6月から9月ごろまでの天気の傾向
毎年ぼくたち農家の頭を悩ませるのが、梅雨から残暑くらいまでの気候。例えば梅雨が長ければ日照不足に悩まされ、短くても降水量が足りず、野菜の育成に影響が出てしまいます。
昨年はまさに長梅雨で、ぼくも随分と苦しめられた記憶がまだ新しいです。今年はどのような空模様となっていくのか、株式会社ウェザーニューズの広報担当、中村好江(なかむら・よしえ)さんに聞きました。
今年の夏の気温
屋外で作業をすることがほとんどである農家にとって、気温の問題は命に関わる重大な事項です。
最近では空調ウエアなどの体を守るための装備が流通しつつありますが、気温が高すぎる場合はあまり効力を得ることができません。
一方で、冷夏になってしまうと、体にとって優しくても野菜栽培という面では厳しい季節になってしまいます。
まずは最も気になる暑さについて、中村さんに聞いてみました。
今年の夏は暑くなる?
──今年の夏はどのような気温になるのでしょうか?
今年はラニーニャ現象が春のうちに衰退してきているので、夏への影響はないと考えています。そのため、6月から9月の間、国内ほとんどすべての地域で気温は平年並みか、平年よりやや高くなる予想です。
気温が高くなる時期は?
──特に暑くなる時期などはありますか?
多くの地域で梅雨明けとともに気温が高くなり、夏本番となる所が多くなりそうです。8月に入ると太平洋高気圧が強まり、中旬頃には猛暑日を迎える可能性もあります。また、チベット高気圧と太平洋高気圧が重なって暑さが厳しくなる日もある見込みで、9月頃まで残暑が続きそうです。
気になる日照量は?
──昨年は長梅雨で日照量が足りず、影響を受けた農家も多かったのですが、今年の日照はどうでしょうか?
今年は梅雨明けが例年より早くなる所が多く、7月の日照量が例年よりも多くなりそうです。
8月と9月の日照量は平年並みで推移するでしょう。
台風には例年同様に注意しよう
どうやら今年の夏は例年通りの暑い夏となりそうです。
例年通りの夏ならば、気になるのは台風や突発的な豪雨。去年は台風の少ない年でしたが、今年はどうなるのでしょうか? 作物に影響を与える台風、そして雨についても、中村さんに詳しく聞きました。
台風が日本に近づく時期は?
──今年はどれくらい台風が来るのでしょうか。また、いつ頃台風に注意すべきか教えてください。
昨年は台風の発生場所が、南シナ海やフィリピン近海など例年よりも西側が多く、日本にあまり台風が接近しませんでした。
しかし今年は平年同様フィリピンの東海上で発生しやすく、8月から9月を中心に日本へ接近・上陸しやすくなる可能性がありそうです。
降雨量はどれくらい?
──昨年は長雨が続いて降雨量が多かったと記憶していますが、今年はどうなるのでしょうか?
降雨量は全国的に平年並みですが、地域によって傾向が変わります。
沖縄・奄美地方では梅雨前線の活動が弱く、空梅雨となる可能性がありそうです。
一方で6月下旬から7月初めにかけて、西日本を中心に大雨になる恐れがあり、注意が必要です!
地域別の天気見解
2021年の夏は全国的に気温、降水量、台風ともに平年並みとのことですが、地域によって傾向が異なるため、さらに詳しく中村さんがまとめてくれました。お住まいの地域をチェックしてみてください!
北日本
天気見解 | |
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6月 | 北海道の天気は、晴れの日が続く時期と、低気圧や前線の影響で空模様がぐずつく日が周期的に変化します。 東北地方は、月初めは数日周期で天気が変化しますが、中旬には各地で梅雨入りの見込み。その後はスッキリしない天気が続きそうです。 |
7月 | 北海道はどんよりした日が多くなりそうです。東北地方では7月の後半になると梅雨が明け、夏の到来となります。 |
8月 | 晴れる日が多くなりそうですが、ぐずつく日もあります。気温は北海道で平年並み、東北地方は平年よりやや高くなりますが、涼しくなる時期もあるでしょう。 |
9月 | 北海道は月初めのうちは天気が安定しない見込みです。 東北地方も上旬は天気の良くない時期が続きますが、中旬にかけて残暑が厳しい時期がありそうです。 |
東日本
天気見解 | |
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6月 | 上旬に梅雨入りとなります。下旬になると大雨の恐れがあり警戒が必要です。 |
7月 | 日差しの強い日もありますが、にわか雨や雷雨の日がありそうです。梅雨明けは後半になり、夏本番となるでしょう。 |
8月 | 晴れる日が多く、気温も平年より高くなる予想です。しかし前線や寒気の影響で雷雨になる日もあり、気温が下がってしまう時期もありそうです。 |
9月 | 中旬にかけて残暑が厳しい時期があり、気温も平年より高い予報です。下旬は天気が崩れる時期もあるでしょう。 |
西日本
天気見解 | |
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6月 | 下旬になると梅雨前線が活発化するため、大雨などに注意しましょう。 |
7月 | 梅雨明けは、九州南部は上旬、九州北部、四国、中国、近畿地方は中旬になる見込みです。その後は夏の日差しが降り注ぐようになるでしょう。 |
8月 | 晴れの日が続く予想ですが、曇りや雷を伴った雨になる日もありそうです。 |
9月 | 中旬にかけて残暑が厳しくなります。下旬になると天気がぐずつくようになるでしょう。 |
南西諸島
天気見解 | |
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6月 | 強い雨が降る日はあるものの、全体的な降水量は少なくなる可能性があります。 |
7月 | 晴れやすい時期と、台風の影響を受けやすい時期があるでしょう。 |
8月 | 晴れる日が多いものの、曇りや雷雨になる日もありそうです。台風の影響を受ける恐れもあります。 |
9月 | 晴れる日が多いですが、台風により荒れることもあります。 |
ソラテナで毎分天気観測!
中村さんによると、天気というのは1分ごとにデータが変わるような、とても繊細なものだそうです。
「そこまで細かくチェックするのは厳しい!」と思いましたが、代わりに自動で観測をしてくれるソラテナという高性能気象IoTセンサーがあるそうです。
こちらは1分単位でピンポイントに気温や風速、湿度など8つの要素を観測してくれるセンサーで、ウェザーニューズから販売されています。
実際に農業に取り込んでいる農家さんもいるみたいなので、気になった人はチェックしてみてくださいね。
https://wxtech.weathernews.com/soratena.html
おわりに
今年の夏は例年通りの蒸し暑い日本の夏になるようです。しっかりと暑さ対策や台風対策をして、夏を乗り越えましょう!
※ 情報は2021年5月20日時点のものです。