水管理の労働時間を約80%、用水量も約50%削減
株式会社クボタケミックスの『ほ場水管理システム WATARAS(ワタラス)』は、水田の水管理をスマートフォンやPCでモニタリングしながら遠隔操作したり、自動で給水や排水を制御するシステムだ。
国家プロジェクトである「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」によって農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)が中心となって開発。農研機構の実証ほ場では、このシステムを活用することで水管理にかかる労働時間を約80%削減でき、出穂から収穫までの用水量も約50%削減できるという結果 ※ を出すなど、水管理の省力化と高度化を両立させるシステムだ。
※農研機構プレスリリースより[(研究成果)田んぼの水管理をICTで遠隔操作・自動制御]
『WATARAS』は「電動アクチュエータ」・「水位水温計」・「通信中継機」の主に3つの機器で構成される。「電動アクチュエータ」には給水側と排水側があり、モーター制御でバルブやゲートの開閉を行う。既設のバルブに取り付けられる他、開水路や落水桝にも設置が可能だ。また、太陽電池と内蔵バッテリーを搭載しているので、電源を気にせずに導入が可能な点もよく考えられている。
「水位水温計」で計測したデータは、連結された「電動アクチュエータ」から「通信中継機」を経由してクラウドサーバに送信。端末でデータを確認し、給水や排水の指示を送れば、給水バルブや排水口が作動する仕組みだ。タイマー機能も備わっているので、早朝や夜間の作業もあらかじめ設定ができる。また、管理データを活用することで、経験と勘に頼らない営農計画が立てられるのもメリットだ。
『WATARAS』は日本の米作りを変えるシステムだ
兵庫県加西市にある農事組合法人あぐりーど玉野では、「電動アクチュエータ」を給水側に26台、排水側に1台導入している。
「『WATARAS』を導入して3期目に入りますが、毎年10台ずつ増やして将来的には124枚全てのほ場に設置したいと考えています。このシステムの最大のメリットは“収量をアップできる”ということです。私自身も驚いたのですが、適期にしっかりと水管理ができることで、1反あたり120 kg~140kgの収量アップが図れ、ほ場あたり12万円~13万円の収益増につながっています。費用対効果は非常に高いですね。兼業農家の方は農業外の仕事も忙しいので、水管理が遅れがちでしたが、その問題もクリアになりました」と話すのは理事の高井さんだ。
更に高井さんは、『WATARAS』は日本の米作りを変える画期的なシステムだと評価し、次のように語った。「『WATARAS』を導入したほ場は全て、乾田直播へ切り替えています。水位を安定して保てるので雑草が抑制でき、従来の米作りより作業工程や人件費を大幅にカットすることが可能になるんです。もちろん、自動で水管理ができるので、朝の代かき時に水が十分に入っておらず、作業が遅れることもありません。計画通りに作業ができるので、休みが取れない、儲からないといった農業のネガティブな要素を取り除くことができます。『WATARAS』の管理データも、同じ品種を作っている生産者などに提供すれば、経験の浅い方でも安定した収益を得ることが可能です」。
高齢化や担い手不足が課題の日本の農業界にとって、米作りの水管理は大きな課題だ。担い手農家にほ場が集積されても適期にうまく水管理ができず、その結果収量が落ち、儲けも上がらない…という負のサイクルも。それらを断ち切ることができるカギは『WATARAS』にあるのではないだろうか。
Check!
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農事組合法人あぐりーど玉野の高井さんのインタビューもこちらでご覧いただけます!
[商品名]
ほ場水管理システム WATARAS(ワタラス)
・通信集約(LoRa)型
※直接通信(LTE-M)型についてはお問い合わせください
[価格]
電動アクチュエータ 給水側・排水側 各132000円(税込)、水位水温計 33000円(税込)、通信中継機 330000円(税込)、システム使用料※ 年間8000円(税込)
※通信中継機1台あたりの費用
[問い合わせ先]
株式会社クボタケミックス
https://www.kubota-chemix.co.jp/
〒104-8307東京都中央区京橋二丁目1番3号 京橋トラストタワー
TEL 03-3245-3085
E-mail kc_g.wataras.info@kubota.com