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チャレンジングな農家の家系を継ぐ 農作物品質向上の工夫や相乗効果を狙った販売方法とは

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

チャレンジングな農家の家系を継ぐ 農作物品質向上の工夫や相乗効果を狙った販売方法とは

代々続く農家を継いだ人にとって何をつくるかは、新規就農者とはまた違った重い意味を持つ。親と同じものをつくり、量や質の向上に努めるのが選択肢の一つ。一方で時代の変化に合わせ、新たな作物に挑戦するやり方もある。後者の道を選んだ高田和直(たかだ・かずなお)さんにインタビューした。

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祖父は養豚、父はみその製造に挑戦

高田さんが社長を務める農業法人、高田農園(新潟県新発田市)は22ヘクタールの田んぼでコシヒカリをつくり、その一部を原料にしてみそを製造している。最近は野菜にも力を入れ、ホウレンソウなどを育てている。

高田さんは6代目。営農の柱として稲作は昔からずっと続けているが、時代の変化に合わせてそれぞれの代で新たな分野に取り組んできた。

祖父が始めたのは養豚だ。戦後の食生活の変化で、日本人はかつてと比べて肉を食べるようになった。1961年制定の旧農業基本法も畜産の拡大を奨励した。それでも、稲作農家の養豚への進出は大胆な挑戦だっただろう。

その後の経緯ははっきりしていないが、高田さんが物心つくころには養豚から撤退していた。代わって高田農園の現会長で父親の直(なおし)さんが始めたのが、みその製造だ。北越後農業協同組合(JA北越後、新発田市)と連携し、地元の食材にこだわったみそづくりにチャレンジした。

高田農園で代々続く稲作

みその名前は「あやめみそ」。アヤメの花が、新発田市のシンボルであるのにちなんで命名した。自分の農場で農薬や化学肥料を減らして育てたコシヒカリで米麹(こうじ)をつくり、新発田市で栽培された大豆を使って製造している。甘みがあり、マイルドな味に仕上がっているのが特徴だ。

みそづくりを始めたのはおよそ30年前。当時すでに日本のコメ消費は減少過程に入っており、みそをつくるのは自分たちの育てたコメを有効利用するための取り組みでもあった。みその製造は経営の柱の一つに成長した。

高田さんは大学を卒業後、教職に就いたり、飲食関係の仕事をしたりしていた。だが2011年の東日本大震災の際、スーパーで食品の棚がからになる様子を目の当たりにし、家業である農業の大切さを理解するようになった。

こうして高田さんは約10年前、実家に戻って就農した。父親が築いてきた営農の形を大事にしながら、どうやって時代に合わせてアレンジし、経営を発展させるか。今日までずっとそのことを追求してきた。

アスパラの品質を向上させる工夫とは

就農後、高田さんが意識したのは、みその消費の先行きだ。日本的な食事が減るのに伴い、家庭でみそ汁を飲む機会も減った。手軽に飲めるインスタントのみそ汁もあるが、それで消費の減少を補えるとは思えなかった。

そこで始めたのがアスパラの栽培だ。新発田市はアスパラの生産が盛んな地域だが、多くは東京や神奈川など首都圏で売られていた。地元であまり出回っていないのに気づいたことが、品目を選ぶ際の決め手になった。

栽培面でも、他の農家とは違う工夫をした。

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