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全国の直売所で実施中!今こそ農薬やマスクの正しい使い方を学びましょう JCPAの講師派遣

全国の直売所で実施中!今こそ農薬やマスクの正しい使い方を学びましょう JCPAの講師派遣

高温多湿のアジアモンスーン型の気候区分に属する日本において、農業は雑草や病害虫との戦いだといわれます。被害から農作物を保護するため農薬の果たす役割は大きいものの、安全性に対する正しい理解と実践が求められます。農薬の適正使用を推進するためのさまざまな活動を行っているのが、JCPA(Japan Crop Protection Association)農薬工業会。その活動のひとつである講師派遣事業について、愛媛県今治市で開催された生産者セミナーを例にご紹介します。

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農薬の正しい使い方、実は国で定められています。うっかりミスが一大事になることも!

「農薬のラベルに書いてある希釈倍率、効果を高めるために、ちょっと濃い目にしてもいいかな?」
「うちは畑の面積が小さくてすぐ散布し終わるから、マスクしなくても大丈夫かな?」

作物に農薬を使う際、疑問点があっても、つい自分の判断でよしとしてしまうことはないでしょうか。畑の作物を保護してくれる農薬ですが、使い方を誤ると、生産者にも消費者にも大きな影響が出る可能性があります。
食の安全意識への高まりとともに、農薬取締法などの法律も改正され、更なる農薬の正しい使い方が求められています。

作物保護の役割と農薬の安全性について正しい知識を普及するとともに、農薬の適正使用を推進するための活動を行っているのが、非営利団体のJCPA。その活動のひとつが、2006年から始めた講師派遣事業です。全国各地の行政機関や団体に専門講師を派遣し、農薬の適正使用を目的とした講演会や研修会を行うというもの。
その一環が、直売所などに出荷する就農者向けに行う生産者セミナーです。

2022年8月に、愛媛県今治市のJAおちいまばり直売所「さいさいきて屋」で行われた「農薬とマスクのセミナー」には、直売所に野菜や果樹を出荷する生産者の方々が参加しました。

まずは、農薬の正しい使い方についての講演。2020年に、ある生産者が春菊を栽培する際に別の野菜用の農薬を使ってしまったことで、結果的に残留基準値の180倍もの数値が検出され、出荷済みの作物の回収だけでなく、風評被害も発生したという例が挙げられました。

うっかりミスでも大きな影響が出てしまうこと、自分だけでなく同じ産地の仲間にまで迷惑をかけてしまうこと。だからこそ、一人ひとりの農薬使用者が責任を強く認識してほしいという内容でした。

さらに強調されたのは、「記帳」の大切さ。農薬使用の内容を自分がしっかり管理するためにも、万が一基準値超えの作物が見つかった場合の速やかな原因究明のためにも、どんな作物に、どんな農薬を、いつ、どのくらい使用したのかを詳細に記帳することが重要だという話に、参加者の皆さんは真剣に耳を傾けていました。

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リーフレット「しっかり記帳できちんと管理!」((公社)緑の安全推進協会・JCPA農薬工業会)


そのほかのリーフレットはこちら

日本の食の安全は、生産者自身の安全から。マスクの着け方 、改めて確認しましょう!

続いては、マスクの正しい着け方 の講義です。実は、令和になった今も、農薬使用時の事故はゼロではありません。保護具の不備が原因の場合もあるため、生産者自身の身を守るために、きちんとマスクを着けることが大切になります。

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JCPA農薬工業会 安全対策委員会 乾公正委員長

農薬に触れた時の皮膚からの吸収量を1とすると、吸い込んだ場合はその30倍にもなるとのこと。さらに、一般的なマスクではなく、国家検定合格の農薬用マスクや防護マスクを着用すれば、ほぼ100%の農薬を除去できるとの話がされました。その後、実際に農薬用マスクを使ったデモンストレーションもあり、顔面に密着して空気が漏れない着け方 がレクチャーされました。

また、農薬の保管や管理不良による事故も多いといいます。たとえば、使用後の散布器具を洗浄する際にホースを洗い忘れたことで、次回使用時に予定外の農薬を散布してしまったり、残った農薬をペットボトルなどに移し替えたことで、家族が誤って飲んでしまったりといったケース。農薬使用者の意識向上の大切さが、改めて強調されました。

