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竹害を防ぐ方法とは? 放置竹林の整備方法と管理のこれからをプロに聞く

林 ぶんこ

ライター:

竹害を防ぐ方法とは? 放置竹林の整備方法と管理のこれからをプロに聞く

2019年に熊本市北区に株式会社竹組を設立し、竹林整備事業を開始したミカン農家の園田光祥(そのだ・みつよし)さん。今や「竹害」とまで言われ、全国で厄介者扱いされる放置竹林の現状とその対策について、園田さんに話を伺いました。

熊本地震のボランティアから竹林整備事業へ

ミカン農家として就農する以前は、イベンターとしてさまざまなイベントに関わってきた園田さん。竹が好きで、屋外イベントでは竹を使用したステージを使ったり、竹ジャングルジムなどの竹の遊具を設置したり、イベント器具として積極的に竹を取り入れてきました。

園田さんが手がけた竹のステージ(画像提供:園田光祥)

園田さんが手がけた竹ジャングルジム(画像提供:園田光祥)

「竹の凜(りん)としたたたずまいが好きで、竹に触れていると落ち着くんです。息子の名前にも竹の文字を入れています。ミカン作業の合間に竹と関係した何かをしたいなと思っていたら熊本地震が起きてしまって。そこでボランティアに参加して地区の復興を手伝ううちに、だんだん竹林整備までやるようになりました」(園田さん)

山林伐採の専門家と熊本地震の復興ボランティアで出会い、意気投合した園田さん。手ほどきを受けながら、被災地区の放置竹林の整備を始め、そこで放置竹林の実態を目の当たりにしたと言います。

「元々竹は人間が植林したもの。ほんの数十年前までは弁当箱や食品を入れるための資材としても活用されていたのに、今では放置されて竹害扱い。ちゃんと手入れをしてあげれば竹は害じゃないんです。竹の美しさ、良さをもっと人々に知ってもらいたいと思いました」

放置竹林の整備には自治体からの補助金が出ることも知り、園田さんは事業化を考えるようになります。竹炭を生産してくれれば買い取りたいという業者も現れ、園田さんは2019年に株式会社竹組を設立。本格的に竹林整備事業を開始しました。

3日に1度は入る、竹林整備の問い合わせ

竹組では竹林整備については積極的な告知はしておらず、事業を知らせるツールはホームページと会社の前、国道3号線脇に立つ「竹切ります」の看板のみ。しかし、このたった1つの看板を見たと、3日に1度は問い合わせの電話がかかってくるそうです。
高齢化などで管理できなくなり、近隣の土地に獣害や地滑りなどの悪影響を及ぼしてしまう放置竹林の処置に悩む地主さんからの問い合わせがほとんどですが、たまに宅地造成を計画する不動産業者からの問い合わせもあるとのこと。

告知はこの「竹切ります」の看板のみ

問い合わせが入れば現地を確認し、だいたいの費用額を見積もります。費用は実働時間によるため、実際にやってみてからでないと正確な金額は算出できません。重機が入るか入らないか、搬出する竹を傾斜地の上に上げるのか下に出すのか、それぞれのケースでかかる手間も大きく変わります。

近年、放置竹林が原因で倒木が発生し、近くに駐車してあった車を傷つける物損事故がしばしば起こっているそうです。物損だけでなく人身損害で民事訴訟にまで発展した事例もあり、竹林所有者の責任が問われる風潮が高まっていることから、問い合わせが近頃いっそう増えたと園田さんは言います。

「竹林整備の費用は数十万円はかかる場合がほとんどですので、費用を知ってひるんでしまう個人地主さんも多いです。ですが個人の場合は、隣地の地主さんも含めて複数人で申し込んでもらえれば、県または市からの助成金が下りる場合もあります。助成金を利用する場合は書類作成から僕らがサポートします。地区の自治会などからの要望で、助成金を使って放置竹林を整備する方法についての説明会も何度か開いています。希望があれば説明会は随時行います」(園田さん)

取材中も電話が入り、見積もり算出のため依頼主とともに現場に入る園田さん

竹林整備の方法

費用の折り合いが付けば、いよいよ竹林整備の仕事に入ります。基本の仕事内容としては、枯れて倒れた竹と一緒に増えすぎた竹を切って出すだけなのですが、この枯れ竹を出す作業が一番手がかかるのだそうです。枯れ竹を竹林から出しておくだけで荒れ度合いがかなり違ってくるので、枯れ竹を見つけたらすぐに外に出すか、自分のような業者に連絡して処分を依頼するか、とにかく放置しないでほしいと園田さんは言います。

枯れ竹だらけの荒廃した竹林

枯れ竹を出した後は、5年生以上の竹を切ります。そして3年生までのメスの竹を中心にバランスを見ながら、残す木を決め、心和む美しい竹林へと整えていきます。

また、伐採した竹の一部はチッパー(破砕機)で粉砕され、除草と害獣対策を目的に地面にまかれます。4カ月前に園田さんたちが整備したという竹林では、細かく細長い形に粉砕された竹チップが一面に敷き詰められていました。

靴の上からだと、ふわふわとした感触で気持ちよく歩ける竹チップ。しかし、裸足だったら竹チップが足に刺さり、痛くて歩けないとのこと。イノシシもひづめの間にこの竹チップが入るのを嫌がり、竹チップがまかれた場所には入ってこないのだそうです。

整備した竹林にまいた竹チップを手に取る園田さん

それぞれの竹林に合わせた活用方法を地主に提案

「竹林整備の仕事は切ったら終わりではありません。重機で根こそぎ取り切らない限り次々に生えてきますから、これから竹林とどう付き合っていくかという提案まで地主さんにしてあげることが必要です。通常は出てきたタケノコを地主さんたちが処理できる程度に整備するまでが僕たちの仕事ですが、場合によってはタケノコを毎春僕らが引き取るなど、それ以上に関わることもあります」と園田さん。

現在までに約8万坪の竹林の管理を依頼され、竹害ではなく「竹財」として、竹に関わっていきたいと語る園田さん。伐採した竹を活用したさまざまな製品の開発をはじめとした活動を具体的に開始しています。
次の記事では、竹がもたらす恩恵を商品化するとともに地域課題の解決にもつなげている園田さんの活動を紹介します。

次の記事はコチラ
「竹害」を「竹財」に! SDGsの優等生、竹を地域資源にする方法
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厄介者扱いされる放置竹林を地域資源へと生まれ変わらせ、伐採した竹をさまざまな方法で利用することを試みる熊本市北区の株式会社竹組。代表の園田光祥(そのだ・みつよし)さんに、循環する資源としての竹の利用法を伺いました。

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