温泉、アウトドアにウィンタースポーツ!東京から約1時間・大自然の世界へようこそ
みなかみ町は、群馬県の最も北に位置する町。総面積は約781k㎡と、東京23区よりも広い面積を誇りながら、人口は18000人ほど(※1)。その多くは雄大な自然が占めています。この大自然と人が共に息づく環境こそが、みなかみ町の特徴です。
みなかみ町は、大きく3つのエリアに分かれます。
まずは、利根川源流に位置し、森と山、川といった豊かな自然を満喫できる「水上エリア」。また「新治エリア」は、三国街道沿いに栄えており、街道町と懐かしい農村風景が楽しめる歴史的なエリア。そして、みなかみ町で最も多くの人が暮らしているのが「月夜野エリア」です。利根川だけでなく温泉も豊富に湧く「関東の水瓶」と呼ばれる恵まれた大地を、谷川岳や三国山といった名山が囲みます。
このように自然豊かで美しいみなかみ町は、2017年6月14日にユネスコエコパーク(※2)に認定されました。
夏はキャンプなどのアウトドア、冬はスノーボードなどのスノーレジャーが近場で満喫でき、毎日温泉を楽しむことができる自然豊かな環境ながら、実は交通の便も抜群。町内には上越新幹線の「上毛高原駅」があり、また関越自動車道と北関東自動車道もあるため、東京まで最短で60分で行けます。近年では、このような暮らしやすい環境に憧れて移住する人も多いそうです。
※1 2020年12月1日現在
※2 ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)は、豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域です。(認定地域数:131か国727地域。うち国内は10地域/2021年9月現在) 文部科学省より
「自然とともに、自分らしく生きる」 農水省から農家への転身
現在このみなかみ町で活躍する生産者のひとりが、武浩之(たけ・ひろゆき)さんです。首都圏で9年半、農林水産省に勤務した後、故郷である群馬県で農業をするために2014年にUターン移住。現在、7ヘクタールの畑で枝豆とブロッコリーを主に生産しています。
ことしで創立8年目を迎え、年間約3000万円の売上を誇る武さんのつばさファーム。「次は法人化。安心して働け、人を育てられる環境を作るのが目標」と話す武さんは「農場がメインで稼働するのは夏です。みなかみ町は雪深いので、冬に農作業をしている所は少ないんです。うちも冬は次のことを考え、仕込みをする準備期間。冬期は、スノボなどスノーレジャーが盛んな土地なので、そこでアルバイトをする人もいれば、腕を磨いてプロ並みになっている人もいますよ」と町での暮らしを教えてくれました。
首都圏での満員電車に揺られ、仕事に忙殺される毎日と違い、とても落ち着いた時間の中で自分らしい毎日を過ごせているそうです。
「幼い頃から祖父の家庭菜園を手伝っていて、農業に楽しさや魅力を感じていました。父が市場で働いていたこともあり、身近な産業だったことも理由かもしれません。自然や生き物が大好きで、いつかは農業をと考えていました」。
武さんが就農を決意したのは29歳の時。農水省の仕事を通し、補助制度などの知識は得ていた一方、農業の厳しさも見ていた武さんは、まず、農産物の販売から肥料の開発、就農者への研修など様々な事業を手掛ける「株式会社野菜くらぶ」で研鑽を積むことにします。
「野菜の栽培についてしっかり教えてもらいました。農場を持ってからは、野菜くらぶが売り先になってくれ、収穫した野菜は全量買ってくれるので助かりました」。
しかし就農してからは順風満帆な就農ライフだったわけではなく、最初の数年は、天候に左右されうまく育たない、売上が上がらないなど、想定以上の苦労があったそうです。
「実は就農に一番反対していたのが、市場で働いていた父でした。苦労する農家を見ていたから『素人にできるものか』と何度も言われました。実際その言葉通りで、農業は甘くありませんでした。常に考え、勉強し続けないといけない。目標をしっかり立て、そこに向かって強い意志で行動するとともに、状況に合わせて判断する力も必要です。自分の会社を作って経営をするのと同じなんです。経営者としての目線と覚悟がないと農業はうまくいきません」。
農水省での経験をもとに、野菜くらぶで修行することで、覚悟と経営者としての手腕を身につけられたという武さん。いまではお父さんも応援しているとのことですが、そこまでには国の制度や役場のサポートも大きな力になったそうです。
「補助や融資は様々なものを利用しています。相談すれば役場の方が快く協力してくださるので、とても助けられていますね。また、特定の品種に詳しい生産者さんを紹介していただいたりもしています」と、就農や移住を後押しするみなかみ町の環境にも助けられたと話してくれました。
最後にこれから就農を考える方へのメッセージをお願いすると、「農業は楽ではありません。厳しいようだけど、迷っているくらいならやめた方がいいです。覚悟がなければ続けられず、成果も出せない。でも覚悟と意欲がある人なら、背中を押したいし、全力で応援したいです。自分が作った野菜を喜んで食べてくれる人がいる、そのやりがいは、本当に大きいですから」と力強く話してくれました。
本気の気持ちに応えたい あなたらしい人生をサポートします
「武さんが話すように、専業で農家をするには相応の覚悟が必要です。その点は役場でも面談などを通して何度も確認します」と話すのは、みなかみ町役場 農林課 農政係の篠田朗(しのだ・あきら)さん。
「農業に就くということは、農場を経営する経営者になると言うこと。数年先までの明確な事業計画が立っていないと始まりません。そこには、資金繰りや売上げの目標、そのための販路開拓の施策などが必要です。役場ではその事業計画を立てるサポートや、それを使って補助金や助成金に申請するお手伝いをしています」。
就農の形は人それぞれ。だからこそより多くの就農希望者が地に足をつけた経営をできるよう、多様な選択肢を紹介しているとのこと。
例えば、武さんの野菜くらぶのように研修や販路開拓ができるグループを紹介したり、生産者さんとの縁をつないだり、みなかみ町にある空き家バンクを活用して住まいを紹介したり。
「いきなり農業一本というのではなく、例えば平日は会社で働き、週末に農園で作業して経験を積んでいくのも手ですね。みなかみ町は、首都圏などへの交通の便が優れています。町の制度には新幹線通勤費補助金や家賃補助もあります。現在はサテライトオフィスやテレワークができる施設も増やしているので、それらを利用していただき、都市部での仕事を続けながら、徐々にみなかみ町での就農を進めていくという方法も採れるんです」と篠田さんは話します。
「私たちが目指すのは、みなかみ町に人を呼び、共にこの自然を守っていくこと。そのためのサポートは惜しみません。もし興味がある、意志があるという方は、気軽に町役場に相談に来てください。あなたのお話を聞き、みなかみ町での暮らしを紹介する中で、最適な方法を提案させていただきます」。
町では、武さんのような先輩農家のもと、農業技術を習得しながら栽培から販売までの就農体験を目的とする農地提供の制度を計画しているそうです。
就農・移住や各種制度などについてはお気軽にご相談ください
就農したいがどこでしようか迷っている、販路も確保しながらしっかりとその土地で生活していきたい、など、新規就農を考える人が持つお悩みはさまざまです。
少しでも興味のある方は、まずはみなかみ町役場に相談してみませんか。誰よりも町の魅力を知り、町を愛する町役場と、農業へのひたむきなまなざしを持つ武さんがきっと力になってくれます。
取材協力
つばさファーム
武浩之さん
お問い合わせ先
みなかみ町 農林課 農政係
住所:〒379-1393 群馬県利根郡みなかみ町後閑318
電話: 0278-25-5015