手作り味噌の食べごろは?
手作りした味噌は、食べごろになるまでどのくらいの期間がかかるのでしょうか。
種類にもよりますが、味噌は大豆、麹、塩を混ぜて作ります。麹菌のはたらきによって大豆が発酵し、時間を置くことで徐々に味噌へと変化していくのです。そのため、味噌を仕込んだからといって今日明日にすぐ食べられるというわけではありません。
おいしい味噌をいただくためには、長期間にわたって熟成させる必要があります。ここからは、味噌が食べごろになるまでの期間について解説していきます。
手作り味噌が食べごろになるまでにかかる期間
環境によっても変わりますが、手作り味噌を仕込んでから食べごろになるまでにかかる期間は、麦味噌は約2ヵ月、米味噌は約8ヵ月、豆味噌は約12ヵ月です。
味噌は、冬に仕込まれることが多いといえます。これは、冬は雑菌が少なくカビが生えにくいことや、気温が低いためじっくりと発酵が進んでいくことが理由です。
冬に仕込んだ味噌は、春になるにつれてゆっくりと発酵し、暑い夏に最も発酵が進みます。夏を越えて秋になり、気温が下がると発酵が落ち着いてどんどんおいしさを増していきます。
熟成期間の短い麦味噌は例外ですが、冬(2月)に手作り味噌を仕込む場合、食べごろは8~12ヵ月後である秋から冬(10月~1月)になります。
味噌の仕込み時期に関しては下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:味噌の手作りに適した時期は何月?寒仕込みのメリットとは
熟成期間によって味や色が変化
味噌は市販品でも味、色が異なります。また、味や色は味噌を仕込んでからの熟成期間によって大きく左右されます。
味噌は、仕込んだばかりのころは淡く薄い色で、熟成が進むとともに茶色く、黒っぽくなっていくのが特徴です。手作り味噌は熟成期間を自分で見極められるため、「おいしい」と感じるタイミングで熟成を止めるとよいでしょう。
熟成期間が短い味噌は、あっさりとした味わいになるのが特徴です。長期間熟成したコクのある味噌か、熟成期間の短いあっさり味の味噌か、好みによって熟成期間を検討するとよいでしょう。
天地返しで手作り味噌の食べごろをチェック
手作り味噌がいつ食べごろになるのかをチェックする方法として、色や匂いで確認する方法がありますが、その際、一度は「天地返し」をやってみましょう。
味噌の天地返しとは
天地返し(切り返し)とは、仕込んだ味噌をいったん取り出したり、他の容器に移し替えたりして、味噌の天地(上下)をひっくり返す作業のことです。
天地返しの手順は、以下のとおりです。
1.仕込んでいる味噌の封を開けて、表面にカビが生えていないかどうかをチェックする。
2.容器から味噌をすべて取り出し団子状にして、皿の上にまとめる。
3.容器をきれいに消毒する。
4.取り出した味噌を容器へ戻す。
味噌にカビが生えていた場合、少量であればカビをスプーンで取り除きましょう。カビが広範囲にある場合は、カビとその周りの味噌まできれいに取り除く必要があります。
カビを防ぐためにも、味噌を詰め直す前に容器を消毒しておくことをおすすめします。また、容器に詰める際は、空気が入らないようにしっかりと押し込みながら詰めていきましょう。
天地返しは、味噌の上下をひっくり返す必要があるため、底の方にあった味噌が上にくるように詰め直すのがポイントです。表面を平らにならしてから、再び封をすれば天地返しは完了です。
天地返しのメリット
天地返しには、容器の上部・下部で発生する発酵具合のムラを解消したり、発酵を促進させたりするメリットがあります。
味噌は、麹のはたらきにより酵母と乳酸菌が活動することで、大豆や米などの材料が発酵して作られます。この酵母と乳酸菌は、空気に触れることで活発になります。
容器の上部にある味噌は空気に触れやすく、容器の下部の味噌は空気に触れにくいため、発酵にムラができてしまいます。天地返しをすると下部にあった味噌も空気に触れ、発酵が促進されるのです。発酵の促進は天地返しの大きなメリットといえるでしょう。
また、天地返しをするタイミングで、手作り味噌がどのような状態になっているか確認することもできます。万が一カビが生えていれば、その時点ですぐに取り除くことができるため、早めにカビ対処ができる点もメリットのひとつです。
天地返しの頻度や回数は?
