味噌の手作りに適した時期とは
「味噌を手作りしてみたい」と思い立ったとき、すぐに作り始めてよいものなのでしょうか。ここでは最適な仕込み時期や、食べられるようになるまでにかかる時間を解説します。
適切な時期の仕込みでおいしく簡単に
味噌作りには適した時期が存在します。特に初心者の場合、適切な時期に仕込むことによって簡単においしく作ったり、失敗を避けたりできるでしょう。
一般的に、味噌作りに最も適した時期は1月下旬~2月といわれています。その他の時期にも味噌を手作りすることは可能ですが、適切な時期の仕込みと比較して難易度が高くなります。
手作り味噌はいつ食べられる?
味噌の中でも代表的な「豆味噌」を手作りした場合、仕込んでから8~12ヵ月ほどでしっかりと熟成されます。
豆味噌の材料は、大豆・麹・塩です。麹とは、発酵食品に有効な「コウジカビ」をはじめとする微生物を繁殖させたもののこと。麹の力によって原料の大豆が発酵し、時間をかけておいしい味噌へと変化します。
味噌は熟成期間によって味が異なります。しっかり熟成させてうまみと個性が際立つ味噌にしたり、短めの熟成期間であっさりした味噌にしたりと、お好みの味に合わせられるのは手作り味噌のメリットといえるでしょう。
手作り味噌の食べごろについては下記のページで詳しく解説しています。
関連記事:手作り味噌の食べごろはいつ?食べごろの状態を保つ方法も解説
手作り味噌の「寒仕込み」とは?
味噌を仕込むなら、「寒仕込み」がおすすめです。ここからは味噌の寒仕込みの概要と、寒仕込みで味噌を作るメリットについて詳しく解説します。
寒仕込みとは
寒仕込み(かんじこみ)とは、気温が低く寒い時期に味噌を作ることを指します。前年の秋に収穫された大豆や米、麦などを、暦の上で最も寒い時期とされる「寒の内(1月5日ごろ~2月3日ごろ)」に仕込む伝統的な技法です。
味噌だけでなく、お酒や醤油を作る時期としても寒仕込みは適しているといわれています。冬の寒い時期は雑菌が繁殖しづらいため、味噌に限らずさまざまな発酵食品の仕込みどきなのです。
寒仕込みで味噌を作るメリット
寒仕込みで味噌を作ると発酵がゆっくり進むため、味わい深い味噌ができるというメリットがあります。初めて手作り味噌を仕込むなら、ぜひ寒い時期にチャレンジしてみましょう。
また、寒い時期は雑菌が繁殖しづらく、味噌にカビが生えづらいこともメリットのひとつです。味噌は仕込んだ後に長期にわたって熟成させる工程を必要としますが、気温が高い季節だとカビの繁殖が進みやすく、あっという間に味噌全体に広がってしまうこともあります。
カビが味噌の一部にしか生えていない状態であれば、周辺を取り除くと問題なく食べられます。しかし、気温の高い季節やじめじめした時期に仕込むと、せっかくの味噌がすぐに食べられなくなってしまう可能性もあるでしょう。
寒仕込みなら味が整いやすく、失敗のリスクを軽減できます。手作り味噌の成功率が高くなるため、特に初心者には寒い時期の仕込みをおすすめします。
春(3~5月)の時期に仕込む手作り味噌の特徴
寒仕込みの次に味噌を仕込みやすい時期が、春(3~5月)です。春に味噌を仕込む場合、涼しい季節から夏に向けて徐々に気温が上がる時期にあたるため、寒仕込みに近い環境での味噌作りができます。
寒仕込みの味噌と春に仕込む味噌の違い
1~2月に作る寒仕込みの味噌と、3~5月に作る味噌の違いには、熟成期間が挙げられます。
寒仕込みは寒い時期に味噌を仕込むため、春や夏にかけて少しずつ気温が上がる中でじっくり熟成できるのが特徴です。一方で、春に仕込んだ味噌は寒仕込みの味噌に比べてすぐに夏を迎えるため、熟成が進みやすい季節を早く迎えることになります。
寒仕込みの味噌も春に仕込んだ味噌も、食べごろを迎えるのは同時期です。熟成期間は寒仕込みの味噌よりも春仕込みの味噌のほうが短くなることを覚えておきましょう。
春に仕込んだ味噌は色味がきれいなあっさり系
味噌は、基本的に熟成が進めば進むほど色や風味が濃くなっていきます。
寒仕込みの味噌に比べて、春に仕込んだ味噌は熟成期間が短いため、味噌の色はあまり茶色や黒っぽくなっていないことが特徴です。熟成は進んでいるため、明るい色合いのおいしい味噌がいただけます。
3~5月に仕込む味噌はかつて「花見仕込み」と呼ばれ、「雑菌が繁殖しやすく味噌作りに適さない時期」ともいわれていました。しかし、家庭用に少量の味噌を作るのであれば春に仕込んでも問題ありません。