セミナー終了後、参加者の高尾誠司さんと越智ゆかりさんに話を聞いてみました。2人とも、少量多品種の野菜栽培を行っているとのこと。
まずは、これまでの農薬の使い方や、今回のセミナー参加理由を伺いました。

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直売所で幅広い作物を販売する生産者の高尾誠司さん(左)と越智ゆかりさん(右)

「農薬を正しく使用しなければいけないという意識はありましたが、農業の先輩である父にアドバイスしてもらったり、カンや経験を重視したりと、自分なりのやり方でこれまでやってきました。とはいえ、やはり正確で安全な使い方が知りたいと思って参加しました」と高尾さん。

「私も今まで祖父母のアバウトな方法を継承していましたが、食の安全が重要視される昨今、ちゃんとしたやり方を確認したいと思ったのが参加理由です」と越智さん。

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講義に真剣に耳を傾ける高尾さんと越智さん

高尾さんは、「残留農薬のリスクを意識することがなぜ大切なのか、系統立てて説明していただいたので、分かりやすく頭に入ってきました」とセミナーを振り返ります。「今後は、JCPAのホームページの情報も参考にしながら、安全で品質の高い作物をつくっていきたいです。マスクも忘れがちでしたが、自分の身を守るために必要だということを実感しました」。

越智さんも「私も、農薬を扱うことが責任重大であり、違反すると仲間にも消費者の方々にも大きな迷惑がかかるということを実感しました。農薬のラベルをきちんと確認し、しっかり使用記録を残すことを肝に銘じたいと思います」と顔を引き締めます。

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農薬用マスクはあごを包むように面体を当て、下の紐を先にかけた後、上の紐を装着します

生産者として、農薬への意識が確実に変わった2人。今後も今日の学びを活かしながら、いっそうおいしい野菜を作っていきたいと、力強く語ってくれました。

全国各地の直売所で開催可能。講師派遣の依頼はお気軽に!

最後に、今回のセミナーの主催者であるJAおちいまばりの渡部帆乃香さんに、開催を決めた理由を伺いました。
渡部さんは「生産者の皆さんに栽培の記録の大切さを知っていただきたかったからです」と力を込めます。
「安全・安心な農産物を消費者の方々に届けるため、当直売所では今年度から生産者の皆さんに生産履歴記帳台帳を提出してもらうことにしました。栽培の工程で行った作業を詳細に記録してもらうもので、農薬の使用状況も含まれます。ただ面倒だと思われる方も少なくないので、この取り組みの大切さを分かっていただくにはどうしたらいいかと考えていた時にセミナーのことを知り、“これだ!”と思いました」。

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JAおちいまばり 渡部帆乃香さん

JAおちいまばりがメール配信でセミナー開催の告知をしたところ、幅広い年代の生産者が38名集まりました。セミナー後のアンケートからは、「今まで農薬のことをあまり意識していなかったけど、責任の大きさが分かった」「今後は食の安全の一端を担うつもりで取り組みたい」など好意的な声が多く寄せられたと、渡部さんは嬉しそうに語ります。
「記帳は確かに面倒かもしれませんが、『何のためにするのか』を考えた時、ご自身の安全のためでもあり、食べてもらう人の安全・安心のためでもあると実感できれば、前向きに取り組んでいただけるのではないかと思います。今後も、こうしたセミナーを継続的に開催していきたいです」。

今回のセミナーのような講師派遣事業を、全国各地で行っているJCPA。農薬の適正使用の講座を直売所など希望の場所に出張して行う生産者セミナーのほか、全国の都道府県や市町村の行政機関、JA、各種団体での講演会、研修会、勉強会に講師を派遣しています。「住宅地における農薬使用」「家庭菜園で使う農薬」「殺虫剤・殺菌剤の基礎と有効利用」など、農薬に関するさまざまなテーマでの開催が可能です。

農業関係者の皆さんは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【取材協力】

JAおちいまばり
さいさいきて屋

【お問い合わせ先】

JCPA農薬工業会
東京都中央区日本橋茅場町2丁目3-6 宗和ビル

JCPA農薬工業会のHPはこちら

公益社団法人 緑の安全推進協会
東京都千代田区内神田3丁目3-4

緑の安全推進協会のHPはこちら

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