牛の健康に不可欠なビタミンA 現場の声から研究開発がスタート
「牛の血中ビタミンAの濃度を手軽に測れる装置が欲しい」―開発のきっかけは、ある畜産農家の声だった。
牛はビタミンAが不足すると次第に食欲が落ち、毛ヅヤが悪くなる。また、繁殖障害や夜盲症にもつながり失明や死に至ることもある。
問題は、牛が自分でビタミンAを生成できないことだ。そのため、牛の体内でビタミンAに変わるカロテノイドを含んだ飼料やビタミン剤で補う必要がある。しかし、これらを吸収する力は個体差が大きいため、牛のビタミン欠乏を見た目だけで判断するのは難しい。
育てる牛ごとにビタミンAの血中濃度を定期的に測定し、個別に管理するのが理想だが、これまでは測定にかかる手間や費用の負担が大きく、牛の「血液検査」が一般化する障壁だった。
牛の「血液検査」を手軽に! データに基づいた飼養管理を支援
開発に着手した広島県立総合技術研究所畜産技術センターは、藤原製作所をはじめ畜産関連機器の製造を手掛ける企業等に協力を依頼。
広島県立総合研究所工業技術センターと東亜ディーケーケー株式会社と共に10年を超える共同開発を経て、牛の血液中のビタミンAや総カロテノイドの濃度が簡単に分かるビタミンA簡易測定装置『A-クイック®』の製品化に成功した。
測定精度を高めるために紫外線の照射出力が高い最新のLEDを採用し、小型・軽量化を実現している。
「使い方はとても簡単。牛から採取した血液を遠心分離機で処理し、試薬を入れて抽出した上澄み成分を『A-クイック®』のガラスセルに入れて測定ボタンを押すだけ。その場ですぐに結果が出るので、専門機関に血液検査を依頼するよりも大幅に時間とコストを圧縮でき、速やかに牛への対応に掛かれます」と話すのは畜産技術センターの河野技術支援部長。
藤原製作所の井上係長は「牛の健康状態を数値として見える化することは、特に経験の浅い後継者世代にとっては大きなメリットがあります。測定結果を蓄積して健康管理に活用いただきたい」と期待をかける。
『A-クイック®』の導入で、牛の「血液検査」がより身近なものになれば、牛の飼養管理が経験や勘だけに頼らない新しいステージに進化していくのではないだろうか。
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商品名
ビタミンA簡易測定装置A-クイック®(動物用医療機器承認番号29 動薬第3497号)
価格:528000円(税込)
問い合わせ先
株式会社藤原製作所
https://www.fujiwara-sc.co.jp/
〒114-0024 東京都北区西ヶ原1-46-16
TEL:03-3918-8111