営業マンから心機一転、就農10か月の野村さん。農業の基礎的な知識と考え方を身に着けたい
茨城県西部に位置する坂東市。見渡す限りの平野が広がり、農業が盛んなエリアです。生産量全国トップクラスのレタス、ネギをはじめ、白菜、猿島茶など様々な作物が首都圏へ出荷されています。
この地域で就農して10か月になる野村康平さんは、もともと東京で勤めていた会社員。
仕事は忙しく、終電を逃して漫画喫茶に泊まることもあったということで「ゴリゴリの営業マンでした」と苦笑します。
実家の米農家を継がず会社員になりましたが、妻の実家のレタス畑に感動したことなどをきっかけに、一転農家の道へ。2021年2月、レタスおよそ4ha、ネギおよそ2.8haの義父の圃場で就農しました。
農家になってからの生活については、「精神的な疲労が蓄積していた会社員時代とは違い、いつも次の日の仕事が楽しみです」と笑顔で話していました。
農業については、日々義父やJAから教わりながら、勉強する日々を送っています。
たとえば、農薬について。重要性は分かっていても、当初はなんとなく“あまり良くないものでは”と思っていました。
しかし、実際に生業として取り組んでいくと、病害虫や雑草などさまざまな問題に直面します。商品として出荷する以上、そのままにはしておけません。作物を保護するという観点で農薬を使用しなければならないことは身をもって実感しましたが、体系的に学んだことがなかったため、紹介されたものを言われるがまま使っている状態にジレンマがあると言います。
「いずれは、何をいつどれくらい使うべきなのか柔軟な判断ができるよう、基礎となる知識を身に付ける必要があると感じています」。
地域農業にも貢献する研究熱心な女性農業士・藤井さん
野村さんの義父母と同級生で、同じ坂東市内でベテラン農家として活躍するのが藤井和美さんです。
もともとはメーカーの品質管理部門で働く会社員でしたが、農家をしていた夫の実家を手伝うようになり、29歳で農業の道へ。現在はレタスおよそ3ha、ネギおよそ2ha、水稲およそ4haを軸に、ブロッコリーやカリフラワーなどさまざまな作物の生産にも取り組んでいます。
野村さんと同じく、会社員を経て農家の道を歩んだ藤井さん。専業農家になる上で重要なことは「持続していけるか否か」だと言います。ただ美味しい作物をつくれば良いわけではなく、一定の数量と均一性を実現し持続して生産できなければ、生業にはなりえませんし、市場に安定して供給することもできません。だからこそ、病害虫や雑草の状況に応じて適切に農薬を使用していくことが大切だと言います。
作物を保護するため常に最新の知識を得ようと、メーカーの研修を受けたり、定期的にメルマガを購読したりしているという藤井さん。県の女性農業士としても認定されました。学んだことは県内の他の農家とも共有しあい、地域全体で学びあっているそうです。
「農薬はどんどん新しくなり、農業はどんどん難しくなっています。地域のためにも常に新しく正しい知識をインプットしていきたいです」。
そんな藤井さんが知識を取り入れるために活用しているひとつが、クロップライフジャパンです。「最近は高温になる年が続いていて、作物保護に関して例年の経験が通用しなくなっています。今後さらに正確な情報が必要となってくるからこそ、信頼できる情報源はなくてはならない存在ですね」。
生産者、そして消費者に安全と安心を。非営利団体・クロップライフジャパン
クロップライフジャパンは、安全で持続可能な農産物の生産のために活動している非営利団体です。農薬を売ることを推進していると誤解されがちですが、実際は、作物を保護しながら生産するためのさまざまなソリューションの提供を目指しています。
クロップライフジャパンの廣岡卓さんは、「私たちが目指しているのは、生産者とメーカー、そして消費者を正しい情報を介してつなぎ、よりよいソリューションを提案すること。そして農業を持続可能な産業として発展させる一助となることです」と話しています。
なんとなく「農薬は悪」と考えがちですが、日本で流通している農薬は、各メーカーが実験と検証を繰り返し国の厳しい審査をクリアしたもの。作物保護においてはとても頼もしい存在です。
そのほかにも、たとえば過去はすべて人力で行っていた草刈りのような農作業が、適切に農薬を用いることによって作業が軽減され、生産者の負担減に一役買った側面もあります。
農薬は、農家と日本の食卓を守るために必要なソリューションのひとつなのです。
それでも農薬って良くないって聞くけど?素朴な疑問はクロップライフジャパンへ!
このような作物保護に関する考え方は、クロップライフジャパンのHPで学ぶことができます。
HPではそのほかにも、食に関する柔らかな切り口のコラムや産地の情報、生産者や消費者向けのQ&Aコーナーなどがあります。Q&Aの充実ぶりは類を見ないほどで、たとえば「散布液は作り置きしてよいですか。」という生産者目線の質問から、「農薬は結局のところ毒なのだから、やはり危険ではないでしょうか。」といった素朴な疑問まで、公的機関のデータや論文をもとにフラットな目線で丁寧にお答えしています。
クロップライフジャパンのHPを知らなかったという野村さんは、「疑問があったとき、すぐに解決するには義父に尋ねるしか選択肢がありませんでした。判断の基準となる考え方の根幹が分かるので、こういった情報源があると柔軟に活用できて心強いですね」と話していました。
一方で、クロップライフジャパンの廣岡さんは昨今飛び交うさまざまな情報に頭を悩ませています。
「IT化が進み、情報の発信も入手も容易になりました。農業も例外ではなく、内容の公平さや正しさが吟味されず情報が流布することに危機感を覚えています。手軽さや分かりやすさだけで判断することなく、科学的データに基づく信頼できる情報を探してほしいです」。
クロップライフジャパンのHPでは、より分かりやすく、いっそう親しんでもらえるよう、リニューアルも計画しているそうです。
「皆さんの悩みや疑問に幅広く答えられるよう、内容を拡充していきます。質問はHPからお問い合わせいただけたら、お答えします」と廣岡さん。
また生産者の方々には、『日本の、食の安全と、安心のために。』というリーフレットを無料で配布しています。この中では、クロップライフジャパンが生産者のために提供しているテキストや動画、リーフレットなどを紹介していて、さらに頼られる存在となることを目指しています。
あなたは農薬にどんなイメージがありますか。
もし何か疑問や気になることがあるなら、クロップライフジャパンがきっと答えてくれるはずです。
HPを見ながら、持続可能な農業と作物保護について考えてみませんか。
お問い合わせ
クロップライフジャパン
東京都中央区日本橋茅場町2丁目3-6 茅場町偕成ビル