暑い石垣島で放牧酪農? ジャージー牛24頭で牧場を営む

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暑い石垣島で放牧酪農? ジャージー牛24頭で牧場を営む

暑い石垣島で放牧酪農? ジャージー牛24頭で牧場を営む
最終更新日:2021年05月11日

全国の農家を渡り歩いているフリーランス農家のコバマツです。今回は石垣島の酪農家の元を訪れました。
なんとこの方、九州から移住して新規就農をし、さらに日本国内では珍しいジャージー牛を、しかも放牧で育てているとか。「酪農といえば北海道!」というイメージですが、どうして南の島で、新規就農をしようと決めたのか? しかも、国内では挑戦している人が少ないジャージー牛を放牧でやろうとしたのか? 今回もいろいろ聞いていきたいと思います!

暑い石垣島で放牧酪農を行う「まぁじゅんのジャージー牧場」

「南の島で放牧でジャージー牛を育てている人がいる。しかも新規就農で」
そんなうわさを聞きつけて石垣島に来ています。

暑い石垣島で放牧を行う牧場風景

取材に訪れた日の石垣島の風景。やっぱりきれい

北海道民のコバマツからすれば「酪農といえば北海道でしょ!」という固定観念がありましたが、どうして石垣島を就農先に選んだのか。
新規就農するだけでもハードルがあるのに、どうして、わざわざ南の島で……。しかも珍しいジャージー牛を放牧というスタイルで。
牧場に直接行き、ご本人に聞いていきたいと思います!

■田中英信(たなか・ひでのぶ)さんプロフィール

まぁじゅんのジャージー牧場代表取締役。北九州市出身。東京の大学を卒業後、長野県の野菜農家で働いたのち、北海道で酪農と出会う。さらにスイスやフランスの牧場で働きながら本場のチーズ作りを学ぶうちに自分でも牧場を経営したいと思い、石垣島に移住し、放牧酪農家として新規就農。牧場経営のみならず、本場で学んだ技術を生かし、チーズやヨーグルト、アイスクリーム等の6次産業化にも挑戦している。
暑い石垣島で放牧酪農を行う 田中さんプロフ

放牧地ど真ん中でインタビュー

コバマツ

田中さん、新規就農をするために石垣島に移住してきたそうですね! しかも北九州出身だとか。どうしてわざわざ石垣島を就農先に選んだのでしょうか?
酪農といえば北海道!というイメージですが、それって誰でも思いつくじゃないですか。
誰もやっていないことをやりたいと思って石垣島を選びました。

田中さん

コバマツ

私もそう思いました、北海道民ですし。「石垣島で酪農!?」って目を引きますよね。
あとは、フランスやスイスの牧場で働きながらチーズ作りの勉強をしていた時期があって。
僕が就農を志していた20年前は、沖縄では手作りチーズはほとんど流通していなくて、「これも誰もやっていないことだ!」と思って。
牛だけではなくヤギのチーズ作りも学んでいたので、そういった挑戦もしてみたいと思ったのも石垣島を選んだきっかけですね。島にはヤギを飼う文化がありましたから。

田中さん

コバマツ

誰もやっていない!という点が石垣島を選んだ理由なんですね。
放牧酪農を行おうと思ったきっかけって何かあるのでしょうか? 全国でも15%ほどの酪農家しか実践していないと聞いたことがあります。
石垣島って和牛も盛んなので結構牧草地があるんですよ。それで、沖縄のなかでも石垣島なら放牧酪農できるかなと思い、石垣島を選びました。

田中さん

コバマツ

誰もやっていない地域であるうえに放牧に適した環境が石垣島にはあると感じたんですね! ジャージー牛にしたのはどうしてでしょうか? ホルスタインに比べて乳量が少ないので、酪農経営を行う上では少し不利になってしまうのでは?と思うのですが。
最初はヤギで放牧酪農を行おうと考えていたのですが、ある日、知人からジャージー牛を預かる期間があって。面倒を見ているうちにジャージー牛に愛着が湧いたんですよね。
ホルスタインより小さくて、なんといっても
かわいいからですね!

田中さん

暑い石垣島で放牧酪農を行う ジャージ―2頭

ジャージーの子牛たち

暑い石垣島で放牧酪農 ジャージー仔牛正面

うん、確かにかわいい

コバマツ

たしかにー! めっちゃかわいい! 毎日面倒を見る牛たち、かわいい方がいいですもんね!
暑い石垣島で放牧酪農を行う コバマツ牛なでる

おとなしくていい子の牛ちゃん

石垣島に移住してきた田中さんのこれまで

「誰も挑戦しなそうな沖縄で就農したかった」
「ジャージー牛がかわいい」
なんとも明解な理由で石垣島で新規就農を決めた田中さん。就農までの道のりを聞いてみたいと思います。

コバマツ

田中さん、石垣島に来る前まではどのようなことをしていたんですか?
東京の大学を卒業後、「自分で食べ物を作る仕事をしたい」と思い、最初は長野の野菜農家で働いていました。

