農業委員会の仕事が難しくなった二つの理由
仏田さんは農業法人のぶった農産(野々市市)の社長で、現在61歳。栽培面積は28ヘクタールで、コメを中心にカブも栽培している。宅配便を使った通信販売や農産物の加工を早くから手がけるなど、先進農家として知られる。
農業委員会は担い手に農地を集約したり、耕作放棄を防いだりするのを目的とする組織で、原則として市町村ごとに設置されている。農地が適切に利用されるかどうかを判断し、その売買や貸借を許可するのが主な仕事だ。
委員は市町村長が議会の同意を得て任命する。任期は3年。会長は委員の互選で決める。仏田さんが地元の農業委員会の会長になったのは、2020年7月。委員を2期6年務めた後、3期目に入ったときに会長に選ばれた。
野々市市の場合、毎月10日までに農地の売買や貸借の申請を受け付け、25日に総会を開いて許可していいかどうかを決める。実際は申請を受理する段階で問題がないかどうかを点検するため、否決することはまずない。
この点に関して、仏田さんが年々難しさを感じているのが、農地の買い手や借り手がすでに所有したり、借りたりしている田畑の状態の確認だ。それが申請を受理し、許可すべきかどうかの判断材料になるからだ。
難しさを感じるわけは二つある。