雑菌やカビが繁殖しないように消毒を徹底しながら仕込みを行えば、味噌作りが特別難しい時期ではないため、ぜひチャレンジしてみましょう。寒仕込みに比べて短期間で熟成した味噌は、違った味わいを楽しめます。
夏(6~8月)の時期に仕込む手作り味噌の特徴
花見仕込みの時期よりさらに暑くなった夏(6~8月)に味噌を仕込むこともあります。味噌は気温や湿度が高い環境になればなるほど発酵が進みやすくなるため、夏に仕込んだ味噌は非常に短期間で熟成されます。
寒仕込みや春の仕込みに比べて、夏に仕込む味噌は発酵が進みやすく、家庭での管理は難しいといえるでしょう。味噌作り初心者が取り組む場合、残念ながら夏の仕込みはおすすめできません。
しかし、夏に仕込んだ味噌はその特徴から好まれる場合もあり、自宅でチャレンジする人もいます。ここからは夏に仕込む味噌の特徴を見ていきます。
寒仕込みの味噌と夏に仕込む味噌の違い
寒仕込みの味噌を仕込むときの気温はおおよそ15度以下です。一方、夏に味噌を作る場合は気温が非常に高いときに仕込むことになります。近年の夏は日中の気温が30度を超える猛暑となることが多く、地域によっては40度近くまで気温が上昇することも。
気温や湿度の高い環境で作る味噌は短期間で早く発酵が進みます。そのため寒仕込みや春の仕込みで作る味噌に比べて、夏に仕込んだ味噌は色が淡くきれいな仕上がりになるのが特徴です。また、熟成期間が短いことで味噌特有の香りや風味が抑えられており、場合によっては酸味が強く出ることもあります。
寒仕込みの味噌は1年近い熟成期間を要しますが、夏に仕込んだ味噌は半年ほどの熟成で食べごろを迎えます。
味噌を夏に仕込むのは難度が高い
夏に仕込む味噌は、味噌を作ったことがない人にとっては仕込んだり管理したりする難度が高いため、あまりおすすめできません。
気温や湿度が高い環境で味噌の発酵が進みやすいのと同様に、そうした環境では雑菌の繁殖も活発になります。そのため、せっかくおいしい味噌を作ろうとしていても、夏はカビによるトラブルに見舞われる可能性が高くなるのです。
味噌に生えるカビを家庭で完全に防ぐことは難しいといわれています。どんなに清潔にしていても「常在菌」はどこにでもおり、生き物である以上条件が整えば繁殖するもの。特にカビは、栄養と空気、湿度、水分などの条件が整えば簡単に繁殖してしまいます。
味噌の材料の大半は穀物であるため、カビの繁殖に好都合な栄養が多く含まれています。また、家庭で味噌を手作りする場合は完全な密閉ができず空気に触れさせてしまったり、結露や味噌だまりによって水分が生じてしまったりすることもあります。
それに加え、夏は気温や湿度が高くなりやすいでしょう。一般的に、カビは気温が15℃~30℃、湿度が70%以上のときに繁殖しやすいといわれています。
手作り味噌の初心者は、まずは最適な時期に味噌を仕込むと、失敗のリスクを減らして楽しく取り組むことができるでしょう。味噌作りのコツを掴んでから、夏の味噌作りに挑戦してみるのもおすすめです。
味噌の仕込み時期は冬が基本!
味噌作りには適切な時期があることや、時期ごとの味噌の特徴を解説しました。
味噌を仕込む時期によっては、じっくりと時間をかけて熟成する必要があったり、カビのトラブルに備えなければならなかったりと、それぞれに注意すべきポイントがあります。
しかし、手作り味噌は仕込んだ時期によって熟成期間が異なるため、色合いや風味にそれぞれ特徴があり、違った個性を楽しめます。味噌作りに慣れている人であれば、仕込み時期をずらして食べ比べるのもおすすめです。
味噌作りの初心者の場合は、まずは寒仕込み(1~2月の仕込み)で作ってみるとよいでしょう。寒仕込みの味噌はゆっくりと熟成されるため味わいが深くなりやすく、雑菌が繁殖しづらい時期であるため失敗が少ないメリットがあります。
味噌作りキットは初心者にもおすすめ!
自分で味噌を作ってみたいという人には、「味噌作りキット」がおすすめです。
初心者でもレシピの方法に従ってやるだけで簡単に味噌作りに挑戦できます。
味噌作りキットで味噌の仕込み方法を理解してから、お好みの時期の仕込みに取り組んでみるのもよいでしょう。
まずは、味噌作りキットでおいしい味噌作りライフを始めてみてください。