田中さん

コバマツ

最初は野菜農家から始まったんですね! そこからどうして酪農の道へ進もうと決めたのでしょうか?
野菜農家だと冬場に仕事がなくなってしまうので、酪農なら年間通して働けるだろうと思い、最初は北海道の大規模農場で働きました。100頭を2人で面倒を見る。そんな農場で最初働いていました。

田中さん

コバマツ

最初は北海道からだったんですね。ザ・北海道の酪農スタイルという大規模経営の牧場で、今の田中さんの営農スタイルと全然違いますね。
そこで、大規模の牧場経営に疑問を持ったんです。
頭数が多すぎて牛たちに目が行き届かず、牛の異変に気づいてあげられないことが多くあって。
あと、2人で100頭の牛の面倒を見るって心身共にきつかったですね。
その経験もあり、自分がやるんだったら「自分が目の行き届く範囲の頭数で。牛も人間も健康で幸せになるような農場形態をやりたい」そう思いましたね。

田中さん

石垣島に移住していきて 伊藤さんと牛

現在は24頭のジャージー牛を放牧で飼っている田中さん

石垣島に移住していきて牛 ご飯中

牛たちにはそれぞれ名前がついており、愛着を持って一頭一頭と向き合えるとのこと

コバマツ

大規模酪農を経験したからこそ、小規模でも牛も人も健康で幸せになれる牧場を作りたいという思いが芽生えていったんですね!
それから、知り合いの紹介でスイスとフランスの牧場で働きながらチーズ作りの勉強もしましたね。そこでますます自分の牧場を立ち上げて、自分で育てた牛の乳で加工品を作ってみたいという思いが強まっていきました。

田中さん

コバマツ

そうだ! 海外でも酪農と加工品作りに挑戦していたんですよね!
日本に帰ってきてしばらくしてから、石垣島に移住し、島にある牧場で3年ほど働きながら自分が就農できそうな土地を探しました。最初は全然土地が見つからず、紆余(うよ)曲折の末に今こうして自分がやりたかった酪農をすることができています。

田中さん

コバマツ

食べ物を作る仕事をしたいと思い、野菜農家から酪農の道へ、さらにヨーロッパにチーズ作りの勉強に行き、石垣島で放牧酪農家として新規就農する。他の人にはなかなかまねできないことですね。

牛と共に生きる

コバマツ

石垣島で放牧酪農をやっている価値を伝えていくために、何か取り組んでいることや今後やっていきたいと考えていることなどありますか?
うちは、自分の牧場で搾った牛乳で、チーズやヨーグルト、アイスクリーム等の加工品を作って販売しています。

田中さん

牛と共に生きる まーじゅんの商品達

まぁじゅんのジャージー牧場の加工品たち。クリームチーズ、モッツァレラチーズ、ヨーグルトなど

牛と共に生きる フローズンヨーグルト

フローズンヨーグルト

牛と共に生きる チーズケーキ

ベイクドチーズケーキ

コバマツ

どれもあのかわいらしいジャージー牛からとれた牛乳で作ったと考えたら、もうおいしそう。
しかも、チーズは、田中さんがヨーロッパで学んできた製法で作ったんですよね!
そうです。チーズも僕が手作りしています。

田中さん

牛と共に生きる モッツァレラチーズ詰める

田中さんお手製のモッツァレラチーズ

牛と共に生きる モッツァレラチーズ

ジャージー牛のモッツァレラチーズ、コバマツは初めて見ました

コバマツ

ちなみにこのとってもおいしそうな加工品たちはどこに行ったら食べることができるのでしょうか?
まぁじゅんのジャージー牧場のオンラインショップからはもちろん、牧場の近くにある直売所でも購入していただくことができます。その他、ファーマーズマーケットや、島内のレストランでも多数取り扱っていただいています。

田中さん

牛と共に 生きる直売所

牧場すぐそばの直売所。牛と海を眺めながら食べるアイスは絶品です

新型コロナウイルスの影響で、石垣島市内でも営業していた直売所は当面の間は閉店しているそうです。早く収束し、また、多くのお客様に自分たちの乳製品をお届けしたいと話す田中さん。

コバマツ

自分が理想とする牧場のスタイルを築きあげてきたわけですが、今後の目標などありますか?
この牧場に多くの人に足を運んでもらって、牛がどのような場所で育てられているかを知ってもらいたいですね。のびのびと豊かな環境で育っているジャージー牛たちを見てもらって、この牧場の価値を伝えることができればと思っています。

田中さん

コバマツ

どんな場所で食べ物が生産されているのかって、生産者にとっては商品の価値を知ってもらうためにはもちろん必要なことですが、消費者にとっても食べ物がどのような環境で作られているかはなかなか知る機会がないので貴重なことですよね。

今後の目標 伊藤さんラストショット

食べ物を作る仕事がしたいと思い、野菜作りから酪農の道へと進んだ田中さん。自分が理想とする牧場を作るために新規就農の土地として選んだ地域は、まさかの石垣島でした。酪農といえば北海道というイメージでしたが、ここ石垣島で行われている放牧酪農には、北海道では生み出せない味と、石垣島の海や山に囲まれてのびのびと育つ牛たちの姿がありました。

牛も働いている人も、そして食べる人も健康で幸せになる牧場が石垣島にあります。

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