

1日でも早く、一人でも多く技術者を育てなくてはならないと多くの米農家が追い込まれている状況なんです。だからこそ、問題意識の高い地域は、市役所も農協も新規就農希望者にとても親切です」。

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