基本的に、天地返しは一度で十分です。味噌が空気に触れすぎると雑菌が繁殖する原因になったり、風味が悪くなってしまったりする可能性があります。そのため、あえて天地返しをしないという方も少なくありません。
もし天地返しをするなら、味噌を仕込んでから3ヵ月後ごろに行いましょう。
手作り味噌は発酵しすぎるとどうなる?
熟成期間を過ぎても、手作り味噌は発酵し続けます。発酵しすぎた味噌でも食べられるのでしょうか。ここからは、手作り味噌が食べごろを過ぎた場合、どのように対処すればよいのかを見ていきましょう。
上手に保存すれば味噌は発酵し続ける
味噌は、適切に保存されていれば発酵し続けます。発酵が長期にわたって続くほど、味噌の色や香りなども変化していくため、仕込んだ当初に比べるとだんだん黒っぽくなっていきます。
仕込んで間もない味噌は大豆そのものの色ですが、時間が経つにつれて茶色からこげ茶、黒へと変色していきます。
発酵しすぎた味噌は食べられる?
食べごろを過ぎ、発酵しすぎた味噌でも食べることは可能です。
ただし、「食べごろ」の味噌に比べると、クセのある風味になります。味噌の香りが強くなり、酸味が加わるため個性的な味であるといえるでしょう。
しかし、一般的な食べごろを越えた味噌が好きな人は少なくありません。多くの人が「おいしい」と感じやすいのは仕込んでから2ヵ月~12ヵ月の味噌ですが、自分の好みに応じて熟成期間を延ばしてみるのもよいでしょう。
保存方法に注意
味噌の発酵が進む間にカビが生えてしまうことも多いため、保存方法に気をつけましょう。味噌を熟成させる季節や保存場所の温度、湿度によって、発酵の進み方は大きく異なります。
もし、カビが生えているのを見つけたら、カビの部分をスプーンですくって取り除きましょう。カビを放っておくと、味噌全体が食べられない状態になってしまうこともあります。カビが広範囲にある場合や味噌自体が傷んでいる場合は、残念ですが食べてはいけません。
手作り味噌の食べごろの状態を保つ方法
手作り味噌が食べごろを迎えたら、できるだけ長くその状態を保ちましょう。ここでは、味噌をおいしいままの状態でできるだけ長く保存する方法をご紹介します。
手作り味噌の保存方法
味噌は発酵が進みすぎると、酸味が出てきてクセのある風味になります。気温や室温が高いほど発酵が進むため、食べごろを迎えた味噌は冷暗所で保存しましょう。
しかし、常温でも発酵は進んでしまいます。食べごろになった味噌をできる限りそのままの風味で保ちたいときは、発酵を極力抑えるため、冷蔵庫や冷凍庫などで冷やして保存するのがおすすめです。
味噌は冷凍庫に入れても凍ることはないため、取り出してそのまますぐに料理に使えます。色や風味が変わることを抑え、「食べごろ」をできるだけ長くキープしたい場合、冷凍庫で保存するのがベストといえるでしょう。
味噌は空気に触れることが多かったり常温で置いたままにしたりすると、発酵(熟成)が進んで味が変化します。さまざまな熟成具合を楽しみたい人は、食べごろになったすべての味噌を冷やすのではなく、ある程度の量を残して再熟成させるのもおすすめです。
味噌だまりができたら
手作り味噌ができて開封したときや、天地返しをしようとしたときに、「味噌だまり」と呼ばれる醤油のような黒い液体ができていることがあります。
味噌だまりとは、味噌を作る過程で発生するもので、味噌から染み出した味の濃い液体のことです。醤油のような見た目をしており、塩分はもちろん、うまみ成分であるアミノ酸や良質なたんぱく質が凝縮されています。栄養価が高いのが特徴で、仕込んだ味噌からわずかな量しか取れません。
味噌だまりは貴重であるため、容器に移して保管するとよいでしょう。醤油と同様の使い方ができますが、少量しか取れないため刺身醤油として使うのがおすすめです。
手作り味噌の食べごろを見極めておいしい味噌ライフを
手作り味噌は手間がかかるものの、どの店にも売っていないオリジナルの味噌を作ることができます。食べごろを自分で見極められるのも魅力で、市販品とはひと味違った好みを見つけられるかもしれません。
自分で味噌を作ってみたいけれどハードルが高いと感じている人は、味噌作りの材料などがセットになった「味噌作りキット」を利用するのがおすすめです。
ぜひ、挑戦してみてください!