極寒地でも安定栽培できる!超極早生の国産飼料用トウモロコシ『ハヤミノルド』の活用法|マイナビ農業

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極寒地でも安定栽培できる!超極早生の国産飼料用トウモロコシ『ハヤミノルド』の活用法

極寒地でも安定栽培できる!超極早生の国産飼料用トウモロコシ『ハヤミノルド』の活用法

濃厚飼料価格の世界的な高騰により、国産の飼料用トウモロコシの生産拡大が求められています。しかし、国内の主要酪農地帯である北海道の道北、道東地域は、従来のサイレージ用トウモロコシ品種では対応できない栽培限界地帯。こうした厳しい環境の地でも安定栽培できる品種を目指して開発されたのが、超極早生品種『ハヤミノルド』です。その汎用性の高さから寒冷地以外でも有効活用が期待される『ハヤミノルド』の特長をご紹介します。

栽培限界地帯でも飼料用トウモロコシが栽培できる。注目の新品種『ハヤミノルド』とは

草姿と雌穂(提供:農研機構)

トウモロコシをはじめとする日本の濃厚飼料の自給率は低く、9割近くを輸入飼料に頼っている我が国。世界的な濃厚飼料価格の高騰は、畜産業の経営を揺るがす大問題であり、一方で安全・安心で持続可能な畜産業の未来のためにも飼料自給率の向上は大きな課題です。

国内の飼料用トウモロコシ作付面積の約6割が栽培されている北海道では近年、作付面積が増加傾向にあるものの、今以上の生産拡大を目指すためにはこれまで積算温度の不足で「栽培限界地帯」とされてきた道東・道北地域でも栽培できる早生品種の開発が急務でした。

そこで農研機構と道総研は、栽培限界地帯でも安定栽培できる品種の開発に着手し、2014年から約6年の歳月をかけて誕生したのが、従来の極早生品種よりも圧倒的に早い早晩性を示す超極早生品種『ハヤミノルド』です。

道東・道北での試験では、『ハヤミノルド』は極早生の標準品種と比較して、絹糸抽出期が7日も早く、総体乾物率は2%程度、雌穂乾物率は7%程度高く、圧倒的に早い早晩性を示しました。

絹糸抽出期および総体乾物率の比較(提供:農研機構)

「『ハヤミノルド』は全く新しいタイプの品種です。試験はトウモロコシの栽培限界地帯に近い道総研酪農試験場天北支場(浜頓別町)と道総研酪農試験場(中標津町)で行いましたが、いずれも早晩性は既存の品種よりも1ランクも2ランクも早いという圧倒的な結果になりました。ここまで早晩性の早い市販用F1品種は、国内はもちろん、私が調べた限りでは世界でもまだ見つけられていません」(黄川田智洋さん/農研機構北海道農業研究センター 寒地酪農研究領域 自給飼料生産グループ 上級研究員)

また、耐病性の面では、すす紋病、ごま葉枯病、赤かび病などに強く、耐倒伏性もずば抜けて「極強」というこれまでにない優れた特性を示しました。北海道胆振東部地震が発生した2018年、北海道は台風21号による甚大な被害にも見舞われました。北海道農業研究センター(札幌市)でもほとんどの品種が完全に倒伏してしまった中、『ハヤミノルド』は機械収穫に影響のないレベルの傾きにとどまり、ずば抜けた耐倒伏性を証明したのです。

2020年8月に北海道で発生した強風時でも、耐倒伏性の高さを発揮(提供:農研機構)

秋小麦の前作として活用し、農地の生産性向上に役立てる

『ハヤミノルド』のこうした特性は、これまで栽培限界地帯とされてきた極寒地での露地栽培に活かすだけでなく、さまざまな用途への利用価値が見込めます。その一つが、十勝地域でのイアコーン、子実利用です。イアコーン、子実利用では、ホールクロップサイレージよりも栽培期間は長くなるものの、超極早生の『ハヤミノルド』であれば栽培期間を短縮できます。また、秋播き作物の前作利用としても『ハヤミノルド』はおすすめです。

「北海道では秋小麦は9月中に種を播くため、夏の間は畑を遊ばせている農家も多いのですが、『ハヤミノルド』は8月に収穫ができるため、秋小麦の前作にも利用できます。二毛作や輪作に組み込むことも十分可能な品種です」(黄川田さん)

栽培試験は、朱鞠内湖(しゅまりないこ)近くの士別市温根別町の農家の畑でも行われました。雪深く酪農も盛んな同地域では、秋小麦の種播きは例年9月の中旬に行っています。試験の結果、この地域でも秋小麦前に収穫できる可能性が高いことがわかりました。

早生品種特有の収量の課題は「密植」で解決。汎用性の高さも特長

「ただ、トウモロコシは早く刈り取れる品種であればあるほど収量は落ちます。極早生の標準品種を100とすれば、『ハヤミノルド』は86ほどになりますが、これは密植で十分カバーできます」

本来、トウモロコシは密植すると倒れやすくなる性質が知られていますが、耐倒伏性に優れた『ハヤミノルド』であればその心配は少なく、密植が可能です。

耐倒伏性の比較(提供:農研機構)

「これまでも種播きの時期をずらすなどして、刈り取り時期が集中しないように工夫されてきた農家の方も多いと思いますが、従来の品種よりもさらに早い超極早生品種を一つ取り入れることでより選択肢は広がります。また、輪作体系での利用では、深根性の作物であるトウモロコシの栽培により、畑の土壌改善効果も期待できます」(黄川田さん)

水稲栽培を行う農家の場合、田植え時期に播種が重なることは避けたいですが、『ハヤミノルド』なら田植えの後に播種することも可能です。

「今はコロナ禍に起因するコンテナ事情もあり、輸入飼料原料の供給が量・価格とも不安定です。また、将来的には諸外国との原料調達における競争が増し、その影響を受けることは避けられないものと考えています。自分たちが使う飼料作物を自ら育てていくことは畜産経営の安定を図るうえでとても大切なことだと思います。
『ハヤミノルド』は土壌改良にも役立つので、府県の畑作地帯での輪作作物としての用途も見込めます。個人的には、この汎用性の高い品種を広範な地域で使ってもらいたいと思っています」(伊澤健さん/一般社団法人日本草地畜産種子協会)

「『ハヤミノルド』はこれまでの常識の上を行く品種です。農研機構ではこれまでにもさまざまな品種を育成してきましたが、その中でも『ハヤミノルド』は圧倒的に早い品種です。これほど特長が際立つ種ならば、目で見てその違いを感じていただけるでしょう」(黄川田さん)

新品種『ハヤミノルド』を今年、試してみませんか

今回ご紹介した『ハヤミノルド』は、2023年の発売を予定していますが、興味のある生産者の方には試験栽培の一貫として試作用の種を少量頒布することが可能です(※)。秋小麦の前作として、新たな輪作作物として、検討してみたい方はお問い合わせください。

※栽培データ取得へご協力いただける方が対象となります。

『ハヤミノルド』についての問い合わせ

一般社団法人 日本草地畜産種子協会 
東京都千代田区神田紺屋町8 NCO神田紺屋町ビル4F
TEL:03-3251-6501
FAX:03-3251-6507
『ハヤミノルド』についてはこちら

試作用の種頒布についてのご相談・お申込み

農研機構北海道農業研究センター 自給飼料生産グループ
北海道札幌市豊平区羊ケ丘1番地
TEL:011-857-9317(担当/黄川田)

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